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第4話 平凡な放課後(?)

 要さんの提案により、一先ず喫茶店に入ることになった。隣には間宮さんが座っている。


「竜口君は委員長と同じアパートってことは1人暮らし?」

「はい。」

「ですから、要さん、私はもう委員長では…」

「というか、なんでこの時期なの?」

「珍しい。」

「家庭の事情です。」

「…そっか。」


 注文していた珈琲とミニケーキが届く。要さんに勧められるまま頼んでしまった。


「この後はどうしましょうか。若那君はどこか案内してもらいたいところはありますか?」

「案内してもらいたいところ…服を買うところを案内してほしいです。」

「服?」

「はい。普段着を持っていないので買えたらと。昨日商店街で食材などは買えたんですけど、服屋は見当たらなくて。もしかしたら見落としてしまったのかもしれませんけど…」

「商店街だと制服が飾ってあるお店がありませんでしたか?」

「ありました。もしかしてそこで他の服も売っていたんですか?」

「はい。1階は制服やスーツですけど、2階は普通の服が売られています。」

「商店街だとそこだけ。」

「後はデパートとスーパー、個人経営の店とか?今から歩くなら個人経営がいいと思うけど。」

「私の家、来る?」

「そういえば、間宮さんの家は洋服も販売していましたね。」

「安くする。」

「それって千尋が決めていいの?」

「大丈夫、なはず。」

「へー、というか、珍しくない?千尋ってあんまり家には知り合い来て欲しくないとか言ってなかった?」

「…なんとなく。」

「変なの。もしかして気があるとか?」

「…違う。たぶん。」

「たぶんって言った?うわ〜、千尋ってば大胆だね。さっき会ったばっかりなのに。」

「即断即決。」

「いえ、間宮さん?それは即断即決するようなことでは…」

「えっと…では、全員が食べ終えたら、間宮さんの家に向かいましょうか。」

「そうする。」

「今日はそれで解散かな。竜口君もカラオケとか連れてかれても困るでしょうし。」

「女3人に男1人ですからね。…あの。今ふと気づいてしまったんですけど。」

「ん?どうしたの委員長?」

「いえ、ですから委員長ではないんですけど。竜口君、今日私達としか会話してませんよね。」

「あー、そうだね。体育館のこともあったし。」

「…放課後は同性の方と親睦を深めた方が良かったのでは…」

「確かに。」

「…」

「あれ、もしかして連れ出したのは不味かった?」

「桃華、ギルティ。」

「私だけ!?千尋も同罪でしょ!?」

「違う。竜口君を引っ張ったの桃華。」

「私もお2人を追いかけただけですから。」

「…えっと…ごめん、竜口君。」

「構いませんよ。順番か変わっただけですから。」

「だよね〜。ほら、竜口君は許してくれたよ?私を責めてばっかりの2人とは違って。」

「…竜口君。桃華にいじめられた。」


 間宮さんが右腕に抱きついてくる。


「あの、間宮さん?僕の腕に抱きつくのは…」

「違うから!?いじめてないから!」


 要さんが、立ち上がって抗議を始める。


「…知らぬは本人ばかり。」

「意味違うから!あれ?いじめられてるの私じゃない?」

「間宮さんも要さんも落ち着いてください。店内ですよ。」

「「あっ…」」


 いつの間にか注目を浴びていた。ほほえましそうにこちらを見る老婦人に睨んでくるスーツ姿の方など。店員の方は少し困ったように目尻を下げている。


「すみません。」


 そう言いながら立ち上がっていた要さんが着席する。


 ケーキを食べ終え、代金を支払い、その喫茶店を後にする。要さんと間宮さんの食べるスピードが心なしか早かった気がした。

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