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水面に映るは破邪なのか

 結局を俺を呼び戻して海水浴が始まって2分後。

 泳ぎ方を学んでるシャリアの様子を確認しつつ、俺は砂浜で探し物を始めた。

「何で下落としてんだか」

「酷いよぉ……なんでパンツぅ……」

 なんていうか、不幸体質?

「あの、クラウス同士で会話ってできませんか?」

「特にできるわけじゃないが、そうだな。今の俺みたいな魔法、ダメ元でかけてみるか」

 鎖を分解し、そのまま魔力を薄めて魔法を使う。

 あ、できた。

「娘に襲いかかる屑が何様のつもりだ?」

「誰だオメー」

 いきなりこの言いようだ。いや待て何か引っかかるような…。

「我が名は雉鍋グランブルー」

(なして母ちゃん!?)

『おいおいおいおい、どーするよ主神の馬鹿野郎』

(後で私たちのところ連れてこい。後雑な罵倒をやめろ)

 こりゃひでぇや。つーか雑じゃなきゃ許すのかよ………いやこいつはそういうやつか。

「まぁいい、報復代わりにこの娘の感度を3000ば」

「死にます許して!?」

「貴様、どの口でそれをのたまう?この口か?」

「私はあなた様の忠実なしも、口操るのやめてよぉ~!?」

 あー、そういうことか。ミスや不運じゃなくて、こいつの犯行だな?

『ハザク、アンブロシアのクラウスは勝手に起動し勝手に行動を支配してるな?』

『えぇ、そうですよ。何かありました?』

 やはり把握してるか。さて、そんな手間かける気にならないんだが今説明することでどれだけ解決できるのやら。

『俺と同じ魔法を使ってちょっと無理矢理引きずり出してみた。互いに互いを拒絶してるから簡単だったな』

『動機、わかりました?』

『おう、この女の嫌がらせ、鬱憤晴らし』

 シャリアが溺れかけてる!?鎖で救出!!!

『なるほど……悪質ですね』

 気をつけろ?こいつ絶対ろくでもないことしかしないんだろうから。

 とりあえずシャリアの体を押さえてる鎖を戻すか。3、2、1と鎖で腕をトンとたたいて合図してから離す。

「あった。ほい」

 渡すのは袋に入れちゃってからにしよう。

「ありがとうございます」

「ほれ」

 げっ、俺ごと解除された!?

 あ、砂浜に戻ってる。戻りきるまで待つか…。

 それにしても一回でよくコツつかめるな。

『おつかれ?』

『あ、あぁ。シャリアの方こそな。割とうまくなってるじゃんか』

『えへへー』

 多分あっち悲惨なことになってるけど一旦おいておこう。

『オルタナティブ、キザク、見つけたか?』

『うん』

『大体だけどね。私の道具ありでシャリアちゃんに泳いでもらって、突入先の様子を確認するってことで』

『…探し物に集中してたのはあるが、全く見つけられなかったぞ?』

 シャリアが目をつむりがちだったのもある。ということで渡される物の一つはゴーグルだろうな。

『ナティ、母さん!応援求む!!』

『ええ、任せなさい』

『わかった!』「見たとこ不味そうだからいくわ、はいこれ」

 渡されたのはダイビングスーツの類いだった。やっぱりか。

『すまんな、また戻されるだけだから手を貸せない』

『気にしないで、少しだけでも抑えただけで、すごいことです』

『毎度大変だな…』

 なんかすごい苦労してそうだな。

「ふむ、こうかな~?」

『わざとらしいな、シャリア』

『誤魔化さないとね…』

 今着て、そしてささっと潜りに行くらしい。

『水の中で目を開けてないけど、この左目を見られたらまずい気がするんだよねー』

 わざとだったか。

『ナティ、それぐらい対策してあるんだろ?』

『うん、もちろんだよ!遠慮なく使っちゃって~』

 というわけで実は久しぶりに、両目を共有して魔力だらけの海の底を観測する。

『魔法で隠してるところと魔力が濃くて結局見えないところと、だねー』

 とりあえず大方絞れそうだ。

『……球形だとするなら、結構浅い位置にある気がする』

『直線距離だけかもしれないがな』

 遠回りさせられる可能性は無視できないだろう。

 だとしたら物理的に吹っ飛ばせば…?

 逃がさない手段の確認が必要だな。

『ねぇねぇ、どうやって逃がさないようにするつもり?』

 考えることは同じらしい。

『範囲指定で転移禁止、肉体なしで範囲外移動を制限、だね。必要なら広範囲に仕掛けてもらって。右手側の箱でできるから、頑張ってね~』

 こっちでやるのかよ!!?

 あれ、シャリア?視線が魚を追ってる…?

『え、まじ?』

 困惑してた…!あっ、やべ。

 視界の端に人魚のようなものが!あれだろ、ブルー!

『まずいな、ブルーっぽいのいた。見られてる』

『左の箱を起動、魚の写真撮ってごまかして』

『うん』

 しかし、わざわざ出張ってくれるとは思わなかった。

「ぶく、ぶくくく」

 何を言ってるんだ?ともかく右の箱も起動し、自然に捕まえた。

『拘束』

「了解!聖人護衛隊、総員戦闘開始!」

 みんなで深くに泳ぎ、戦闘を開始する。

『息は?』

『最下の水を大気属性で変換します。シャリアちゃんは範囲外からサポートしてください』

『うん!お兄ちゃん、お願い!』

『おう、いくぜ!』

 とはいえ、水が消された時点で相当弱ったらしい。こいつを倒すのにフォローしなくてはならないことは何一つなかったのだった。



『おう、いくぜ!』

 戦闘が始まる。私だけ水中に待機する関係で、詠唱が聞こえないのがつらい。回避するの大変かも。

 ナティはいつもの大斧を振りかぶりながら手榴弾もどきを投擲する。フォルテとピアニはもう一方の影響を受けた腕から盾を生やし、盾と逆の腕で日光属性の光線を放つ。

 この三人が前衛役なので、被弾しないかの確認まではしない。負傷したらフォローと回復だね。

 クラシェさんは空気を維持してる結界の保護。ハザクとキザクで大技の詠唱中かな?今のところ攻撃してる様子はないし。

 こちらを最優先で保護、決して妨害されないように。

 アンブロシアちゃんは中間。足でリズムを刻みながら、両腕でブルーの水攻撃の制御を上書きしてカウンターをしている。

 足のリズムはあのもやみたいになってた魔力の浄化と兄妹の攻撃の下準備も兼ねてるみたい。協力しよう。

 聖女の力で浄化しておく。やり過ぎると疲れるし、何より狙われるからほどほどで。

「ハザク!!」

 私にも聞こえる大声でクラシェさんが叫ぶ。

 その手にあるのは黒い雷の鎚。

「「ジャッジ・フェンリルアーム!!」」

 握りつぶし、黒い雷がすさまじい勢いで叩きつけられる。終わり、だね。

 とりあえず私も降りる。

「お疲れ様!」

 水面から下に降りたらその部分だけ重力を強く感じるの結構つらい。

「うん……」

「えへへ」

「今のって断罪属性?」

「はい、そうですよ」

 そろそろ戻らないとだめかも。ハザクが倒れそう。

「帰ろう?」

「そうね、調査だけのつもりで頼んできたんだろうし……やべ、眷属が来た」

 上から魔法で爆撃してきた。私、上に居座ってたら危なかったな…?

「守るよ!」

(「任せろ!」)

 鎖を超えることはなかった。セーフ。

 ただ連打してきてるので、このあとどうなることやら。ここに空気を保ち続けられなくなるかもしれないし。

「シャリアちゃん、撤退準備できる…?」

「無理!位置関係が全くわからない!」

(しょうがないな、二人とも。私がなんとかしてあげるよ)

 え?

「イヒカ?」

 そして気がつくと、転移で私以外が消えていた。

 そして代わりにいたのは、金属質な髪の女性。

 まるで融けているかのような、そんな瞳を私に向け、困り果てた表情をしている。

「あなたは鎖の処理が面倒ですぐに転送できない、もしかしたら漏れるかもだし神魔力で解毒の構えを」

「うん、……うん?」

(「まさかここら一帯を鉱毒で満たす気じゃ…」)

 待てや!それやばすぎでしょ!

(「それは、ないだろ……」)

 悲鳴が聞こえる。鎖の向こうの水が、鎖とほとんど変わらない色になる。

「このままこの地は私が監督する。それで、その……自分で転移する?私に任せる?後者なら鎖といてほしいのよ、水が入ってくるけど」

「自分でタイミング合わせてやります」

 別の鎖をちょっとだけだし、分解して転移する。

「じゃあ。ちゃんと娘を守りなさいね、お馬鹿さん」

 ん?


 海岸に戻ってきた。

「うん、やばいね」

 銀色の海。これ毒なんでしょ?怖いわ。

「うちの主神様何やってんの?」

「この地の監督は任せろってさ…」

「あーあ、そのうちガチの戦争始まっちゃうねー」

 それはまた…。それは今はいいとして、殺しちゃったのをどう報告するつもりなんですかね、この人。

「帰ろう?」

「あ、はい。着替えてからね」

 はーい。

雑に仕留められた眷属が一国を治める主戦力、なんですが肉体に依存する生物だったばっかりに、ですね。

「……」

「ん?あーね」

なんか二人のリアクションがまともにならないのですが。

とりあえず次回も未定です。まだ忙しいような、暇なような…。

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