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悪鬼式のコーキくん

皆さんコロ君(怖い)に気をつけてください。

[殺す…」

「やれるものならやってみ?……そうだな、正義よ、光よ、我が盾となれ」

 ランダムに動く盾が現れる。気休めにしかならないが。

 シャリアほどではなくとも、戦闘の技量はない。代わり暗殺や不意打ちの技術が少なからずあり…。

「(悪よ、打ち砕け)」

 可能な限りそれらしく……つまり外部犯に見せかけて殺せる。

「闇よ!輝く雷を掻き消せ!」

 手を上げてかざす動作の途中に邪滅の魔法をこっそり放つ。

[小細工ばかりだな?正面から来いよ!」

 言われて素直にするわけがない。

 それに、コーキは別に戦いがしたいわけでもない。

 シャリアのこともあるので、確実に殺す。その借り物の体一つ傷つけず。

「(光よ、水よ、火よ、我が身を隠せ)」

 こっそりと隠れ、出方を伺ってみる。相手の槍の間合いより三歩手前でまつ。

(「どうするの?というかどうすればいいの?」)

(「あー、どうしような、こいつの状態把握してみてくれない?」)

(「うん」)

 そしてその存在は動き出す。

空よ(風よ)陰の者を(亡き雷を)炙り出せ(疾く復元せよ)

「(心よ、悪よ、砕け散らせ!)」

(「心よ、暴き出せ!」)

 クーシャの魔法はそれなりに近くにいることを理解し、ヨリヨシは雷の槍を作り直す。そしてコーキの魔法は効果が出ず、しかもシャリアの魔法は…。

(「解析できません!」)

(「…えぇ?解析が必要なの!?」)

(「ある意味当たり前」)

 そんなこんなで意味を成さなかったものの完全に成功した。そのまま次々魔法を使う。

[くそが!!!同じ使徒のくせに!」

「……それ質問した方がいいのか?」

 相変わらずよくわからない発言を明確な意図で繰り返す男だと思いながら機をうかがう。

「さぁ、な!!」

 しかし口を開けたのは失策だった。その槍は今度は心臓を正確に貫かんと突き出され…。

「もらっ……づ!?」

 その槍ごと邪滅の曲剣は切り裂いた。その勢いのままに聖癒の直剣がその心臓めがけて突き出されるが、その手をわずかに逸らされ肩を貫くにとどまる。

[火の如く!がっ」

 とっさに打たれた炎の玉は鎧を蹴り飛び退いただけで避けることができた。

「馬鹿め、おまえは武術がこの魔法の実力差を埋めていただろう?その程度の速いだけの刺突が当たるとでも?」

 コーキは心の底からそう思い、曲剣を手首のスナップで空を切りながら話しかけるが、実際のところ、シャリアでは心臓を狙うことを前提にしてブラフをかけるなどということはしない。思いつかない。

 先ほどから使っている搦め手ばかりの対応が、姿は同じで正面から実力とサポート任せで行った幼女とは重ならないため、少しとっさの対応を間違えやすいのだ。

(「結局賭けだったけど、勝率高いうちに賭けなきゃこいつに勝てねぇしなぁ…悪よ、生を消せ」)

 ぶっちゃけ速度だけでも対応するのに相当集中した彼は今は気を抜いて左手を軽く左に伸ばして八の字を書いている。

(「ってか、魔法でゴリ押せるか?…空よ、我が身にふれし命を天まで送り給え」)

(「分かんないけど安全を確保してからお願いね?」)

 音を立てるのも意図的だと考えてしまったので無駄に警戒するヨリヨシ。

(「もちろんだって!地よ、彼を墜とす奈落となりゆくための備えとなるが為密度を落とし沼となれ」)

 ゆったりと動きながら準備を整える。

 次の手を考えなくては。

「正直俺からすると面倒なんだよな」

 ゲームのように単純な方が策略を練りやすい。

 それが彼の本心である。

「だから俺は何度もしくじった」

 策を練る知能も正面から貫く実力もないから。

 だからうまくいかない。

「お前はもう遅い」

 気づけなかった。巧妙ではあったが大勢を見ていないことを。見なくてもいいことを。

「俺だって正面からではなくとも…この力でごり押すだけさ…水よ、地を穿ち天まで伸びろ!」

 泥が…地下に作った沼がヨリヨシの周りから吹き出す。

 そこから逃げることができず、沼に沈んでいく。

「闇よ、水よ、毒となり彼の身を蝕め!」

「つづー!ーーー!!!(風よ早く)」

 抵抗すればするほど落ちる。その程度のことも知らず落ちていく様を無感情に眺め、そしてやめた。

「やり過ぎた」

 邪滅の針と、時空のカウンターが無駄になってしまった。

「魔力が無駄になるとその分無駄に疲れるよね…」

 シャリアもため息をつく。そして声に出して報告をする。

「さっきの解析はなんとかできたよ」

(「そうか、内容は?」)

 質問してはいるものの、あまり興味を感じさせない。これが殺す前なら話は別だったのだろうが。

「体がおかしな魔力に置き換わってた。多分魔物みたいな感じ…手遅れだった」

(「そうか。なら、殺してしまったことはいいとしてだ。それでも、せめて死体は残るようにするべきだったかな」)

 少しだけの後悔。

「……家族、いたよね」

(「知らん、目の前に現れるまで気にしていられん」)

 気にするなら殺人なんぞ犯すか、といわんばかりの様子でぼやく。

「死の匂いか」

 あのときネルフと一緒に来たジェルがいっていたそれを誤魔化せないかな、と思いながら、もう一度転移するのだった。

これ以降執筆のペースが落ちますが二週間に一回は投稿したいと考えています。


第27誤字報告について

魔物など、欠落のある生物の鍵かっこを[」とし、正常な生物と区別しています。

意図的なものと明記していなかったことを謝罪申し上げます。

また、報告いただき心から感謝しております。

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