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神威録  作者: 泣空
3/3

顔合わせ

真っ白な廊下を、ブリーフィングルームへ向けて歩いてゆく。

窓の外に広がる街並み。

それは昨日までの当たり前であり、今日からは守るべきものだ。

たどり着いた扉は窓がなく、中の見えない鉄扉。

プレートには空室の文字。

一息ついてから、扉に手をかけ、開く。

重たい扉――のように見えたのだが、異様に軽い。

力を入れて開いたせいで、少しつんのめってしまった。

「……ごめん。そうなるよね。」

そこにいたのは、ゆったりとした服装の青年。

ぼんやりとした瞳で、僕のことを見つめていた。

「ボクはケイ。物を軽くできる。

その扉、重いかなって思って。」

「すみません、ありがとうございます。」

少し驚いたが、どうやら気を遣ってくれていたらしいと知って、気が楽になる。

「新人さんが来るって聞いてて、待ってた。

座る場所、困ると思って。

君の席、そこだから。座って待ってて。」

「はい、失礼します。」

言われた通り、席に着く。

ケイさんは、僕が座ったことを確認すると、何も書かれていないホワイトボードへと視線を戻す。

そこからしばらく待っても、口を開くことはなかった。

沈黙が、なんとなく気まずく感じられた。

そんな空気を破るように、勢いよく扉が開かれる。

しかも片手で、軽く押すように。

扉閉めた時は、そこそこ重かったはずだ。

ケイさんの異能が使われていたのだろうか?

「やりすぎ。ケイが異能使ってたら壊れてたんじゃない?」

そこにいたのは、黒いロングコートに身を包んだ少女と、

「こんな所で使わないだろあいつ。」

扉を開けた、紺色のパーカーの、少年とも少女ともつかない人物。

……ということは、今の扉の勢い、ケイさんは関係ないのだろうか?

「あんたが新人?隊長、随分評価してたみたいだけど、頼りなさそうな面ね。」

ロングコートの少女が、馬鹿にするように言う。

「まぁまぁ、やめてやれって。案外使えるかもしれないぜ?」

パーカーの人物のその言葉は、馬鹿にしているのか、それともフォローしているのか、その態度からは判別できなかった。

二人の視線が刺さる中、ふとケイさんがこちらを振り返った。

「そういえば、名前聞いてなかった。

教えて?」

「スピカって言います。よろしくお願いします。」

「さぁ、二人も教えてあげて。」

と、ケイさんが名乗りを促す。

「あたしはチエ。まぁ、よろしく。」

ロングコートの少女が、気だるげに応える。

「僕はリン。異能は反発かな?四肢で触れたものを押し出すって感じ。よろしくね。」

パーカーの人物からは、砕けた雰囲気を感じた。

二人の名乗りを見届け、ケイさんは再びホワイトボードへと視線を向ける。

「皆、もう集まってたのね。」

二人が開けっ放しにしたドアから、淡い色のセーターの女性が入ってくる。

席の数を考えれば、シルベさんを除けば彼女が最後なのだろう。

「初めまして、スピカさんだよね。

私はシア。異能は五感の共有。よろしくね。」

と、笑顔で手を振ってくる。

「はい、よろしくお願いします。」

シアさんの優しそうな雰囲気に安堵する。

そして、ドアからシルベさんが入ってきた。

途端、場の全員が、真剣な雰囲気へと一変した。

「全員いるね。ではブリーフィングを始める。」

思わず、背筋が伸びる。

「が、その前にスピカ、一つ言わせてもらう。

交流を深めるのは構わない。信頼がある方が連携も取りやすい。

私情は存分に挟め、仲間は助けろ。戦力の喪失は少ない方がいい。

ただし、我々の目的は無辜の民を守り、悪を止めることだ。

それが大前提であることを忘れない限り、友情も恋愛も好きにするといい。」

「はい、ありがとうございます。」

そんな言葉を受け止めながら、このメンバーと上手くやっていけるか、少し不安に感じていた。

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