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悪戯をしてきた奴らは、それきり何もしてないんだと思っていて。でも、裏でとんでもないことをされていたのを、僕は知らなかった。
知らずに呑気に過ごしていた。
「ツユキ?なんか手紙が来てるわよ、って、コレ、〇〇くんじゃない。」
そう、お母さんに渡されて初めて嫌気がさす。
しぶしぶお母さんから封筒を受け取る。
中には合格と書かれた紙と、くしゃくしゃになった手紙が入っていた。
「お前が好きなクソみたいな歌い手(笑)みたいになれるように書類出したら審査通ったからあげるwwwどうせお前は無理だろうけどな(笑)」
なんて手紙と、その書類審査の結果であろう紙。
怒りでどうしようもない心をどうにか静めようと大好きな歌い手さんの動画を見る。
その歌い手さんも、書類審査のことを話していた。
合格した人はおめでとう、と。僕たちの仲間のなってくれると嬉しいな、なんてニコニコ笑顔で。
僕は、やるしかないんだと思った。
これしか、あいつらにやり返せない。
僕の大好きな歌い手さんは、こう続けた。
「ユメミライは特別な場所になるから、そんな場所を守り抜いていける子になってほしいな。」
そんなの、叶えるしかなかった。
ユメミライ、と言う名前はこの先も頑張れる気がして。
どうしても、諦められない未来となった。
暑かった夏が一瞬で過ぎ去った、少し寂しい初秋の話である。