第3話 平凡な放課後(?)
照明の落下の後、美空さんと俺は保健室で怪我はないか確認された。怪我はなかったが、美空さんは親御さんに連れられ帰っていった。
始業式の後は下校の流れだったため早退扱いにはならないらしい。俺も帰ろうとし、教室に荷物が置かれていることを思い出し教室へ戻る。教室に入った途端、クラスメイトに囲まれる。
「若那君!大丈夫でしたか?」
「はい。僕も姫城さんも怪我はありませんでした。」
「そっかぁ…よかったぁ〜。」
茜は床にへたり込みそうになるので、それを支える。よほど心配してくれていたようだ。周りの男子からの嫉妬の視線は痛いが。
「ありがと、若那君。」
「委員長、離れる。」
俺から奪うようにして間宮さんが茜の手を引いた。
「委員長〜、竜口君疲れてるんだからダメだよ〜。」
「あっ、そうでしたね。じゃあ、若那君帰りましょうか。」
「委員長、竜口君の家知ってる?」
「はい。同じアパートなんです!」
更に視線が痛くなる。
「は、はぁ?委員長、ほんとに!?」
「ど、どうしたんですか、要さん?そんなに慌てて…」
「え、えっと、そうだ!竜口君、この後どこか行かない?親睦会的な。」
「そうする。私も行く。」
「間宮さんまで…というか、さっきお2人とも竜口君が疲れてるって言ってましたよね!」
「それはそれ、これはこれ。それで、どうかな?竜口君はこれから予定とかある?」
「いえ、特には。引っ越したばかりなので、街を歩こうかと思ってた程度です。」
「なら、私達が案内するよ!案内役がいた方がわかりやすいでしょ?」
「そうですね。よろしければ是非。」
「やった!じゃあ、早速行こ!」
要さんに手を引かれ、教室を出る。急展開に他のクラスメイトが呆然としてあるのは気になったが、どうすることもできない。
そこで要さんに引かれている手と反対の手にも感触がある。振り向くと、間宮さんが手を握っていた。
「?どうかした?」
「いえ、こちらの台詞なのですが…」
「気にしない。」
間宮さんの言う通りにする。
「要さんも間宮さんも待ってください!私も行きますから!というか、2人とも鞄忘れてますよ〜!」
そんな茜の言葉を後ろに、俺たちは街へ繰り出して行った。