表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/182

屋根の上、牙を研ぐ

さすがにそろそろシャリアも使います。

 屋根の上で、ぼーっとする。

「今日もまた平和だねぇ…」

 あれから少し時が立って、6月。

「私は……何だろうね?ふふっ」

「何やってんだよ、ほれ、飲みもん持ってきてやったぞ」

「ありがと」

 あ、お兄ちゃんが来た!

「分身、なれてきたな」

「ねー、じゃ戻って」

「おう」

 鎖をより効率よく貯めるためには、節約が大事。もちろん、必要なときは消費しまくるけど。

「神魔力にしてから貯めると効率いいねぇ…」

 神の極致はまだ全然使ってないけど、その元である神魔力は大分蓄積できている。鎖の長さもそこそこだろうか。

「にしても目がなぁ…」

(「まだ気にしてたのか?」)

「いや、あれは別に。でもそれはそれとして気になるよね、単純に」

 まだ気にしてたのかってのが何のことかをざっくり言うと、前に赤い目を指してクラウスだなんだと叫び散らされたこと。その内容は忘れた。忘れてなかったらこんな表現しないけど。あーなんだっけ?

(「とはいえ俺が邪悪なのは否定しないけども」)

「何も言い返せないよね」

 あ、そう。それだ。邪眼だの災厄の予兆だの。イミガワカラヌ。略してイヌ。……ごめんなんでもない。

 とりあえず、ぼーっとしてる。

「地よ、高見させよ。と、やぁやぁ」

「あ、教皇のおじさん」

「シャリアちゃん、ちょっといいかい?」

 教皇のおじさんだ。

(「当たり前のごとく圧縮してたなこの人」)

「……圧縮魔力?」

「ああ、そうだね。私は魔法の適性が皆無だからね、こうしないと使えないのさ」

 それができるのがすごい。

「にしてもクラウスの本質はここまで研ぎ澄まされるのか……兄だったか」

「うん、そうだよ」

「私も彼と、少しだけ話したいな」

「いいよ、変わるね」

 電話を代わるぐらいの感覚でいける。

「初めまして、かな。そういえば話したことなかった気がするや」

「そうだな、まぁあったとしてもそろそろぼけて来てるんだが」

「あらまそりゃ大変だ」

 いろいろ大変そう。

「色が変わるのは奇妙か?」

「そんなことはない。魔法適性が高すぎて色が飲まれてるんだろうとは分かる」

「なるほど、ってかそれえぐいよな?」

「まぁあの水晶を壊すほどなのだろう?それではそうもなるさ」

「力はあるに越したことがないが、なぁ…」

「そうだな」

 結局こんな話ばかりしていた。


 眠いねー。

「では、達者でな」

「おうよ」

「じゃーねー」

 手を振る。……さて。

「寝る!お昼寝!」

(「そうだな、おやすみー」)

「うん!」

 すやすや。



 空が白く見える。おそらく今日は晴れのはずだが。

「副作用だな」

「あ、父さん」

「………ああ、ネジェル」

 息子はなぜか青い花の植木鉢を持っていた。

「どうした?」

「貰ったんだ」

 ふむ、そういえば恋人か何かがいたという話があったか。

 あれはいつだっただろうか。うむ、思い出すのも一苦労だし、あまり考えなくてもいいだろう。

「そうかそうか」

「ところで、この前の話…」

「ああ、そろそろ実行時だろう、来月には儀式を行う。先は決まっている」

 問題はあるまい。

「……そっか」

 命は落とすさ。間違いなくな。

「頼むぞ、お前も」

「うん」

 少しだけ悲しそうな顔を見せてくる。隠そうとはしてるのだろうが。感情豊かで何よりだ。殺霊は感情を殺しがちな節があるしな。そのまま感情を忘れるなどということがあるとこちらも悲しい。

「うむ、空が青い」

 心が澄み切ると、空もはっきりと見えた。



 すやすやと寝てる間に鎖が伸びていく。

 そして、落ちた。

「いた、あれ?」

 鎖が体中に巻き付いていた。引っ張られる痛い、痛いよ!

「あ、落ちかけてたのか」

(「ふぁ……んぁ?」)

 なんとか緩くして立ち上がれた。

「ねぇ、空おかしくない?」

(「だなー」)

 妙な魔力が立ちこめている。

 なんか、神魔力に似ている、別の形で完成されたもの。

「これが何か、確かめようか」

(「りょーかい」)

 調査……ってほど時間かからない気がしてる。

 そうと決まれば、……とりあえず鎖を作ろう。これは日常になるね、間違いない。

ブックマース登録数が50件になりました。誠に感謝しております。ありがとうございます。

これからもよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ