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◇99 最終日:砂漠1

ちゃんと戦いました。

 いよいよ最終日が始まっちゃった。

 私達はここまででメダルを合計三十枚近く集めた。

 その中で星の付いたメダルは、星一つが二十五枚。星二つが五枚。後は副賞で手に入れた謎の鍵が一本。これが私達の成果で、正直良いのか悪いのか、さっぱり分かってない。


「それで、Night」

「……」

「Nightさーん」

「……」

「Nightってばー」

「なんだ、さっきから。ただでさえ暑い(・・)んだ。話し掛けるな」


 私達は五日目の今日にして、最大の過酷を味わっていた。

 それもその筈、五日目になった今日は場所が全然違う。

 酷な環境に置かれると、ギラギラとした太陽が、遮蔽物の無い私達に降り注がれる。


「話し掛けるなんて、Nightが言ったんでしょ?」

「そうだったか?」

「そうだよ。Nightは記憶力いいんだから、自分で言ったことくらい覚えているでしょ?」


 私達は今砂漠に居た。

 酷暑とはまさにこのことで、日本とかの比じゃないくらい暑い。

 全身がヒリヒリして焼け焦げてしまいそう。水を失ったらお終いな環境。それがここ砂漠で、私達は何故か砂漠を歩いていた。


「どうしてここに来たの?」

「決まっているだろ。ラストを掛けるには、誰も行っていない場所がいい」

「そんなの当たり前だよ。砂漠なんて、好き好んで来たくないでしょ!」


 私は如何にも意見をぶつける。

 すると風向きが悪くなったせいか、Nightは無言になってしまった。

 逃げるが勝ちとはまさにこのこと。私は溜息もカラッカラになると、一人元気なフェルノを羨ましいと思う。


「フェルノは暑くないの?」

「うん、ぜーぜん大丈夫だよー」


 フェルノは終始余裕だった。

 その理由はとっても簡単で、<ファイアドレイク>だから。

 あまりにもテンプレな構文に私は愕然とするけれど、炎も熱も暑ささえ、<ファイアドレイク>にとっては同じらしい。


「なんか、ズルいね」

「そうだな……よし、できたぞ」

「できたってなにが?」


 歩きながらNightはなにか作業していた。

 一体何をしていたのかと思えば、不意に私に投げ込む。


「受け取れ、これで少しは体も冷える筈だ」

「おっとっと。もう、ちゃんと渡して……冷たい!?」

「人肌に触れれば温くなるだろ。それを体にでも当てておけ。極力首筋なんかにな」


 Nightがくれたのは、キンキンに冷やされた冷却材。

 完全に凍っていて、砂漠の暑さを受けても全然溶けない。

 試しに首筋に当ててみれば、飛び上がってしまいそうなほど冷たく、私は目を見開く。


「冷たい、気持ちいい~」

「これで少しは楽になるだろ」

「うん、楽になったよ。でも、メダルは落ちて無いね」

「それは言うな。忘れろ」


 体温上昇を防ぐことはできた。けれどメダルは何処にも落ちていない。

 こんな砂漠の中から、メダルを探し当てるなんて普通に考えて不可能。

 ちょっとズルいけど、金属探知機の出番。かと思いきや、それさえ反応しない。

 せっかく誰も来ていないから宝の山かと思いきや、まるで逆。地獄が広がっていた。


「むーん、全然落ちて無いねー」

「掘り返すな」

「掘り返すでしょー。それで、これからどうするの……っと」

「そうだな。何処かで一度休憩を取って……と言いたいが、それもできそうにない」


 状況がまた変わる。

 視線を飛ばすと、砂漠の奥から何かかが駆けている。

 小さいが群れの様。少なくとも六つの影があり、私達は警戒すると、如何やらモンスターらしい。


「アレは、サバクコヨーテだ!」

「「サバクコヨーテ?」」


 Nightは知識を披露して、私達に教えてくれる。

 けれど分かった所で分からない。サバクコヨーテが何をしてくるのか。

 スキルを発動すると、サバクコヨーテの群れが襲って来るのを待つ。


「いいか、サバクコヨーテは全身が乾ききっている。動きは素早いが、骨は脆いからな」

「そっか。それじゃあ、やることは簡単だねー」

「うん。来るよ!」


 Nightに弱点を教えてもらいつつ、サバクコヨーテと対峙。

 先に襲って来たのは、サバクコヨーテ。

 砂地を蹴り上げ、鋭い爪を立てて攻撃する。


「ウォン!

「「ウォンウォン!!」

「「「ウォンウォンウォーン!!!」」」


 サバクコヨーテは何故かフェルノにばかり纏わり付く。

 群れで取り囲むと、激しく吠え出してフェルノを威圧する。


「う、うるさいんだけどー!」

「当り前だ」

「当り前じゃないよー。もう、なんで私だけー?」


 確かにフェルノだけを取り囲み、私達は一切無視だ。

 一体如何して? そう思う私にNightは教えてくれた。


「いいか、サバクコヨーテはゲームオリジナルの生態をしている。本来平原に生息する筈のコヨーテが砂漠に生息し、単独からつがいで行動するコヨーテが群れを作る。全ておかしい、故に行動も普通じゃない」

「それを言われても仕方ないんだけどー」


 サバクコヨーテは地面を蹴り上げる。

 高らかに飛び、地上から大体四メートルほどの高さまで駆け上がると、一気にフェルノを攻める。

 急降下して来た何匹ものコヨーテに襲われ、たまらずフェルノも逃げる。


「ひいっ、流石にロケットすぎるって!?」

「「「ウォーン!!!」」」

「もう、さっきからうるさいよ。【吸炎竜化】」


 サバクコヨーテを相手に、フェルノは種族スキルを発動。

 全身から炎を出し、威圧的に眼光を剥きだす。

 拳をシュンシュンと振り抜くと、サバクコヨーテは標的を切り替えた。


「今度は私か」


 フェルノのことなんて完全に無視した。

 今度はNight目掛けて突撃すると、再びロケットスタートを決める。

 流石に弾丸の様な嵐をNightは避けられない。それならば、Nightの取る行動は決まっていた。


「【ライフ・オブ・メイク】。盾を作れ」


 Nightは地面を蹴ると、頭上に巨大な盾が出現。サバクコヨーテを受け止める所か、反撃して吹き飛ばす。

 鉄の前にサバクコヨーテはダメージを受けると、Nightから視線を外す。

 流石に得意技が効かないとなれば、次の標的を見つけ出す。もちろん今度は……


「私だよね。やっぱり来た!」


 サバクコヨーテは三度同じ攻撃を見せてくれる。

 飛び上がって私に向かって突撃。流石に避けるのは……無理っぽい。

 それならここで仕留めようと、フェルノがアイコンタクトを送った。


「アキラ、行くよー」

「うん。それじゃあ……」


 サバクコヨーテが落ちて来る。

 私は逃げることもしないし、躱すこともしない。

 むしろ受け止める前に、牙をギラリとさせたサバクコヨーテ相手に、【キメラハント】で武装する。


「【キメラハント】+【甲蟲】」

「【吸炎竜化】&【烈火心動】」


 私は拳を付くって、サバクコヨーテを殴りつけた。

 フェルノも飛び込んでくると、炎に燃えた拳でサバクコヨーテをぶん殴る。

 直撃を喰らった二匹は砂の上にバウンドして倒れると、そのままHPも〇になり、粒子へと変わってしまった。


「ウォフ?」

「「ウーフ?」」

「ウォーン!」


 サバクコヨーテは仲間を失った。

 急に怖気づいたのか、動きが鈍る。

 後ずさりをして恐怖を感じると、ジリジリと逃げ腰の姿勢になった。


「逃げる気か……悪いが、逃がす気は無いぞ」

「そうだねー。ここまで挑んだんだもんねー」

「二人共ちょっと落ち着いて。サバクコヨーテ、逃げてもいいよ。私達は追わないから、貴方達も追って来ないでね」


 Nightとフェルノは物騒だった。

 正直私は戦いたくないので、サバクコヨーテを逃がしてあげようとする。

 その言葉が通じたのかは分からない。もしかすると、野生の勘で突然逃げ出した。


「「「ウォン!」」」


 サバクコヨーテが尻尾を撒いて逃げ出す。

 私達はわざわざ追ったりしない。

 攻撃してくる意思が無いのを確認すると、Nightは呟く。


「よかったのか、これで?」

「うん。だって、無駄に戦いたくないから」

「あはは、アキラらしいねー」


 とりあえず私達は砂漠の洗礼を味わった。

 けれどメダルは手に入らない。

 サバクコヨーテを二匹倒しただけで済むと、私達は更に先を目指した。

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