後悔先に立たず(?)
「何をぼうっとしているんだ?」
「綺麗……」
「何が?」
「影」
「何の?」
「リヤの影」
「……普通の影だろう」
「ちゃうって! 見てみぃあの、髪が柔らかく靡く様子を! 身体の線は細いし、どっからどう見ても美人じゃて!」
「ハイハイ」
「綺麗やな〜」
「にやけてないで、歩いてくれる? 冷えるだろう。風邪ひいたらマリヤのせいだぞ」
「ケチ。んだよ、久しぶりに会うた友達に言う言葉か〜? だいたいお前、風邪ひいたことないでないか。病弱そうに見えんのに」
「見えない」
「はぁ〜あ! 現実綺麗かーないんじゃ、影くらい見させろや! 楽しいねん、うっとりもんやねん!」
「変態マリヤ。久しぶりと言っても、一か月くらい前に会っている」
「十分久しぶりちゃう?」
「……さあ?」
「おい、返答を放棄すんな。リヤを構え〜」
「変態」
「…………あかん……」
「何? ……マリヤ」
「ワリ……思い出してもうた……」
「無理に笑おうとするな。引き攣っているぞ」
「はは。あかんな〜……人を好きになるんて、辛いわぁ。あー、どないしょう……止まらん」
「好きなだけ泣け」
「昨日もあれだけ泣いたのに〜?」
「ああ」
「……すまんなぁ。昨日泣いとる間もずっとケータイしとったけん、電話代よけいったやろ?」
「そんな事はない。気にするな」
「アキラ、優すぃ〜」
「マリヤ……心配していたんだ」
「何を〜?」
「ずっと、リョウに嫌がらせをしてきた」
「アキラが? ……親友ちゃうかったっけ?」
「一応、親友……かな。まぁ、それで、からかった時の反応が面白くて止められなかったんだ」
「うん……」
「その……俺のせいで、リョウは勘違いをしたんだ。また、俺のイタズラかと」
「あー、ほなけんなんかワケ判らんこと言うとったんかー」
「悪い……」
「いや、大丈夫よ。つまりは、その誤解を解きゃいいだけの話やろ? ……なんや、元気出てきた」
「そう、か……」
「おぉ! 今度告う時は電話でなしに、ちゃんと会うてから告う!」
「うん、頑張れ。だけど……マリヤ。他の人の前でも、素でいられるようにな」
「うーん。リヤ、人見知り激しいけんなぁ、どうしても出し切れんのよ」
「疲れないか?」
「案外に慣れてもうてなぁ。ほなけど、やっぱ疲れっかー」
「マリヤ……」
「莢神クンの前ではそうならんよう気ィつける」
「……ああ」
「サンキューな、アキラ!」
「いや……」
「おとーん! おかーん! リヤはこの一世一代のチャンスを逃しませーん! どうか、可愛い娘をー生温かく見守ってやってて下さーい!!」
「そこ、住宅街で空に向かって叫ばない。近所迷惑だ。しかも、おばさんもおじさんもまだ生きているだろ」
「おりょ? バレたー?」
「バレるも何も……」
「あはは、すんませーん! ご近所の皆さん、ごめんなさーい!」
「だから、叫ぶな。まったく……」
原因が判ったマリヤの背中は元気いっぱいで、呆れるようなテンションだ。
「……バーカ……」
……俺のせいで少しでも辛いことになったんだ。
礼なんか言う必要ないだろう……
読んで下さり、ありがとうございました!
この続きがいつ出るかは未定です(苦笑)
今更なシリーズ、如何でしたでしょうか?
ご意見ご感想はお気軽にどうぞ! 作者の明日への糧となります!(笑)
ではでは、また次回でお会いできることを祈り……ありがとうございました!