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【プロローグ】

【プロローグ】


「あ、わたくし悪役令嬢だわ」



 突然前世での出来事が、まるで走馬灯の様に(死ぬ訳ではないけれど)脳内を駆け巡った。


 お約束のごとく、やりがい搾取要因として、ブラック企業で酷使されていた前世の自分。

 休日はアプリや家庭用、携帯用のゲームをやり込んで生きていて……。

 そうしてある日仕事中に倒れた記憶を最後に世界が真っ暗になったのも思い出す。


 ……となると、前世のわたくしは、おそらく職場でそのまま亡くなったのでしょうね。


「そうして生まれ変わった先が、PCゲームでよく遊んでいた乙女ゲームだったなんてね……」



 ーー確か……エルメリアと虹色の翼……とか、なんかそんな感じのタイトルだったかしらーー



「うん、よくあるピンク髪の平民ヒロインが、光属性で、男爵家の養女になって、学園で攻略対象と恋愛キャッキャウフフ、そんなゲームだったわね。そしてそのゲームのヒロインを虐める悪役令嬢がわたくし、と。」



 そこまで呟いてから、部屋の鏡台に視線を向ける。



 背中まで届く長さの金髪は、ハーフアップにして、緩くウェーブが掛かっている。

 瞳はややツリ目の、濃い紫の瞳。

 体型も、出る所は出てて、引っ込む所は引っ込んでいる。見事にナイスバディだわ。


「うん……なんて言うか、これ以上なく悪役令嬢のテンプレデザインだわね……」


 思わず、ハハ……と笑いがこぼれてしまう。



 しかしそこまで思い出して、これまた自分の現状に気が付く。

 そう、わたくしはあまり深くヒロインと関わっていない事を。

 関わってたのも、割と彼女が学園に来た頃に、常識の範囲内の事しか注意をしてた位なのよね。陰湿な嫌がらせなんかは間違っても行ってないわ。

 

 口元に手を当てて、ふむ……と考える。


「元々殿下との婚約は政略の為であり、お互い愛情は無いから、ヒロインが殿下と浮ついた関係になってようが、口を出さなかったのよね」


 まぁ、恋愛感情は育めなくても、国のためにお互いを尊重出来る間柄にできればと最初は思っていたけれど、これも殿下の癪に触ったのか、そういう関係を築く事も出来なった。


 だからもう、殿下に嫁ぐのではなく、国に嫁ぐ気持ちでいたのもあるけれど。


「とはいえ、断罪されるのはゴメンだわ……さて、どうしたものかしら……、……って、あら」


 そこまで考えて、わたくしはふと自分のこれまでの行動に気が付く。


「わたくし、既にお父様に相談しておりましたわね」


 殿下の行動や対応、男爵令嬢が流している噂、お二方の隠れての逢引き等々を相談していたわ。


 お父様もお父様で、強引な政略結婚は乗り気でなかったところに、わたくしへの殿下の態度に、業を煮やされていたので、嬉々として裏を取って報告書などについても対処してくださるとの事だった。

 直接陛下にも相談されるとの事だったし、これでわたくし以外からの報告としての外堀は問題なさそうね。


 我が家は侯爵家、お母様は亡くなってしまったけれども隣国の公爵家の娘であり、お父様も王城で大臣の一人として国にお仕えしている。


 そんな我が家を無碍にした扱いは、殿下といえど、許されるものではないでしょう。


 殿下の話を聞かされた時の、お父様のこめかみの青筋の浮き具合は、わたくしでも怖かったわ。



 けれど、そうなると、現状わたくしの出来ることって、報告を待つこと位しかないのでは……?


 となると、わたくしが今やるべき事は……。


「ねぇ、ミア」

「はい、お嬢様」


 わたくしは傍に控えている侍女のミアに声を掛けた。



⇒【1】へ 




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