次の狩りの場所は結局どこなんでしょうか
訂正 シャリアの義眼は右じゃない
「コーキがおいておくつもりなら、本来の話題に移ろうか」
「そうだな」
これ俺生け贄にされてるやつなんだがなー。
前世だったらちょっと喜べたというか、にやけて積極的になってただろうけど、さすがに今はちょっと…。
すごく引いてる。恐怖が勝ったらしい。
「それでいいんだ…」
(「よくねぇけどな!」)
(「だよね…」)
(許して。私のせいなの認めるから)
あ、叢那が正直だ。さすがに哀れんでるんだろうか。
「で、どの辺だ?」
「えーっとね、それよりまず一体魔龍の会合の現場で捕まってる。シャリアちゃんは処刑まで演技よろしく」
「ムラナの要求ってことで最初にやるようになったからね」
「さすがにねー」
ふむふむ。
「で、その付近に2体くらい弱いのが近づいてる。これは人形遣いが処理するよ」
「なるほどな」
「で、コーキにはあんたが表でこいつを狩ってほしい」
「見覚えあるなぁ…」
多分同じ時期に死んだやつの一人だな。
「シャリアだとまずいと思う」
「だろうな、ワームとかは普通の特異個体だったがこれは明らかに眷属だ。それも意識してるだろうな」
その写真は、真っ黒な人型を写していた。
「で、私が目覚めた洞霊国にコウモリの群れがわいてるね。リーダーが部下を監視に使ってるのが面倒だね」
現地の人が特定してないんだろうなぁ……それ。
「あとはねー、前にシャリアちゃんがオークの群れを潰したでしょ?」
「うん」
「あの辺に真っ黒キメラが発生した。基本動かないのが救いかな」
というかなんでオークを潰した?
「そういえばその辺で知った魔法治療の話共有してなかったね」
「ふぇ?」
「人体実験代わりにしてたの、あいつら」
(「ひっでぇ!?」)
「すごいことするねー」
何それ知らない。すごく知らない。その事件のほうは知りたくないけど。
いやほんとマジで。
「普通の治癒魔法って老化を加速させちゃうみたいなんだよね。遺伝子関連かな?」
「はぇ?」
「で、癌にまでなる人がいたみたいでさ。圧縮、じゃなくて神魔力で処理できたんだよね。魂依存で修復させるといいみたい」
「……そういえばそんな手術してたね。いろんな意味で残酷な実験したね」
「やった甲斐があってよかったよ」
失敗してないから素直にそう思えるんだろうけど。
「全部成功してるからそれでもいいか」
助かる。今聞くところだった。
「……そのスーパーすごい治療、ぜーんぜん無理だったって神話があるのですが」
「「え?」」
(「……んあ?」)
つまり?
「さすがぁ!」
「えへ?」
それで終わりかよ!!
(「えっと……」)
「これもシャリアちゃんの才能ってことかな?」
(「俺もできそうな気だけはしてるが」)
「そうか……」
遺伝子関連の本、あさったら出てくるのか?さっきの発言的に微妙なんだよな。
どっちにしろ、シャリアに頼ればいいだけだろうとは思っているけども。
はい。この……砦だっけ?ここで一日過ごしてしまい、帰ってすぐ行くはめになりました。
「おい叢那?助けてくれてもよかったと思うんだが」
「ごめん、無理」
(「はぁ…ものすごい疲れたので寝る」)
「「おつかれー」」
いやーすごかったね。甘えて甘えてオーラに怯えてるのは見ててちょっと面白かった。
「今すごい邪悪な意思を感じた」
「いや心当たりないけど」
「えっ?」
「じゃ気のせいか」
とっさに「えっ?」とか返しておいてなんだけどごめん今の多分私。
「とにかく、気をつけてね、あいつら怖いから」
「う、うん。気をつける」
「ふふ」
前に抱きつく手が震えてたことがあったな、そういえば。
何の話の時だっけ。多分これが原因だろうなと今思ったのだけど。
「じゃ、いこう」
「かしこまりました」
ところでデックさんはずっと何してたんでしょうか。
帰ってきたらすぐ次の転移で飛ばされた。まるでバウンド。ぼよーん。
「…確かにいるね」
魔物の気配は一匹だけ感じる。
「ま、どうでもいいか」
「そうだね」
あ、ハザクだ。というか近衛部の聖人護衛隊みんないるな。
「なのなの」
「えっ…???」
かなり困惑してる。ちゃんと説明しておかないとだったね……。
「聖人らしく振る舞うべきなの、って感じで表向きやることにしたんで」
「あー……なるほど。今回は教皇として対応してもらうので必要ないです」
「ごめんね、すごい動揺させちゃった」
苦笑い一つ。答えに詰まってるじゃんこれー。反省しておく。
「あ、でも最初は必要らしいからやるよ」
「なるほど。とのことですので、周知のほどを」
「はい、確かにお伝えします」
「でも静かにね、耳が近づいてるし、もう一つに近づく。それに最後のは見つからない」
「…なんと。承知しました!」
そういえば処刑するところだった!
「目的地に敵対種あり、また接近中の個体あり、警戒せよ」
「シャリアちゃん、こちらへ」
なんか時代劇で見るようなものに入る。
(駕籠…?)
字だけ念で送るな。
(「読み方、かごでいいのか?」)
(うん、あってる)
(「人力じゃなくて人形で前後持ち上げるみたいだね」)
(かごもち人形、ぱっと聞いただけだとやばそう)
敵の加護持ち人形は怖いでしょうねぇ…。
とりあえずあとはみんなに任せます。
「あれ、結局口調はいらない?」
「うん」
楽といえば楽だけど。
周りにやたら強い魔龍の気配が満ちあふれる。
ついたのかな。なんかいろいろ話してる。
「む?人間か、弱々しい奴らではないようだが」
「あれぐらいなら俺でも」
「やめておけ、あやつらは追放された我らの恥を討ち滅ぼしたのだぞ」
そういえばそーね。
「この圧に耐えられるのだから問題などない、そうだな?」
なんか合意がとれたらしいので適当な場所にかたまる。
圧と言われても、この程度ならなんでもない。そりゃ居心地いいわけじゃないけども。
「―――静粛に、創造の神と法則の神の勝利を信ずる龍たちよ、もう報告を始めるぞ」
その声に反応し、他のすべての龍が会話を止める。
「諸事情により、さっさとこやつ……グリードスライムを処刑する。強欲の神よ、いかな神でもこれだけの部族を敵に回したこと、公開するがいい。ふん、聞いているらしいな、やれ」
「はっ!断罪術式、ルールジャッジメント起動!」
何かをためている。
(「ねぇねぇ、お兄ちゃん」)
(「なんかいやな予感」)
(「見たいから義眼飛ばしてくれない?」)
(「…………ほれ」)
左目の義眼が機能しなくなり、どこかの鎖からものが見えるようになる。
水色の閃光を散らしながら、白い雷の球が大きくなっていく。
そしてそれが多分手乗りサイズのスライムの中に入り込み、球形の攻撃範囲内を消失させていく。
「神の反応消失です!」
「戦争のときの…?」
一度、見たことがある気がする。
(「非常に似ているが違う、と思う。あんなわかりやすい光はなかったし。出力も段違いだ」)
(「同じ属性の可能性は否定しきれない、のかなぁ…」)
確かに今のあれは到底山を消せそうでない威力だね。
「それでは議論を始めよう……といってもここに集まる議題は一つ。神狩りの戦略。この代、我ら魔龍最大の秘奥、対神界爆撃の準備は大詰めであり、戦略を立て、備えるべきだ」
なるほど?なんかやばそう。
「王侯級と龍王の一部はそれ以下の階級の戦力の護衛をせよ。半神級で打って出る。異論がなければ人員を公開せよ」
大抵の……部族?は3匹ぐらいみたい。数え方が大分独特だけど。
「人……いや、神の卵たちよ、主らの戦力はいかほどになる」
「は、我らの戦力は…」
「無礼者!龍王たる我らの問いには人の王が口を開け!」
「…王は子供なので把握しておりません」
「えっ」
素が出たのか軽い。事実私は聞いてない。
「私、出るべき?」
「後でお願いします」
あ、断られた。というかこの人手術の後にお手紙読んでくれた人だ。あなたは読むのが仕事なんですか…?
「えー、聖癒中心の組織から聖女含む86名、邪滅中心の組織から邪徒含む41名、が暫定戦力となります。後者はあと75名に打診中ですが、率直に言いますればそこからは20名が限度でしょう」
結構多いな。龍と大して変わらないけど…。
「ふむ、さすがというべきか。だが戦力たる聖女とは奇妙だな。というか聖人と呼ばずに聖女とは女1人か?」
「それなのですが……聖邪混極、こちらへ」
何だっけそれ、って私か。
「はいはーい」
視界を戻してもらって外に出る。視線が集まるけど気にしない方針で。
「改めまして私が聖女にして今代の教皇、シャリア・オーディーです」
「ふん、なるほど。……子供だからではなくいがみ合いのせいではないか」
一部だけが何か変なことを察してる。いがみ合いってことは原因、ムラナだろうな。
とりあえずそのうちの1匹がこっちに来て普通に話し出すことに。
「ふむ、間違いなさそうだな」
「微妙に肩身が狭いんですよね。そもそも誰にも聞いてないけど、理由が把握できてない分、なおさら」
「それは知らんが、少なくとも王侯級ぐらいなら一人で屠れるだろう戦力、そうそう手放せもせんわな」
「うん、私強いよ!だから先代に頼まれたんだろうね、次の教皇」
「なにやっとるんだその……ふむ、雑談が過ぎたな」
そーね。でも私は何を話せと?でも確かにその謎の問題はあのおじさんも把握してたと思うんだよね。何やってると言われても妥当かもしれない。
「ん?」
攻撃の気配?
とりあえず鎖を展開して防ぐ。
「防くか!」
「やめておけ。確かめるまでもない格の差だ」
「なんだと!?……いや、そうか。ならば仕方あるまい。我、蒼鱗王の名において、こやつらを神に匹敵する強者と認めよう!」
「みんなの間で何が起こってるの…?」
淡々と行われていくから本当に意味がわからない。ほとんどの言葉から感情がうかがえない。
「この場におらぬ轟呑王の娘が魔力の神を幽閉している。今のうちに神界を我が物顔で歩く神を滅ぼす、そのための陽動は我らだ」
「ずるい、活躍したいぞ!」
なんか馬鹿っぽいこといった人……じゃないや、龍がいる。考えがわかりやすいね。要はおとりじゃねーか!ってことでしょうし。
「なら正面から打ち破って見せろ」
「あいあいさーさー!」
何言ってるかいまいちわからないがこんな感じだろうか…。同意だよねこれ。
「ともかく、極めの山の配置には気をつけろ、解散!」
「はっ!」
帰ってった…。
「ではな、外から来る輩の処理は任せる」
「なんでぇー?」
よくわからんがこれ中断しただろ!
「語る必要はない」
いや知らないのは私たちだけだろうけどもさ。
「なんかむかつくから一撃でやっちゃおうか」
適当に光の玉を作って発射!
「ちゅどーん」
はい、終わり。怪しい魔物はあちらの視界の外から退治されました。
「会議の内容ちゃんと聞いてなかったんだけど」
「中身ほとんどなかったですしそれでもいいのでは」
「互いの調子を確認しないとだからね。先代も代替わりの時しか来てないらしい」
ハザクとナティに聞いた感じだと、深く考えなくてよさそう。
「それにしてもシャリアちゃんの強さにみんな困惑してるね」
「私本当に強いよ、うん」
「そだね…」
実際チート転生みたいなところはある。知識があるだけでやれること結構増えるもの。開幕から結構ある上にたくさん蓄えてきた成果。
「量が足りないのが難点だったけど、クラウスに貯め込めるから解決してきてるし」
(「ほんとにいつもありがとう」)
(「……お、おう、照れちまうな」)
なんかこっちもむずかゆい感じ!
「帰る?」
「いや、ちょーっとやばいの転移してきてる。狩った方がいいね、これ」
うん?
「敵襲!強欲の神襲来!迎撃するぞ!グラデーションロザリオ、前線指揮を執り行う!(コーキ、前線に紛れて戦ってもらえる?)」
(「やるよ。シャリア!」)
「支援するよ!(わかったってさ!)」
さて、私は裏で魔法使いますか。魔法で回復するのがどこまでできるかテストです!
A.ここです




