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騎馬戦を面白くしよう

「えっと、続きまして午前最後のプログラム、騎馬戦です。選手の人はスタート位置に集まってください」

「おっ!とうとう、私の出番だな」

 そう言って揚羽が立ち上がった。

「姉さん、やる気十分だね」

「当たり前だ!騎馬戦だぞ。相手を殴り放題なんだぞ」

「いや、騎馬戦は相手を殴っちゃ駄目だから」

「え、そうなのか?」

 揚羽は信じられない顔をしていた。

 この様子だと毎回殴っているようだな。

「そうだよ。騎馬戦は自分のハチマキを護りながら相手のハチマキを取るゲームなんだから。殴っては駄目です」

「そんなのつまらないな。・・・・・よし、ちょっと、審判の所に行ってくる」

「え?なんで?」

「面白くするためだ」

 揚羽が微笑みながら言ってきた。俺はその頬笑みを見てとても嫌な予感がした。



「姉さん」

「ん?」

「これはどういうこと?」

 何故か俺一人で騎馬戦の馬部分をやり、俺の肩の上に騎士役の揚羽が立っていた。そして、俺達の目の前にはこの騎馬戦に参加するであろう生徒達がいた。

 つか、生徒達すごい鼻息や呼吸が荒いし、目もぎらついているな。

「今、アナウンサーから説明があるから少し待て」

「あー、それではルール説明をします」

 そしたら、丁度よくアナウンサーが説明を始めた。

「先ほど、三年の聖純先輩がとても面白いルールを提案してくれたので、そちらでいきたいと思います。ルールは簡単、聖純先輩の騎馬VS騎馬戦に参加する人達です。しかも、殴りあり蹴りありです。はっきり言えば、なんでもありです。勝敗のつけ方はいつもの騎馬戦と同じ、ハチマキを獲られるか地面に落ちたら負けとします。質問はありますか?」

「帰っていいですか?」

 俺は真っ先にアナウンサーに向かっていった。

「他にありますか?」

 アナウンサーは俺の発言を無視した。

「なんで、俺が一人なんだ!!」

「そちらの方が、ハンデがあっていいからです。あ、ちなみに大河選手もハチマキを取られれば失格なのでご注意ください」

 いや、ハンデはもう全校生徒を全員相手にするので足りているから。

「では、そろそろやりたいと思います。位置について、よーい、ドンっ!」

「「「「「うおおおおおおおっ!!!」」」」」

 アナウンサーの合図と共に、生徒達が一心不乱に俺に向かって走って来た。

「よし、大河。思う存分暴れるがいい」

 揚羽は俺の上から命令してきた。

「だから、姉さんルールわかっている?」

「ああ、もちろん。要は地面から落ちなければいいのと、ハチマキを取ればいいんだろう」

「まあ、そうだね」

「よし、ならとっとと始めるぞ」

 揚羽はそう言って、俺を土台にして思いっきり跳ねた。

「大河、前に10秒でお前の足で二十歩の地点。騎馬どもを蹴散らして来い」

 はあ~、本当に勝手な人だな。

「「「「「おおおおおお」」」」」

 10

 そして、段々と騎馬達が俺にめがけてやってくる。

「んじゃ、俺もやりますか」

 そして俺も行動し始めた。

 9

「琥牙流奥義 山崩し」

 そして、体を低くして相手に向かって突っ込んだ。

 8

 前から来る騎馬達の足を次々と蹴って行き、バランスを崩していく。

 7

「重技 突風脚」

 6

 そして、だいたい20歩地点に到達した瞬間、バランスを崩した騎馬に向かって追い打ちをかけるように、蹴りを放つ。その瞬間、突風が吹き騎馬達を襲う。

 5

「うわっ」

「うおっ」

 その突風を受けた騎馬達は倒れて失格となっていく。

 4

「大河を囲め」

 そして誰かが叫んだ瞬間、俺は騎馬達に囲まれてしまった。

 3

「合図をしたら一斉にハチマキを取りにかかれ」

「もう、そろそろかな?」

 2

 騎馬達はじりじりと俺に詰め寄るてくる。でも、俺はそこから動かなかった。

 1

「今だっ!」

 0

 俺は相手の合図と共に両手を上げた。

「聖純流奥義 千手観音」

 そして、時間ぴったしに揚羽が俺の両手に着地し、技を放ち、次々と俺に襲いかかろうとした騎馬たちのハチマキを取って行く。

「ん~、15組は取れたかな?」

 揚羽は両手に掴んだハチマキを見ながら言ってくる。

「結構、いいほうじゃない」

 あと、10組残っているのか。面倒だな・

「さて、今度はどうしようか?」

「残り10組だから、突っ込んでみる?」

 相手は俺たちと距離を取っている。

「そうするか。じゃあ、大河、今度は肩車だ」

「はあ?」

 揚羽は俺が何と言ったこの人はと思った瞬間、勝手に俺の手をどけて俺の肩に太股を乗せてきた。

 あ、むちむちした物が俺の顔を挿んでいる。

「さて、行くか」

「え、あ、うん。そうだね」

 平常心だぞ。俺。

 俺はそう思いながら、敵に向かって突っ込んでいった。

 結果は言うまでも無い。


 大河、私の太股どうだった? by 揚羽


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