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第三審査2日目
その日は朝から胸騒ぎがひどかった。
その日見た夢でいじめられて。お前にはできないと散々バカにされる。
会場に行けばザワザワ話す声。
スマホに来た通知を覗くと「グループを作れ」的なことが書いてあった。
「無理だよ、、、。」
と呟いたそのときだった。
大きな罵る声と、か細く抵抗する声。
頭で考えるより行動していた。
「やめてって、言ってますよ?そろそろやめたらどうですか?」
僕が声をかけると一人の男の人が反応する。
「、お前、なんだよ。」
「元アイドルバックダンサーって言ったら、驚きますかね?」
とっさについた嘘は案外するすると出てきた。
すぐに逃げていく男の人たち。
「大丈夫?」
と明るい茶髪の男の人が声をかけてくれる。
「名前は?」
「つくねです。」
つくね、それが今回の偽名だった。なんとなく、小さな男の子って感じがするから。名前も似ているし。
「僕はちぃです。」
僕が助けた男の子、ちぃがそう言う。
「怪我とかは?」
「ないです。心配ありがとうございます。」
「良かった、。僕、助けてあげられたんですね。あー、嘘ってこういうときに役に立つんだ。」
僕は安堵のため息をつきながらそう言った。
「、、、、え?」
みんなが間抜けな顔をする。
「あ、、、元アイドルバックダンサーなんて嘘なんですよね。そういうのに弱いので。ただアイドルをけなしに来てる人ってすっごい嫌いなんでついカッとなっちゃうんですよ。」
いじめられていたことも、思い出すし。
「助けてくれて、ありがとうございます、つくねくん。」
「そんな、、!っていうか、僕って毒舌っていうか、、、。アイドルになるにも毒舌天使をやろうと思ってて、、、君とはなんだか気が合いそうだなって思ってたんですけど、、、ちぃくんって、なんだかすっごい元気な気がします。」
「、そう、かな?でも、そう思ってくれたなら嬉しいです〜!僕、明るい子になりたくて!」
「どっちでも、良いと思いますけどね。」
そう言って、僕はカラッと笑った。
毒舌とか、キャラ付けで喋ろうと思っていたけど意外と様になるかもしれない。
そして、元気そうな男の人たちが4人で、僕とちぃで2人で、ついにグループ結成が決まったのである。