魔法の定義
魔法とかのファンタジーものが書きたくなり、書きました。
「赤の魔法は、破壊の魔法。その力は、全てを滅する。青の魔法は、操る魔法。その力は、全てを意のままに。緑の魔法は、成長の魔法。その力は、術者を望む姿へ。白の魔法は、癒しの魔法。その力は、奇跡を起こす」
俺は頬杖をつきながら、担任の話を聞いていた。
この世界に住む住人には常識だが、特にやることもないので、とりあえず担任の話を聞き続けた。
「そして黒の魔法は、失う魔法。その力は、運命を破壊する。以上が、魔法の定義です」
担任は一息ついて、話を続けた。
「厳密に言うと、先ほどの定義は古代魔法の定義なのですが、じゃあここで皆さんに質問です。近代魔法の定義について答えなさい」
一人の女子が手を上げた。
「では、鉄さん」
「はい。近代魔法は、古代魔法を簡単にした魔法です。近代魔法における定義は、赤の魔法は、炎の魔法。青の魔法は、水の魔法。緑の魔法は植物の魔法。以上です」
「そうですね。では、なぜ白と黒の魔法は、近代魔法で定義されてないのですか?」
「それは、白と黒は特別な魔法だからです。白や黒の魔法が使えるのは、白や黒の術者と血縁があり、才能のあるものだけです。つまり、選ばれた人間だけです。よって、近代魔法のように一般化することが不可能なため、近代魔法では定義されていません」
「大変良い答えでした。では、鉄さんの答えに補足すると、黒の魔法使いは白の魔法使いよりも希少です。その数は、世界に3人だけです。北の領土の黒神、南の領土の黒崎、そして、ここ東の領土の黒野。この3人の名前を取って、黒神領や黒崎領、黒野領と呼ばれます」
担任の話は、常識的な話ばかりなので退屈なのか、生徒は聞き流している者も多そうだ。
「これは、黒の魔法使いがそれぞれの土地を治めているからそう呼ばれています。黒の魔法は、他の魔法よりも上位の魔法です。昔の格言に、黒の魔法使いを倒せるのは黒の魔法使いだけと言うものもあります。つまり、黒の魔法使いは最強の魔法使いなので、各領土を統治する訳ですね」
ついに授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。
しかし、担任の話はまだ続くようだ。
「この授業の最後に覚えて欲しいことですが、ここ黒野領の現領主は、黒野空様です。ほとんど素性は明かされていませんが、皆さんと同じ年齢らしいので、皆さんも黒野様に負けないよう勉強に励むように。以上、終わります」
授業も終わり、さぁ帰るかと思っていたら携帯電話が鳴った。
「もしもし」
電話の相手は弟の陸だった。
用件を手短に聞いた。
「わかった、すぐ帰る」
携帯電話を切り、ポケットにしまう。
「蒼山、帰りゲーセンでも行こうぜ。なんか新作が出たらしいし」
名前を呼ばれて振り返ると、クラスメートの男子がそこにいた。
「悪い、今日はちょっと用事ができた。また今度な」
「そうか、残念。また明日な」
「おう」
俺は走って下校した。
ゲーセン行きたかったなぁ。
「全く…領主は多忙だな」
愚痴がこぼれた。
作者は書くのが遅いので、気長にお付き合いいただけると光栄です。