表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/31

第17話 左手の指輪が、ずっと愛おしい


朝、目が覚めたとき。

遥はまだ少しぬくもりの残る布団の中で、左手をじっと見つめていた。


──薬指に光る、シルバーのリング。


寝返りの途中で指が枕元の布にそっと触れて、それだけで「あ、私、婚約してるんだ」って実感する。


(不思議だな)


ただの指輪なのに、これひとつあるだけで、

世界の輪郭が少し柔らかく見える気がする。


キッチンからは、駿がコーヒーを淹れる音が聞こえてくる。


「起きた?」


「うん。まだふにゃふにゃだけど……」


「こっちはすでに元気。コーヒー入れるね。遥はミルク多めでしょ?」


「……なんで、そんなに覚えてるの」


「好きな人のことだもん。当たり前でしょ?」


遥は枕に顔を埋めて、静かにジタバタ転がった。


(朝から溶かしにくるの、ほんとやめて……好き……)


テーブルの上に、2人分の朝食が並ぶ。


手を伸ばして、パンをちぎるとき。

コップを持ち上げたとき。


ふと指輪がキラッと光って、そのたびに胸の奥が、じんわり温かくなる。


「……この指輪、すごく好き」


「選んでよかった」


「うん。でも、どんなのでもきっと好きになったと思う。だって、駿がくれたから」


「ちょっと待って、それ俺が言うセリフじゃない?」


「ふふ、今日は私のターン。溺愛されてばっかだったから、返す日」


「え、ずるい……かわいい……ほんと好き……」


遥は笑いながら、テーブル越しに駿の手をそっと取った。


左手の指輪が、やさしく当たってカチッと音を立てる。


その響きが、今日の“幸せ”の証みたいだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ