苦手な物は何?
鈴視点です
「なあ、大河の苦手な物ってなんだ?」
昼休み、あたしは教室で渚と優燈と一緒に昼食を食べていたら、渚が質問してきた。
「大ちゃんの苦手な物?」
あたしは大ちゃんが作ってくれた、あたし用の弁当を食べながら聞いた。
ちなみに肉が多めだ。
「ああ、そうだ」
渚は購買で購入してきたサンドイッチを食べながら頷いた。
ちなみに渚は大河が作った弁当は十分休みの内に食べ終わったそうだ。
「大ちゃんの苦手な物ね。優燈、知っている?」
あたしは黙々と、大河が優燈用に作った弁当を食べている優燈に聞いた。
優燈の弁当は野菜が中心の為か色鮮やかだ。
「んー、そういえば私も知らない」
優燈は静かに答えた。
「そうか、それは残念だ」
渚は残念そうにしていた。
「なんでそんなことを知ろうとした?」
「いや、何、あいつはを見てみるとなんだか完璧すぎる気がしてな。何か弱点みたいなものが無いかなと思っただけだ」
確かに、あたしも大ちゃんと15年一緒にいるけど、大ちゃんが苦手な物とかよく知らないな。
「ところで、渚。大河の苦手な物を知ってどうするき?」
「いや、何、ちょっと、あいつと稽古する時、苦手な物を知っていれば少しは有利になるかもしれないと思ってな」
「そんなこと私がさせると思う?」
優燈はどこからともなく拳銃を取り出し構えた。
てか、なんで臨戦態勢になっているの?
「思わないな。でも、食後の運動がてら相手をしてやってもいいぞ」
渚もどこからともなく木刀を取りだした。
「今日で10敗目の記念にしてあげる」
「たわけ、それは私のセリフだ」
渚と優燈はそう言って外に飛び出した。
「あー、行っちゃた」
あたしは窓を見ながらそんなことを思った。
「おいおい、何の騒ぎだよ」
「あ、大ちゃん」
そしたら、コンビニ袋を片手に持った大河が教室に入ってきた。
「えっと、優燈と渚が食後の運動がてらに稽古中」
「ははは、あいつらも元気だな」
大河は苦笑いをしながら、あたしに近くまでやってきた。
「そういえば、さっき爺さんに肉まん貰ったんだが食べるか」
大河はコンビニ袋から肉まんを一つ取り出しあたしに差し出した。
「食べる!!」
あたしはそれを受け取り、がつがつ食べ始めた。
「まだ一杯あるからそんなに急いで食べなくてもいいぞ」
大河は袋から自分の分も取り出し口に含んだ。
「だって、肉まんって暖かい方がおいしいだもん」
「まあそりゃあ、そうだけどさ。って、ほら、ほっぺについてんぞ」
「大ちゃん取って」
「はいはい」
大河はあたしの言われるままにあたしのほっぺから食べカスを取ってくれた。そして、そのまま自分の口に運んだ。
「ありがとう」
「どういたしまして」
大河はそう言ってまた肉まんを口に含んだ。
「おい、みたかあれ」
「普通やんないだろ」
「あの2人ってできてんの?」
その光景を見た数人が何故か驚いている。
それもそのはずだ。誰だって男女がこのような事をやっていると付き合っていると思われる。
でも、あたし達は気にしない。だって、これはあたし達にとって普通のことだから。
「そういえば、大ちゃん聞きたい事があるんだけど。おかわり」
「なんだ?はい」
大河はコンビニ袋からまた肉まんをとりだしあたしに渡してくれた。
「大ちゃんの苦手な物ってある?ありがとう」
「俺の苦手な物?」
「うん」
「あるけど。なんでそんなことを知りたいんだ?」
「だって、大ちゃんはあたしの苦手な物を知っているのに、あたしは大ちゃんの苦手な物を知らないなんて不公平だと思ってさ」
あたしは肉まんを一口、口に含みながら言った。
「んー、まあ、鈴ならいっかな教えても」
「本当?」
「ああ、本当だ」
「じゃあ、教えて」
「わかった。俺の苦手な物は」
「苦手な物は?」
「お前の泣き顔だよ」
「へっ?」
あたしは大河の一言に呆気にとられた。
「えっと、大ちゃん。もう一回言って頂戴」
あたしの聞き間違いだよね。
「だから、俺はお前の泣き顔が苦手なんだよ」
やっぱり聞き間違いじゃない。
「えっと、とりあえずなんで?」
あたしは理由を聞いた。
「んー、単にお前の泣き顔を見たくないだけかな」
「それって苦手って言うの?」
「さあな。でも、ガキの頃、お前が泣き顔で頼みごとを俺にしてくると俺は大抵、断れなかったからな」
大河は頬を掻きながら言ってくる。
「たぶん、それは苦手とは違うと思うよ」
あたしは苦笑いをした。
「そうなのか?まあ、いいや。だから、お前はずっと笑顔でいろよ。俺はお前の泣き顔が苦手なんだから」
「うん、わかった」
あたしは頷いておいた。
大ちゃんはあたしの泣き顔が苦手なら笑顔はどうなのかな? by 鈴