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六話「ダイビングはピクニックの後で」(艦コレわたしもやりたーい!)(今は着任開放やってるときを狙わなきゃいけないからなーどうだろう。)

 「そうだ、レミア。俺も行きたいところがあるんだけどいいか?」

 「いいよ!私はここに来てみたかっただけだから、もう満足なのだ!」

 レミアは俺の考え方が小さいとレミアは言っていた。

 確かにそうだ、せっかく(レミア)という規格外の存在が近くにいるんだから無理だと諦めていたことも一考の余地はあるのかもしれない。

 「海中とか、大丈夫か?」

 「よゆーです!」

 そうして、次の目的地の場所を調べるために一度新潟県のどこかに降りて、携帯で場所を調べまたレミアの背に乗ってその場所へと向かった。


 空を流れる。

 二度目で慣れるなど不可能だが、それでも行きよりは余裕があった。

 レミアの背で胡坐をかく程には。

 俺を球状に囲う物のおかげで、超高高度の気圧やマッハにすら届きそうな速度に伴う風圧もGも俺にはかかっていなかった。

 それでも、少しでも視界に海面とか見えるとくらくらしてしまうから一心に目を瞑っていた。

 「風圧とかは大丈夫だけど、水圧はどうなんだ?」

 『多分大丈夫だよ!昔、修学旅行で日本のもっと下方にある、海のものすっごい深いところを歩いたから!』

 それってなんとか海溝とかそういう所か?そもそも修学旅行って・・・・。

 何から突っ込めばいいのやら、とにかくやはり規格外だって事はよくわかった。

 レミアの声はなんというか、身体の振動を伝って脳に響くようだった。

 和太鼓の演奏会とか、超高級アンプの重低音の身体の芯にズンズン来る振動が言葉になっている感じ。


 『お!見えてきたよー!』

 恐る恐る目を開くと、遠くに小さな黒点がみえた。

 「やべって怖っ!怖い怖い怖い!」

 剥き身の身体で遠く一面に広がる海面は自分の小ささに本能が逃げ出すように訴えて仕方が無い。

 怖いと、骨が震える気がした。

 戦争中に、敵国の空母に着艦しかけた戦闘機の話があるがなるほど納得だ。

 こんな広い海で、島ですらあんなに小さく見えるのに空母なんてもっと小さいことだろう。

 そんな中で、空戦で入り交じった後なんて着艦ぎりぎりまで識別なんて不可能。


 「着いたー!」

 「ああ、地上って素晴らしい・・・。」

 着いた場所は、マーシャル諸島は『ビキーニ・アトール』。

 所謂、ビキニ環礁だ。

 フィリピンとハワイ諸島のほぼ中間に位置し、北にはウェーク島、南にはビスマルク海やソロモン海と日本の大戦史においても重要な場所。

 「さて、どうしよっか。本当なら地元ダイバーさんとかに場所を聞ければいいと思うけど・・・不法入国だしな・・・見つかると厄介かもな。」

 「なんとかなるでしょ!ほら、せーーーのっ!ぴょーん!」

 「ちょっまっ・・・!おああああああああああああああ!」

 俺の手を引くレミア。

 この切り出し、何回目だろうか・・・。



 心臓がなる。

 ドクンドクンとなる音が、血ではなく汗を吐き出してる気がするほどに身体が凍る。

 進むたびに眼下は暗く、深く、黒い闇が現れる。

 海。

 空中から見る海の広大さは人間一人に対する地球の広さを感じた。

 自分が砂漠に落ちる一粒のゴマのような、無力感があった。

 ならば――ならば海中は魔界だ。

 虚無。

 呼吸が速くなる。死に急ぐように刻む心臓と、五臓六腑の底から恐怖が這い上がってくる。

 下をみればどこまでも黒く、底の見えない闇はこちらを飲み込む大きな口のようで、、まどろむ海流に乗って遠くに魚影が見えるがサイズが測れない。

 見上げて、見下ろす。

 鮮やかなブルーのグラデーションはチベット高原で見上げたスカイブルーとは違い、おどろどろしくみえた。

 「とりあえず探してみようか!」

 「お・・・おう・・・な、なぁ!大丈夫だよな?!」

 「んー?大丈夫だよ~!全くソウタは心配性だね!」

 「いや・・・これは予想以上にきついって・・・」

 レミアと一緒に、球状のバリアに守られながら海中を行く。

 これがまだ浅いといわれるエリア?

 ダイバー、尊敬する。

 元々、時々ネットで見かけたダイバーと一緒に鯨が収まっている写真とか見るとものすごく怖かったしある程度覚悟はしていたが、百聞は一見にしかずということ・・・か。

 「---、----------。---------、---」

 モスキート音のような高い声がレミアから発せられる。

 広がっていく声、遠く伸びた声は別のものになって聞こえる。

 「あっち!なんか大きいものがある!」

 ドラゴンちゃんの判明能力『絶壊』(身体力超強化)『いつでも倉庫』(四次元ポケット)『飛行』(おそらく戦闘機並み)に『ソナー』が新たに追加された。

 便利だなぁ。

 そんな事を思ったら少し気持ちが緩んだ。

 海の中を歩く。

 少しずつ、この圧迫感にも慣れてきた。

 「しかし上下も前後も自由とは凄いな、これ」

 レミアが少し先を歩くと、むにゅっと擬音がつきそうな形で形状記憶ゼリーのように伸びるバリア。

 軽い足取りで進むレミア。

 なんかこんな景色のラスボスダンジョンへ進むワープトンネルみたいなのあった気がする。

 「さっき修学旅行とか言ってたけど、レミアの世界はどんな感じなんだ?」

 「上界のこと?うーん、地球とは違うけど地球みたいなところだよ。ソウタたちの思う天国とか、極楽浄土とは全く違うものだね。普通にいろんな種族が暮らしていて、働いたりとか学んだりとかしてる。」

 「ほう。それはちょっと以外だな。」

 「どちらかと言えば、ファンタジー異世界の方が近いね!ゴブリン街っていう有名なショッピング街があったり、エルフといえば大書庫と、クレープね!エルフのスイーツも美味しいし・・・ま、いつかソウタも連れて行ってあげるよ!」

 「え、いや・・・大丈夫なのか?」

 「うん、別に大丈夫だと思うよ。あっちに来る人間は戦士の宮殿(ヴァルハラ)経由が多いからかなり珍しいけどいないわけではないし。・・・あっ!見えてきた!」

 レミアの言葉に、前を向くとそこには――。

 佇む巨大な影。

 背筋に何かが這うような感覚とともに一気に凍った。

 空中で、島すらもただの点だった。

 だがこの巨大な影は―――。


 まるで神話の悪魔だ。


 目の前に忘れ去られ70年のときを刻んだ空母(・・)はもう人の作り出した物を当にかけ離れ、まるで恩讐が生きている怪物のようだった。

 レキシントン級二番艦『サラトガ』。

 戦後、ビキニ環礁で行われたある核実験。その多数の標的艦の一つがサラトガだ。

 放射能の影響も少なくなったということで現在は有名なダイビングポイントになっているというのを前に聞いて一度来てみたかった場所だ。

 とはいえ、中級者程度の資格が必要と言うことで諦めていた。

 「レミア。ありがとう。」

 「う、うん。ソウタはこれを見たかったの・・・?」

 レミアが俺の手を少し強く握り、怖そうに指差した。

 おそらく艦首側だろう。見える限り海藻が体毛の様に群生し、排水用だろうか?開いた部分が口のように見える。

 飛行甲板は全長280メートル弱、満載排水量50トン弱という巨体が海に未だ眠っていた。

 少し寄ると、多数の小魚が見える。

 自然はたくましいのか無頓着なのか。その怪物は立派な生態系の一部となっていた。

 水は削るもの、流すものというイメージが強いが逆に保存することも出来ると聞いたことがある。

 水深のある高さから下は酸素を全く含まなくなり、有機物の保存に適しているとか何とか。

 

 ――正直、見蕩れてしまった。


 最初の畏怖は当に消え、俺には徐々に様々な感情が湧いてきていた。

 「そっか、ソウタ『艦艇コレクション』好きだものね!」

 「ああ・・・そうだな――」

 「失礼しまあああああああっす!!」

 「きゃっ!?」

 「なんだ!?」

 声がした突如、視界は暗転し、身体が回っている感覚だけが分かった。

 ――はあっはあっ、やばい、やばいやばいやばい!!手足が!沈む!沈む!!

 鼓動が急加速し、頭が真っ白になる。

 死にたくない、、とそれだけを必死に思った。


 「だ、大丈夫ですから!!とりあえず落ち着いてください!!!!」

 「ソウタ!大丈夫!私の手を感じて!大丈夫、大丈夫・・・!」


 ハッ――その声に、俺は動転していた感覚を取り戻す。

 上下の感覚を取り戻し、そしてもがくように振り回していた手足を落ち着かせ、最後に息を吐くと腰が抜けた。

 汗が――いや頬を伝う雫は涙か。

 「ちょっと!!いきなり何するの・・・って!あんたは!!」

 「こっちの台詞ですよもう少しで・・・あなたは!!」

 俺は必死に呼吸を整えていた。

 ぴくぴくと足はいくら力を込めても抜けていくようだった。

 とりあえず、なんか言い争いを始めた二人を見る。

 一人はレミア。もう一人は・・・なんだ?スーツで、眼鏡で、黒髪をポニテでまとめて、年は俺と近そうな見た目だ。

 就職説明会とかにいそうだ。

 赤い鱗の尻尾がなければ。


 「だーかーら!私が隠さなければ!あのダイバーさんたちに見つかって大騒ぎになってましたよ!!」

 スーツの女性が指差した方向を見ると、確かにサラトガの船体の周りに気泡を上げている数人が見えた。

 だが、確かレミアは・・・ 

 「だから認識阻害はちゃんしてあったし、申請もしてあるはずでしょ!?」

 そう、確かチベット高原で認識阻害という便利なものがあるから人に見られる心配は無いから大丈夫という話をした。

 ここにくる途中で人気のダイブポイントになっているという話しもしたし、おそらくそれを怠っていたとは考えにくい。

 そもそも、この女性は誰なんだ。

 「そんなはずが・・・あっ。いえ、私はあなたを覚えていますよ!人間の探査船に手を振ったあなたを!」

 「今‘あっ’て言ったじゃない!そもそもあの時だってそっちの処理が悪かったんじゃない!」

 「私の初仕事あれだったんですよ!?上司には怒られるわ、始末書やら各部署へのお詫びとか大変だったんですから!!」

 「あのー、すみません」

 「「なに!?」」

 「俺にもわかるように説明してもらえますか?」



 「はい、どうぞ。ソウタ・・・さんでしたか、日本の方ですよね?こっちのコーヒーは美味しいですよ」

 俺は差し出されてたカップを手にする。

 横であきらかに怒ってますよ、と腕を組みそっぽ向いてるレミアも横に座って。

 とりあえずサラトガの眠るビキニ環礁から、少し離れたマジュロ環礁、首都のマジュロにあがった俺達はスーツの女性に案内されある一軒家に来ていた。

 「私はネリと申します。人間界上界生物監視協会『トール・ユニオン』に所属しています。」

 「ふん、ソウタが入れたほうが美味しい。」

 「レミアそんな事はややこしくなるから、言わなくていい。ネリさんとレミアは面識があるようですが?」

 「ええ、それはそれは・・・」

 眼鏡を抑えながら、痛む頭を抑えるような仕草をするネリさん。

 「ほら、来る途中で修学旅行のときの話を少ししたじゃない?その時にね、偶然人間の深海調査船と出くわして友達と一緒に手を振ったの。」

 「ええ、そうですよ。そのせいで私がどんなに――」

 「嘘!?レミアが人間に手を振ったのか?」

 「あの時は友達といたしちょっとテンションあがっててね。でもそんなに驚くことでも無くない?」

 「いやいや、買い物のたびにしがみついてくるお前が――」


 「ちょっと!!私の話も聞いてもらえますか!?」


 「あ、はい。すみません。」

 机を叩き自己主張するネリさん。

 すみません、レミアは普段宅配のインターホンがなるだけでもびびる子だからそっちの方が驚いてしまった。

 「まぁ、過去のことはとあえずいいです。ですが認識阻害も万能では無いのです、海流の流れなど違和感を覚えて視点が少しでも変わると人間でも見えてしまうのですから気をつけて下さい」

 「何それ!こっちはちゃんと手続きしてあるのにこっちが悪いみたいな言い方やめて欲しいね!」

 なんか、怒ったレミアは新鮮だな。・・・シルさんのときも感情を出していたか。

 なんかまた言い争いが始まりそうだな。

 「とりあえず問題が無いなら帰りも遅くなってしまいそうですし、俺らは帰っても大丈夫ですか?」

 「えっもう・・・あ、いえ、はい大丈夫ですよ。帰りも人目を気をつけてくださいね」

 「じゃあ帰ろう!そうだ、今日はこのすばの一挙放送だ!」

 べーっと舌を出して部屋を後にするレミア。

 「すみませんネリさん、コーヒー美味しかったです。では失礼します。」

 「ええ、さようなら・・・。」

 部屋を出ると居間があって、窓辺でもう一人、本を読んでいる褐色肌の女性がいる。

 お邪魔しましたと小さく頭を下げると、こちらに少し視線を向け「・・・・・・・ネリ楽しそうだった。ありがと。」と呟くのが聞こえた。

 それを聞いて俺は、竜の姿になって待っていたレミアの背に乗り込み日本への帰路についた。


 温暖な南西諸島も高度が上がった途端に肌寒く感じながら沈む太陽に沿って進む。

 『綺麗だね!』

 「そうだなー」

 日本へ近づくと、煌々と光りの塊で都市部が認識できる。

 深海へと続く闇を見た後だと不思議と夜の暗闇はそこまで怖くなく、流れ行く電気に彩られた夜景を眺めながら俺達のマンションへとたどり着いた。

 

 「なんか大冒険しちゃったね!」

 「そうかもな。風呂はいいか、シャワー浴びて晩飯つくるかー」

 部屋に入ると、どこかうちの香りが新鮮に感じた。

 レミアは流れるようにパソコンとゲームを起動して、スマホを充電し始めていた。

 規格外のドラゴンもやはりこういう姿を見るとただのレミアだな。

 そんな姿に安心しつつ、飯は何にしようか――と思いながらシャワーを浴びて目を瞑ると今日一日の様々な景色が脳裏に浮かんだ。


 「久々に超疲れたな。だけどまぁ、こういうのもいいな。」

 とか呟いていた。

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