借り者競走の点検の筈だったんだけどな?
「ゴール」
俺はゴールのテープを切った。
「はい、では紙を出して点検するから」
「ほれ」
俺は係りの者に自分の選んだ紙を渡した。
「うん。はい、OK」
係りの者はチェックをし、OKを出してくれた。
「さて、係り員もOKをだした事だし、大河選手がどちらを選んだのか発表したいと思います」
今、思ったがこのアナウンサー、俺ばかりひいきしていないか?
「さて、紙もこちらにきたので発表します。大河選手が選んだのはこちらです」
ドンっ!
アナウンサーが言った瞬間、グランドのフィールドに土煙が舞った。そして、土煙が徐々に晴れてくるとグランドのフィールドに5人の少女が立っていた。
「大河選手が選んだ者は「以下の五人を連れてゴールせよです」でも、時間も時間なので着てくれればOKとしました。それでは、確認の為にまず、巫女服の人から自己紹介と一言をお願いします」
アナウンサーはもうノリノリ進行させていく。
「はい。二年F組 聖純鈴です」
鈴は髪飾りの鈴を鳴らしながら巫女を服を着て、メガネをかけて挨拶をした。
「えっと、あたしと一緒におみくじを引きませんか?」
「「「「「引きたいですっ!!!」」」」」
鈴が手を組んで周りの者たちに聞いたら、突然周りの者たち(主に男子)が叫んだ。
「おー、さすがは鈴さん男子の心をグッと掴んだ発言だね。それじゃあ、次にいってみよう」
「え、あ、はい。一年A組、宇羅夜音葉といいます」
メイド姿で頭に猫耳を付けた音葉が挨拶をした。
「ご主人様、わ、私に奉仕をさせてください」
音葉が顔を赤くしながらそのセリフを言った瞬間、何人かの男子が腰を引き前屈みになってしまった。
「おーと、今のセリフで興奮した生徒がいるぞ。でも、本気にするなよ。これは、あくまで演技なんだから。それじゃ、三人目だ」
「二年F組 朝瀬優燈」
優燈は水色を基本にした水着で現れた。そして、座り込みみんなに背中を向けてこう言った。
「私の体の隅々にこの白い物を塗ってちょうだい」
優燈がその言葉を口にした途端、殆どの男子がどこかにいなくなってしまった。
「おや、男子が何人かいなくなりましたね。なんででしょう?しかし、優燈さんの発言は犯罪すれすれですね。しかし、なんで大河選手に頼まれた人達は全員、男の心を掴むセリフばかりをいうんでしょう?・・・・・まさか、大河選手に毎日、言わされているのでしょうか?」
「そんな、わけないだろう!!」
俺はアナウンサーに向けて叫んだ。
「冗談ですよ。さて、あまり時間も無くなって来たので四人目にいきましょう」
「二年F組 祈植渚だ」
渚は朝顔の模様がある浴衣姿でいつもの木刀の代わりに団扇を持って登場した。
「さて、今まで男の心を掴むようなセリフを言ってきましたが、渚さんは何て言って男の心を掴むのでしょうか?私、女性なのにかなり興奮しているんですけど」
もう、目的が変わっていないか?
「君の手で私の浴衣を脱がしてほしい」
「「「「「キッターーーーーーーー!!!!」」」」」
会場のみんなが叫んだ。やはり、美人に言われれば誰でもそう叫ぶだろう。
しかも、渚とくりゃ最近、男女問わず揚羽の次に人気が出て来ているからなおさらだ。
「ぜひ、今日の夜に私の手で湯がさせてください」
おーい、アナウンサ。公私混同になっているぞ。
「あ、すみません。自分を見失っていました。では、最後になります。どうぞ」
「んー、大河に頼まれたとはいえ、何故、私がこんな姿をしないといけないんだ?」
ナース姿の揚羽はやる気なさそうに出てきた。。
「仕方がないですよ。大河さん必死でしたし、それにこれに出る代わりになんでもゆう事を一つだけ叶えてくれると約束したんですし、いいじゃありませんか」
音葉は揚羽にそう言った。
そうなのだ、俺はこの五人に衣装を着てくれと頼んだ時に、条件として一人につき一回だけゆうことを聞くと言ったのだ。
・・・・・俺、体持つかな?
俺は今頃になって後悔してきた。
「まあ、それもそうか。なら、キチンとやらないとな。三年A組 聖純揚羽だ」
揚羽は腰に腕を当て堂々と宣言した。
いや、その前に堂々と宣言するナースはいないと思うぞ。
「うーんと、後、一言言えばいいんだよな。そうだな、みんなしてすごいセリフを言ったし、私も頑張ってみるか」
揚羽は少し考えて言い始めた。
「せ、先生、わ、私に大きい注射をしてください」
揚羽が色っぽくそのセリフを言った瞬間、グランドに赤い液体が飛び散りグランドを赤く染めていく。要するに鼻血である。
「はあ、はあ、もう、駄目。私、何かに目覚めてしまいそうです。むしろ、目覚めたい。揚羽さんに大きい注射をされたいです」
すみませ~ん。ここに痴女がいます。
つか、この収拾をどうするかって今の問題だな。
俺は周りを見ると、息が荒い者、前屈みになっている者、どこかに行こうとしている者、鼻血を流している者が、多々いた。
まだ、運動会の競技が残っているのに大丈夫かな?
俺はそんなことを思いつつもこの惨状を目のあたりにしていた。