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金髪碧眼ツンデレ系少女エリザ と記号化 2

「外の人から見ても普通の外人にしか見えないようにコーティングしてあるから」


その質問は予想できてるわよと言うかのように彼女はまだ聞いてもいないことをアドバイスしてくる。そういえば全然考えてなかったけど、このキャラが隣で歩行しているのを一般の人に見られるのはまずい。モチーフがエルフだから来ている服が緑を基調とした丈の短いワンピースと黒いニーハイ、どこから見てもコスプレである。確実に危ない趣味の奴だと思われるし(それをさしひいてもどっちかというと変わったやつだと思われがちなのだ)、第一学校の知り合いにでも会ったらなんて答えればいい。目が覚めたら変なやつがパソコンから出してくれましたよはっはっはってか?この年で通報される経験なんて欲しくはないね。


「何か書きこみたいこととか気になったことがあったら携帯でメモしなさい、そういう癖はついてると思うけど。これだって思ったことがあったらすぐわたしに送信すること!」

人のパソコンをべしべしと叩きながらこいつはまた無茶なことをふっかけてくる。簡単に言ってくれるねぇ、ハツカネズミみたいにぽんぽんネタが思いつくならいまごろ連載作家になってるよ。そんなことを言われながら外着に着替えた俺を玄関で待っていたのはまごうことなきエリザ。


「べ、別にあんたを待ってたんじゃないんだからね。ただちょっと、靴の中にゴミが入ってて」

うーんいつ聞いてもいい声だ。これを聞いているだけでさっきまで言いたくなっていた文句がすううううっと綺麗に消えていくのがわかる。



「あ、それと」

俺が靴をはいていると2階に行きかけてた鬼畜野郎は階段から顔だけを出して

「ヒントね、ディティールがなってないのよあんたのキャラは」

それだけ言うとさっさと2階に消えていった。コーヒーショップみたいな単語使いやがって何が言いたいんだよ。何がディティールだ、カフェインでもとって眠気でも覚ましとけ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ディティール

全体の中の細かい部分。細部。また、建築物などの詳細図。

使用例、ディティールにこだわる。


あっぶねぇあいつの前でコーヒーとか言わなくてよかった。なんだよコーヒーって、眠気覚まさすのはお前のほうだろおい。

エリザと二人で歩きながら携帯を見て一人ごちる。

そんなエリザはと言うと街が珍しいのかきょろきょろとあたりを見回している。初めて都会にきたおのぼりさんのようだ。その様子はさながら愛らしい小動物を思わせる。

(なんか、イメージと違うな……。)

そう、どことはちょっと具体的に言えないし何が気になったのかも自分でわからない。でもこの時おれは確かに一抹の不安と違和感のようなものを感じのだ。


「うわ、ミホみてみてあの外人さん。すっごい綺麗っ!足長っ!」

「ちょっと声大きいよ。でもほんと美人、どこの人かな」


そんな声が突然後ろから黄色い声が聞こえる。ちらりと後ろを見るとさっきすれ違った女子高生らしき人たちが興奮しながらこちらを見ているた。金髪のエリザに黄色い声ってカラー的にぴったりだ、別に自分がほめられたわけでもないのになぜか誇らしい気分になる。かわいい女の子をステータスとする男子の気持ちがわからなくもない。


「ちょっと!」

怒気をはらませたような声で頬をひっぱたかれる。隣を見れば不機嫌そうにしているエリザの姿があった。お、これはあれか。とうとう来るか定番のイベント。

「あんたなんか好きでも何でもないんだからねっ!はやく来なさい」


一発でうさぎが気絶してしまうんじゃないかってくらいにらみをきかせながらそう言うとエリザは早足ですたすた先に行ってしまった。やれやれ仕方ないな、と思いながら後を追いかける。シミュレーションゲームの主人公になったみたいだ。

おれはもうとんでもないくらいにアホだからこの時一番どうしようもないのは自分だなんて発想には全く至らず、もちろん胸の中に残る何かなど昨日夜中にカップラーメンを食べたから胸やけでも起こしてるんだろうくらいにしか思ってなかった。

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