組手の途中の一言
「はああああ」
音葉がくないを構えながら優燈に向かって突っ込んでいく
「しつこい」
優燈はそう言って音葉に向かって銃を乱射する。
しかし、音葉はそれを意図も簡単に避けてしまう。
「貰いました!!」
そうして、そのまま音葉は優燈にくないを振り下ろした。
「狙撃手が長距離だけだと思う?」
「なっ」
しかし、優燈はそれを冷静に両手に持っている銃で受け止めた。
「すきあり」
そして、流れるように音葉のお腹に蹴りを入れる。
「ぐっ」
音葉はそのまま後ろに飛ばされてしまう。
「まだ、終わらないよ」
優燈は音葉の態勢が整う前に銃を乱射しながら追撃する。
「くっ」
「そこまで」
俺は音葉と優燈の間に入り、銃弾をすべて撃ち落した。
俺達は今、寮の中庭で稽古をしていた。
「音葉、大丈夫か?」
「はい。蹴られる瞬間に後ろに飛んで威力を殺しましたから。それにしても、優燈さんは強いですね」
音葉はくないをしまいながらゆっくり立ち上がった。
「そりゃあ、大河に鍛えられていますから」
優燈はそう言って俺達のところにやってきた。
「音葉、お前油断していたろ」
「正直にいうとそうですね。てっきり、優燈さんは遠距離だけだと思いました」
「大河が、今の時代、狙撃手は体術もできる方がいいって言ったからね大河に教えて貰っているの」
「へえ~、そうなんですか」
音葉はそう言って感心していた。
「ところで大河」
「ん?」
「もう少し、組手の練習がしたいから相手して」
「え~、でも、俺そろそろ夕食の準備をしないといけないしな
「それなら、私が作りますよ」
「あ、そう。じゃあ、頼むは」
「はい。わかりました」
音葉そう言って、寮の中に入って行った。
「それじゃあ、とっとと始めるか」
俺は拳を握り構えた。
「うん。そうだね」
そう言って、優燈も構える。
「よし、来い」
「はっ!」
俺の合図と共に優燈は拳を放ってきた。
「よっと」
俺はそれを避け、優燈に拳を放つ。
「おっと」
優燈はそれを避けた。
「それじゃあ、少しスピードを上げていくか」
「うん」
それから俺と優燈は拳や蹴りを混ぜながら交互に打ち合いながら。だんだんとスピードを上げていく。
「ねえ、大河」
「ん?」
俺と優燈はそれをやっていると、優燈が話しかけてきた。
「私、あの頃より強くなった?」
「ああ、強くなったと思うぞ」
あの頃というのは優燈が苛められていた頃だろ。
「お前が俺の弟子みたいな物になって六年経つのか」
「そうだね。でも、まだ大河から一本取ったことがないよ」
「そりゃあ、俺も一緒に強くなっているんだからな」
「それじゃあさ、私が一本取ったら私のゆうこと一つだけ聞いてくれる?」
「ああ、いいぞ」
どうせとれないと思うし。
「本当?」
「ああ、でも、肉体関係とか、付き合ってとかはなしだからな」
俺は念のために釘をさしといた。
こいつのことだから本当に言いそうだな。
「わかっているよ。私、大河の嫌がることしないもん」
その割には、勝手に俺の布団の中に入って来ているけどな。
「ねえ、もう一ついい?」
「なんだ?」
すげー嫌な予感がする。
「いつになったら私と付き合ってくれるの?」
やっぱりな。
「さあね?」
俺は簡単にはぐらかした。
「また、そうやって私の愛に答えてくれない」
誰が答えてたまるか。
「いいか、優燈。この世には俺よりもっといい男性が「いないよ」・・・・・最後まで言わせろよ」
「大河より、いい男性なんていない」
今度は言い切りやがった。
「だから、私と「断る」ごふ」
俺は優燈が言い終わる前に優燈のお腹に拳を入れた。
「な・・・ん・・・で」
優燈は地面に伏せながら聞いてきた。
「すまん。それはまだ言えない」
「そ・・・ん・・・な」
優燈はそのまま気絶してしまった。
「ごめんな。優燈」
俺はそれを確認するとそのまま優燈を抱き上げた。
「本当はお前に答えてやってもいいと思っている部分もある。でもな、俺はまだ自分を一人前と認めていないんだ。だから、もし、俺が一人前になって、まだ、お前が俺の事を好きなら、その時は・・・・・結婚しよう」
・・・・・って俺は何を言っているんだ?
「結婚の以前に付き合わなきゃいけないのにさ。あー、恥ずかしい」
俺は今頃になって自分がすごいことを言ったのだと気が付いた。
「大河さん夕食ができました」
「ああ、わかった」
音葉が呼びに来たので俺は優燈を抱えたまま、寮の中に入って行った。
俺はこの時、知らなかった。
優燈がちゃっかりテープレコーダーに俺がさっきの言葉を録音していたなんて。
大河、私はいつまでも待つよ。そしたら結婚しようね by 優燈