神殺しの満ちない杯
文章量を戻そうとしていたらここまで期間が長引きました。だめでしたね。
それと、この時間に更新するのが常になるかもしれません。
帰還前に、なぜか教皇のおじさんに呼ばれた。
みんなで席に着き、飲み物をもらう。
「シャリアちゃんに、頼みがある」
「はい!何でしょう!」
「教皇の座を継いでくれないだろうか」
は?とりあえず左目を閉じる。
(「よくわからん」)
それはそう。
教皇になる?私が?
「……みんな呼んだのって」
「みたいだね」
メル姉が本領発揮してる…。
「ふははっ、話が早いな」
教皇のおじさんも笑うしかない。
「あまりともにいる時間はないだろう」
「血、どうすればいい?」
「む?吸血鬼だったのか。まぁ少々は当てがあるが……ん?君も大概察しがよいな」
え、あぁ!そういう理由か。
「シャリアに出られるとソルトの治療にも困ります」
「うむ……そうか、難しいか」
「近衛部を事務処理に特化させればあるいは。行き来する程度で済めばこちら側には問題がないかと」
「なるほど、検討してみよう」
難しい話になってきてるけど、つまりは大丈夫と。
「しかしなれてしまったようだな」
「一応は不良生徒代表なので」
「私、やります」
「しかもこうなっては今程度で済みません」
動じなさすぎでしょお母さん。
確かに教皇のおじさんへの口調が軽くなってるね。元々そんなでもなかったけど。
「では、帰るとしようか…」
そして実験したり、話し合ったり。
そして朝。
「うぅ…」
目の前にソルトの寝顔。ってか抱きつかれてる!?
後ろにシェーラもいるなこれ。
「………」
何してんだあんたら。
(「引っぺがす?」)
「さすがにシェーラはあれだから普通に逃げる。空よ、私は側を去るのでよろしく」
ちょっと長めにした。細かくやらないとね。
とりあえず階段降りてリビングで本を読んでるブレイザの隣に座る。
「どうした?」
「ソルトに寝込みを襲われた」
「お、おう?」
……涙目?
あー、うん。
「ちゃんと時々帰ってくるから泣かないの」
調子狂うなぁ。チューンの時と全然ちゃうやん。
「わかってるよ。でもなんかだめなんだ」
なるほど?ところで何を読んでいるんだろ?ちらり。
えっと………黒い翼が空を包んだそのとき、天地は混ざり、そしてすべては大地となった。大地に包まれ守られた民は…
「のぞくなー」
「え、あ、うん。ごめんね」
「問題ないぞ」
リブになんか怒られた。なんでー?
「さて、いいでしょうか。真面目な話ですが」
「さっきからそうだけど、改まってなんでしょ?」
「今日に儀式を行うそうです」
「なるほど、それでね」
もっと後だと思ってた。あ、リブが今来たメル姉と話してる。やっぱり読まれたね、渋い顔してるもん間違いない。
「……地下室の剣、ある程度扱えていたそうですね」
「うん」
「持って行ってください。それと、地下を歩いてください、とのことです。これが地図」
地図とともに、新しい服も渡された。これ着ていけばいいのね。
「はーい」
地図は細かく、よく見ればここのキャンプからあのビルまでの道に線を引いてある。逆に言えば、よく見ないとわからない。
「なるほど…」
「急ですが、……頑張ってね。シャリア」
「うん。ありがと、セリーナさん」
「……」
別れっぽいけど多分明日また……下手したら今日中にまた来るんだけどね。
「急だね、ほんと」
(「そうだな。あ、いたいた。もう出る。これから気をつけろよ、メルシャン」)
「そうするよ」
とりあえず持ち物まとめておこう。
適当にぽいぽい。
「おけ」
「ほんとー?」
「うん、必要なものは入ってるよ、アリカ」
「………まぁ、チューンよりは帰ってきそうだよね」
「ってかまだ帰ってきてないじゃん」
準備オッケー。
後は服を着替えてと。
じゃ、行こう。
「じゃあ、またね。ソルト、シェーラ」
「うん、また」
「来たらカンゲイしてあげる!」
シェーラの手を掴む力が強い。素直にはしないのか…。
(「うーん……なんだかなぁ……うーん……」)
内心はずっとこんな感じ。
「読心術一つで対処できないところまでとはね…」
なんかいってる。つまり今の複雑な心境はセリーナさんには読み取れはしてないと。
「また来ます」
「そうですね。そのときは歓迎するつもりですよ」
「教会としての仕事は私がこなすから」
エリシア…。いつの間にか大人になってる。
「なんかあったら頼れよ、シャリア、コーキ」
「うん、ありがとう」
「そうするよ、ブレイザ」
今自分でいつ入れ替わったかよくわからないぐらいの感覚だな。慣れ、で済むことかやら。
今はそれは問題じゃあないか。何かあったら聞くくらいのことはしてもいいとは思うが…。今はなんかね。空気的な、ね。
「ガンバ!」
「うん!」
アリカは相変わらずか。
「行ってきまーす!」
そして、地下。錆だらけの剣に神魔力を込め、引き抜く。
布を巻いてもらって、背中につけた鞘に差し込む。
はい完成。
(「ありがと」)
(「気にするな」)
ちなみにしまうのにも取り出すのにも腕の長さは足りてない。今は使わないから別にそれでもいい。
「さて、歩こう」
こうやって二人きり(一応一人だけども)で歩くのも久しぶり。
(「ここ荒れてるね」)
(「何かしらあったんだろうな」)
地面がかなりえぐれている。ところどころ半円状に。よいしょ。腰までくらい?
(「わざわざ入らんでも」)
「えへ?」
頑張って進む。そもそも今となっては油断しなければこれぐらいは怪我なく進める。
(「さっき、魔法の気配なかった?」)
(「なかったと思う」)
(「なら大丈夫か…」)
ちょっとだけ不安なんだよね。
「うわっ…?」
倍くらいでかいクレーターに血がびっしょりある。……あれ?
「地よ、正義よ、血を僅かに捧げる」
少し自分の血を手の上に垂らす。色が違うのは時間の都合で当然として。
(「私の方ですらはっきりと魔力が入ってるのに、これは全くないね」)
(「時間で魔力が抜けるのか…」)
(「私の量全く減ってなくない?」)
(「確かに」)
何だろうね…。
「にしてもずーっと人の気配するんだよなぁ」
(「それ俺も気になる」)
なんだろうね?
(「そもそもこれ何で明るいんだ」)
(「何かあるのかな」)
(「その何かについて知りたいな」)
ナンダローネ?
(「急ごう」)
(「急ぐのはシャリアのほうだろ」)
てへ?
とりあえず道を確かめる。
壁か減っててわかりにくい。
でも、なんとかなるね。進もう。
急展開ですが話数を割くにしても2、3話で、しかも時間的にはこれ以上ゆったりできないものなので誤差です。
登場人物からしても急展開ですのでご容赦のほど。




