心の剣
家、その中で共同生活を送る人達をおそらく、
家族と言うのだろう。そういう意味では
俺の家にいる人達も『家族』なのだろう。
多くの人は、おそらく安らげる
数少ない場所の一つだろう。
・・・・・俺にとっては、
安らげない数多い場所の一つだ。
家族関係は、歪で
仲が悪い・・・そんな優しいものではない。
コミニュケーションをとってない。
だから、家族の情報など全く持ってない。
誕生日、職業など全く知らない。
知っているのは、せいぜい名前、声、顔、年齢、この程度。
いや、声も忘れつつある。
そして・・・
学校も、友達など居ない・・・居ない
家族との関係のせいか、学校での友達との関係も
歪だった、一人を除いて。
この話は、また、次の機会にでも話そう。
息を整えて、谷の先を見ると、中世西洋風の町?国?がある。
しかし、見たことの無い建物だ。
一体今どこにいるのだろう。とにかく、さっきの様な『バケモノ』にまた会わないとも限らないし
行ってみよう。
ーーーーーーーーーーーーーー
近くまで来たら建物の正体がわかった。
やはり国、城、城下町だった。
周りを見聞きする限りでは、
日本人と何ら変わらない。
ただ髪の色が違うだとか、
耳が少し尖っているとか、
目の色が違うだとか、
その程度・・・とにかくここはどこかを聞こう
おそらく日本語でいいだろう。
すいません、ここは何という場所ですか?
頭の中に浮かんでいた、本心を少女にぶつけた。
え〜?私ですか〜?
はい
間をおかずに答える。
ここは、世界三大国の一つアルトですよ〜
少女は、それが当たり前の如く答えた。
一瞬頭の回転が停止して再起動した。
ア・・・アル・・ト?
はいアルトですよ〜
わ、わかりましたありがとうございました。
この状況、どう解釈すれば良い。
見たことも聞いた事も無い場所で一人
心に響くのは、くっきりとした孤独感。
あ、あの〜今日泊まる宿決まってますか〜?
そんな事を考えていると、さっきの少女が
今度は、俺に質問を問いかけた。
その唐突過ぎる質問に反応出来ず聞き直した。
え?
少女は、この質問の経緯を話す。
だって〜どう考えても旅のお方ですよね〜?
ここで、ようやく頭が働く。
あ、あー決まってないです。
なら〜うちに来てください〜
ならばといわんばかりに目を爛々と眩しく光らせる様に錯覚させる。
お安くしますよ〜‼
いきなり大きな声をひねり出しギョッとさせられた。
えっと、良いんですか?
少女の目の光はついに星の様な輝きに変わった。
はい〜‼
その代わりお願いがありまして〜
お願い?
えっと〜それは〜、宿に来てくれたら話します〜
少女にその『お願い』...聞いてもぼかしながら話しを進める。そのたびに顔の赤みが増す。
やはり言いにくのだろう。
反応を見て察するに言いにくい事であろうことは、分かる。
わかりました、俺は少し調べる事があるので、ここら辺で書物がある場所ってありますか?
この世界に図書館があるかわからないのでぼかしながら発言する。
えっと〜それなら〜
一瞬間を置き少女は、前を向いて言った。
ミカヅキ図書館がありますよ〜
そうか、ありがとうございます。それから宿の名前は?
礼をしなければならない・・・という意味もあるが行かなければならないという意味が八割の発言だ。
宿の名前は〜・・・
名前、見た目、言葉、やはりどこからどこまでも・・
日本だ。
クレナイです〜。
そうか、ありがとう
まずはミカヅキ図書館から行くのが先決だろう。
この『世界』のことも色々知っていなくては、いけないだろう。