表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/182

雪山連治療、あるいは…?

 とりあえず部屋へ上がる。

「助けてくださりありがとうございます!」

 と、女の子が出迎える。

「メリア嬢ちゃんか、久しぶりだな」

 メリアというらしい。

 とりあえず奥に案内される。車椅子の青年も合流。

「初めまして!アユベです」

「おお、噂は聞いておったぞ」

「それ悪い噂だったような」

 なんかあるらしいが、会話の雰囲気が物々しいのは、多分…。

「ところで、あの家の者たちは…」

「たぶん無事ですよ。元々引っ越したのだし。ただ他はドーエル以外全滅ですね…」

「む?そうなのか?」

「ええ。ドーエルの母は消息不明、父は捕食されたのを確認、生き残ったのは娘二人ですが、妹のフォデレラは一刻を争う容態なので今案内してる次第です」

「なんと!床が凍ってなければ走りたいのだがな」

「普段ここ寒いけど氷はないんだよな。何で凍ってんだか」

(「お兄ちゃんのせいでーす」)

(「確かにそうだな」)

(反省しろ)

(「は?」)

 後ろをよく見ると、凍り出したあたりから洞窟になっているような気がする。

 これ洞窟を家の一部してる?ここは山か?

「カイラ嬢は無事のようで」

「その名前嫌いなんだけど!」

「ならなんて呼べばいいんだと毎回言ってるぞ、お嬢」

 っと、それどころじゃない。

「治療する……わぁ」

 下半身が死んでるなこら。

「氷漬けになっちゃったんだ」

 腰から太ももの半ばあたりまで氷にとらわれていて、しかも膝から下はなくなっている。骨が一本だけ残されてるあたり…食われた?

「魂を食べられる前でよかった、治療は効きそう」

 魂を食べる、か。あまり意識してなかったけどあの子はそういう真似をしてるのか。もしかして、あれ全部力に変えられる?

 っと、肉体に魂をつなげ直さないといけないな?呪いの要領で多分できると思うけど。

「えい」

 まぁまぁな長さの鎖を分解して、さらに普通の魔力に戻す。

 そこから彼女の中で一部の魔力を神魔力にして、引き寄せる。うん、なんとなくこれでいける気がする。気がするからできる。超理論だけど。

(「呪い側、魂と肉体の接続は任せる」)

(「任せろ、メルシャンと似た感じでいいんだろ?」)

(「私そもそも邪滅なことしかわからないんだよね」)

(「あー…まぁとりあえずやるか。一からやるのは初めてになるが」)

 よし、開始!

「っく!うっ……ぉおあぁわあ!?」

 やばい、微調整が難しい!

「吹き飛ばされかけてんじゃーん」

「あれで大丈夫なのかよ?」

 アユベちゃんとカイラ君に文句いわれ……あれ、逆だな?

 別に何でもいいか。

「なんとかなるさ。安心したまえ、彼女ほど高度な治療が可能な者は知らぬ。まだ少し時間をかけがちなのはあるが」

(「もう呪いを解くぜ」)

(「えっ、いいの?」)

 結局呪いとは何なのか。使えてるけどよくわからない。いや、私が使えるわけじゃないけど。

(「メルシャンは元々が不安定だからあれだけどこいつは一回戻ったら安定した」)

 なるほどねぇ。安定してなくてもすぐとれない、ってのがメル姉の今の状態なのかな。

「ほかに治療の必要な人はいる?」

「早いな!?なら俺の傷もなんとかなるだろ」

 そういえば車椅子だった。

「うん、こっちはすぐだよ!」

 足を生やすぐらいなら若返りの手術や魂の再接続なんかよりすぐ出来る。

 手間かかってないは大嘘だけどね。疲れる。

「うお!マジで直ったけど裸足だ冷てぇ!!」

 そりゃそうだわ。

「っつーか下隠せ馬鹿兄貴!」

「なら布をよこせ!」

 馬鹿かな?いや隠すものがないのはしょうがないんですけど。とりあえず目をそらしておいて、この部屋の端っこに残ったフォデレラちゃんの骨を見る。

 なんとなく、不気味な感じ。

「そこに誰かいる?」

 声をかけたその時、その不気味な感じがなくなった。なんかの神様でもそこにいたんだろうか。

「いなくなるなら別にいいか」

 誰も指摘しないなぁと思ったら、あっちがまだ騒がしくて独り言と化していたらしい。

 しょうがないねー。

(「ところで、いつ呪い方覚えたの?」)

(「……うん?確かにいつだろうな?」)

 殺霊が自然と使える代物なんだろうな、とは私も思ってたから、この反応は意外でもなかった。急に使い出したし。

(「うーん、シャリアは使えないかもな?これ」)

(「確かに無理だと思うけど、そもそもそれ、どんな魔法?」)

 まずそれを知らないと使えるとしても使いようがない。

(「魂の感情と肉体の状態を全く同じにして共鳴させるって代物だな。それをすることで肉体と魂がつながるらしい感じだ。ただこれ、魔法なのか?」)

 うーん……。

(「メルの場合肉体と同じになるように魂を調整し続ける感じ」)

 試す気にならない。多分やる必要のあるときは緊急事態だから。

(「お兄ちゃんとまた離れ離れにならない限り必要なさそう」)

(「それもそうか」)

 とりあえず、もうここにいないといけない理由はないか。

「みんなを人里に送って、後は帰って良さそう?」

「うーむ……こやつらを送るか、こっちに人を送るか」

 あー、そっちの手もあるのか。

「どちらにせよ、もう帰った方がよかろう」

 わかったー。

「じゃあねー」

 渡されたバッジを掲げ、帰還する。


 はい、帰ってきました。

「あれ、シャリア?」

「あ、チューンだ」

 帰ってきたらいた。というか教会に来たのか…。

「あ、そうだ」

「うん?」

(「交代交代」)

 お兄ちゃん、挨拶してないや。

「ずいぶんとわかりやすくなったぜ。久しぶり、チューン」

「無事だったんだな、コーキ」

「おう」

「ブレイザも特に話さないから触れない方がいいのかと」

「なるほどなぁ…」

 なんだか不思議な感じ。この二人のやりとり、あんまり覚えがないから。

 あ、戻った。

「壁の外に出るとか、大変だったろ」

「もう慣れたよ、今回ぐらいなら楽勝」

「そうか」

「さ、ソルトを助けないとね」

 頑張らないとねー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ