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貯金と散財、まず財布

一月ぶりです。なぜかパスワード忘れてしまってましたこいつ。そろそろ暇になるので年末年始で5回ぐらい投稿。その辺まで大体話がまとまってるので。

「やることまだあるけどな」

「掃除さぼらないでねー」

耳が痛い人が他にもいるかもしれないのでこの辺で。



本当に忘れていました。

「まず音なんだけど、なんか叩いてるんだよね」

「軽くなんだよ、しかも」

 ナティ(オルタナティブさんのこと)とハザクの情報。なんだか覚えがあるようで違う。

 私は吹っ飛ばしたからなぁ…。

「壁の外の概念がないので、壁そのものの変化と伝えるのが自然ですね」

「何が起こったって言えばいい?」

 魔物のせいとかどうなんだろうか。

 例えば………わからんな。そもそも聞けばいいのか。

「魔物のせいってのはどう?」

「ん?」「お?」

「あー、ありかも?」

「壁に干渉する魔物か。いそうだね」

 やったー、通ったー。

「そういえば最近魔物生産場動いてなくない?」

「普通にダンジョンでいいよねー」

「ハザクは小難しいの好きなのー?」

「うっさい上だけ姉妹」

 上だけ姉妹って何よ?

 ダンジョンと魔物、そして私が今までであった魔物。いや、そもそも外から来た奴らばっかりか、私が見たの。

 緑の虎くらいかな、そのダンジョン産のやつ。

「そういえば……これ説明って聖人絡んでるんじゃ」

「聖人を説得する、という難題が?」

「あり得る」「かもかも」

「そもそもそのための部署ですから自然ですね」

 めんどくさい案件扱いになってる。

「壁のそばに聖人がある可能性ねぇ…」

「それは中央に連れてこないとまずい?」

「どーだろ…」


 北東区の北寄りの壁。そこが目的地のようだ。

 今はその付近の農業地区にいる。

「調査開始。まずは壁まで行こうか」

「うん」

 修道服を着た集団が歩く、恐らくは異様な光景。

 みんな見てる。

「あぁ、来てくれたか。調査はどうなんですかね?」

 畑から質問を飛ばしてくる。

「原因は概ねわかってます、でも詳細の特定は難航してるみたいですね…」

「説明会は明日ですかね?」

「その予定です」

「かしこまりました」

 さて、今日は聖人にのみ説明するらしい。

「あ、あのひとかな?すみません、クァーサーさんですか?」

「……」

 その人は無言で頷く。

 体の右半分を包帯で巻きまくってる禿頭赤目の青年。

「ではお話よろしいですか?」

「はい、今作業も終わりました」

 …ふむ?


 それで、あれだ。

 しばらく話せばわかるんだなって。

「それは石を投げつけたような音でした。ちょうどこの前そうやって遊んでる子供たちがいました。楽しそうで、見ている私もうれしくなりました」

 全て過去形。ずっと聞いてるとまぁまぁ不自然。

「多分ね、同じようなことを魔物もしてたんだと思うの」

「魔物…?なんですか、それ」

「あ、だめだこれ記憶飛ぶやつ」

 何があったし。

「魔物が禁句かぁ…めんどくさぁ…」

「何でわかったの?」

「何でか知らないけど、口調が崩れる時の記憶を失っているのはわかるんだ。みんなで積み重ねた経験則だね」

 なるほど…。

 私も口調いじった方がいいのかな?

(「シャリアの場合頭の中でも会話するからいじっても何も変わらないんだろうな」)

「あ、そっか、私はやってもだめか」

「そろそろ立ち直りそうですね」

「あーい」

 クラシェさんが下を向きながら教えてくれた。

 下に何もないと思うんですけど。

(「何で端っこにいるんだろうなクラシェ」)

 さぁ…?

「それで……どこまで話しました?」

「概ね原因はわかりました、後に冒険者が解決せんと向かうかと」

「わかりました。このたびはありがとうございました」

「いえ、お気になさらず」

 ……今更だけどすごくおっかない疑惑に気づいた。

 確かめた方がいいかも。

「音のなった場所ってこの辺?」

「うん、そうだね」

「ちょっと転移させてみる」

「はっ?」

 石を持って、時空魔法起動。

 不発。

 ちょっと右。えい。不発。

 繰り返すと……。

「転移成功を確認しました!」

「うっそでしょ…」

 聞いたことはないはずだけど、やっぱりこの壁、魔法を通さないようにする魔法を張ってあるね。転移魔法も通らない。

 だから上を経由するんだろうしねー。

「これを人が通れるまで拡張しようとしてるのかもしれませんね」

「なるほど、現段階では無理そう?」

「無理だと思います」

 ハザクくんが頼りになるわ。

「理論は難しいので後で本を渡しますね」

「(いやいらないと思う)」

「あはは」

 あ、じゃあ私もらおう。

「私読みたい」

「え、ああ、そうですね、帰ったら割とすぐに渡しますね」

「はーい」

 絶対難しい本だろうなぁ。さて、この後はどうするか。

 とりあえず外にいるのか中にいるのかわからないけど調査隊、壁偵部だっけ?に報告しないとね。

「調査班に報告できる?」

 とりあえず手の空いてるらしいフォルテに話す。

「うん、ここ空いてるんだよね、ならいけるよ!」

「じゃ、お願い!」

「はーい」

 壁は相変わらず白いままでどう眺めても継ぎ目が見当たらない。

 どうやって作ったんだろう、これ。やっぱり魔法でか?

「はい、どーぞ」

 ………なぜかキザクちゃんにキュウリを差し出された。味噌みたいなのをつけたやつ。

「ありがと、もらうね」

 受け取ってかぶりつく。彼女も自分の分を食べはじめた。

 新鮮な野菜はみずみずしくていいですねぇ。

 きゅうりはきゅうりだしあんまり味しないけど。それもまたよしということで。

「かんしゃして、たべないとね。たべてるの、いきものだもん」

「そうだね、私たちはこれからもたくさん食べることになるし、忘れないようにしないと」

「ふふん♪」

 何に得意げなのかよくわからないけど、まいっか。

「差し入れ食べ終わったー?」

「うん」

「二人とも食べ終わりましたー!」

 あんまり大きな声出せない感じっぽさげ?代わりに声を出しておく。

(「ちなみにお兄ちゃんはおいしかった?」)

(「おう、うまかった。だがキュウリだとは思わなかった、紫で」)

 そういうもんでしょ。

「それもそ……あれ、俺が外かよ」

「あ、かわった。にげろー」

「なんでぇー?」

(「そういうもんでしょ」)

 何でお兄ちゃんが表に出たのかはわからないけど。

「戻るー、あれ戻ってる」

 何だろこれ、不穏…。

(「本当になぜ逃げられたんだか分からないんだが」)

(「それを私に聞かれてもね」)

(「それもそうだな、今は気にしない気にしない、っと」)

 そんなことより今代わったことの方気にして。

「あ、報告できたよ、野菜を買って帰ってきてほしいって」

「急だね……」

 しかも詳しく聞いたら、かなりの量だった。

 きつそう。

ところで、どっかで聞き覚えのある名前が出てたことに未だに気づかないシャリアちゃん。

「高頻度で思考に浸るからそれに使う分はすぐ思い出せる感じっぽいな」

「人の名前覚えてるけども、顔を見る余裕のないときもありますよぅ…」

次回、お金の話は大人の話、大体そんな感じ。

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