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【1】


「学園の卒業パーティは、明日で間違いないわよね?」

「さようでございます」

「殿下から、エスコートに関する連絡やパーティに着ていくドレスなどについては?」

「っ……それは、その……なにかトラブルでもあるのでしょうか、まだどちらも……」

「そう」


 そうよね、これは予想通り。

 殿下は男爵令嬢にがっつりと攻略されていたもの。

 わたくしにドレスを贈る事もないでしょうし、ましてやエスコートなど誘うわけがないわ。


 男爵令嬢に、無い事無い事吹き込まれて、それをすっかり信じ込んでいたようですし。

 ただでさえ、蛇蝎のごとく嫌っていた殿下、わたくしをゴミの様な目で見るまであっという間でしたから。


 でもそうなると、明日の卒業パーティは、殿下のエスコートもなく、ドレスも贈られないまま参加する事になりそうね。


「今から誰か誘うのは、さすがに時間が足りないわ」


 明日の夕方からの卒業パーティ、家によっては本日から支度や準備などで慌ただしいでしょうしね。

 一人で参加する事になりそうねと、わたくしは軽く息を吐いた。


 

 卒業パーティーは明日。


 明日は朝から夕方のパーティーの仕度で、のんびりする時間はないのよね。


 後でお父様に報告書の件で、顔を見せる事にはなっているけれど、それ以外では、今日は一日予定が入ってないし。


 明日はバタバタ剃ることを考えると、今日はのんびりと過ごす事にして、家の中を散策でもしようかしら。



本を読みに書斎に行く    ⇒【2】へ

庭園へ花を見に行く     ⇒【35】へ

演奏ホールでピアノを弾く  ⇒【10】へ

お父様の執務室へ行く    ⇒【13】へ




 ꕤ.。✼••⋅⋅⊱∘┈┈┈┈•>✾<•┈┈┈┈∘⊰⋅⋅••✼。.ꕤ




【2】 ─書斎 9時─


 ゆっくりと重い扉を開けて書斎へと入る。

 

 王妃教育や学業、殿下の公務の手伝いに関する事などで、利用する事は多々あったけれども、私用でここに来るのは、ずいぶんと久しぶりだわ。


 書物が痛まない様に他の部屋に比べて若干薄暗い部屋、紙から発する本独特の匂い、本が誤って落下した時に衝撃を和らげるための、深めのカーペット、使い込まれた机と椅子。


 子供のころから変わらないままの書斎に、どこかホッとする。


「明日は一日予定でバタバタしそうだし、少しここで本を読むのも悪くないわね」



 私はお気に入りの本を棚から取り出すと、しばし本の世界の中へと入っていった。



⇒【23】へ  




 ꕤ.。✼••⋅⋅⊱∘┈┈┈┈•>✾<•┈┈┈┈∘⊰⋅⋅••✼。.ꕤ





【3】


 マティを見てみれば、冗談を言っている顔ではなく、真剣にわたくしを見上げて見つめていた。


 普段は可愛いし、笑顔を見る事の方が多いけれど、こんな表情も出来るのねと思わず内心呟いてしまったのは秘密だ。

 

 その表情を見て、わたくしも明日のパーティーの事を考える。

 エスコート、お父様はお仕事で頼めないのは確かだし、それならマティに頼むのは可笑しくない、寧ろそれが普通よね。

 それでもやはり、明日の事を考えると断ろうかなとも思ったけれども、なんだろう、断っても無理にでも付いてきそうな気がしないでもないのが……。それなら、最初からエスコートとしてマティにお願いする方が安心かしらね。


 うん、そうね。

 そこまで考えて、わたくしは一つ頷く。ここは素直にマティにお願いすることにしましょう。


「それならお願いしようかしら」

「本当?! 本当に本当?! 嘘じゃないよね!?」


 わたくしの返答に、嬉しそうに笑みを浮かべながらも、念を押すようにマティが確認してくる。

 お姉ちゃん、そこまで信頼されてない?

 ……と言う訳ではないんだろうけれど、安心させる様に、わたくしは笑みを浮かべる。


「勿論よ。明日のパーティーよろしくね。マティこそ、明日になってやっぱりやめた、なんて言うのは無しよ?」

「そんな事言う訳ないでしょ! ありがとう、義姉さま! 明日よろしくね」


 にっこりと笑ったマティは、バイオリンを楽器ケースにしまうと、走りながら音楽ホールを出て行った。……と思ったら、すぐにまた扉を開けて、顔だけをヒョッコリ覗かせてきた。


「義姉さま! 明日のパーティー用のドレスは、オーダーしているの届いているから、それを着てね!」

「……え?」


 ドレス? なんで今エスコートの話をしたばかりなのに、ドレスは既にオーダーされて、しかも届いているわけ?

 

 そんな驚きが顔に出ていたのか、マティはクスッと楽しそうに笑った。


「義姉さま、殿下の件について先週位にお義父様に話してるでしょ? その時に僕もお義父様から話聞かされているんだよ。だからこんな事になるだろうと思って、あらかじめドレスのオーダーしておいた訳。じゃぁ、明日そのドレス着てくれる義姉さまの姿、楽しみにしてるからね」


 パチリとウインクをして、今度こそマティは音楽ホールから去っていった。


「……え、えぇ……?」


 お父様から話を聞かされた……。マティは領地経営などをすでにお父様から色々教わっているのだし、併せて話を聞かされたというのも分からなくはないけれど……ドレスって……。


「まさかマティが用意してくれてるなんて、思わなかったわ」


 まだまだ子供だと思っていたのに、紳士的というか、しっかりしてきたと言うか。


「ふふ、これならいつか可愛いお嫁さんが出来た時も、大事にしてくれそうね」


 マティは15歳。侯爵家の跡継ぎでもある事を考えると、婚約者がまだいない方が遅い位っだもの。お父様もきっと、マティに素敵な縁談を組んでくれるわよね。


 可愛い義弟の事を思って、気持ちがホクホクとする。

 明日の卒業パーティーがパーティーだけに、もっと緊張して肩に力が入る位だと思ったけど、リラックスできているわね。さっき一緒に演奏したのも大きいかしら。マティに感謝感謝だわ。


「ありがとう、マティ」


 

 時計を見ると15時なので、わたくしもそろそろどこか他の所に移動する事にして、わたくしも音楽ホールを後にした。



本を読みに書斎に行く  ⇒【15】へ

お父様の執務室へ行く  ⇒【52】へ

庭園へ花を見に行く   ⇒【42】へ




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【4】 ─庭園 11時─



 庭園へ出てみると、庭師がすでに花に水を上げた後の様で、若干花や葉が水滴を滴らせている。土も若干湿っているわ。風で運ばれてくる土の香り、わたくし結構好きなのよね。


 花達も瑞々しく咲き誇ってて、見てるだけでも気分が上がってきそう。


 花の中でも特にバラの花が好きなので、たくさんのバラを見ながら、ゆっくりと歩く。



 のんびり庭園で過ごしていたら、庭園の時計の針がお昼近くになっているのに気が付いた。


「もう、そんな時間になってたのね」


 それほどお腹は空いてないけれど、せっかくだし、このまま庭園のガゼボで、軽くお昼代わりに何か口にしようかしら。

 歩いてて少し喉も乾いてきたし、丁度いいわね。



わたくしは侍女のミアを呼ぶと、ガゼボに軽く食事が出来る物を用意してもらうよう伝えた。



⇒【61】へ




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