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【リメイク版】VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?  作者: 水定ゆう
3ー1:メダルハンターへの道

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◇98 爆速で謎解き

Nightの異常性を垣間見ましょう。

「この石柱、なにかな?」

「謎解きってことは、解くしかないってこと?」

「それは任意だろ。とは言え……ん?」


 Nightは石柱に触れた。とりあえず調べようとした。

 けれど触れた瞬間に異変が起きる。

 石柱が眩く輝き出すと、ポワンとメッセージが宙に表示される。



〔副賞GETチャンス!:暗号を解け〕

難易度:X 挑戦回数:1回 制限時間:10秒

——制限時間内に石柱の暗号を解け。最初に解いたプレイヤー1名に副賞を与える——



「なるほど、そう言うことか」


 あまりにも簡潔かつシンプルな説明だった。

 私達はポカンとする中、Nightだけは笑みを浮かべる。


「なにこれ、難易度Xだよ?」

「あはは、解けるかなー?」

「解けるかどうかは知らない。とは言え、一つだけ分かっていることがある」

「「分かっていることって?」-?」


 私達はNightの言葉に耳を傾けた。

 首を捻ると、Nightは当たり前のことをさもカッコつけて答えた。


「解けばいいんだ。解けば誰も文句は言わない」

「「それが無理なんだよ!」-!」


 私もフェルノもNightに怒りを向けた。

 剥き出しにした刃は否応なくNightを襲う。

 もちろん、Nightはそんなことじゃ動じない。

 淡々と笑みを浮かべ、石柱に触れた。ヒントを探しているみたいだ。


「とりあえずヒントは無さそうだな」

「ヒント無し?」

「少し待て、ネットで情報を漁る」


 Nightはゲーム内からインターネットにアクセスした。

 広大な海を一人で航海する。

 ドンドン深みに嵌っていき、無限の電子海をさすらってみる。


「解けるかな?」

「解けるでしょ、Nightなら」

「私もそう思うけど、流石にヒントが無いとね」

「うんうん、多分ね。でも、ヒント無しで解いたら化物だよね。異常だよね。多分、テレビとか出れないよねー」

「Nightはバラエティに出る性格じゃないと思うけど」


 私とフェルノは勝手なことを言った。

 もしも、もしもの話だ。ヒントも無しにこんな謎解きを成功させたら、単純にインチキだとかやらせを疑われる。

 もちろんそんなこと無くても、演者もスタッフもみんなドン引きだ。

 最悪の空気になると予想ができてしまう、そんな想像を働かせて待っていると、電子の海からNightは帰って来る。


「どうだった、Night?」

「ダメだな。そもそも石柱らしい情報が無い。恐らく、誰も発見していないもの。もしくは運営が秘匿しているもの。どちらかだろうな」

「そ、そんな」


 それじゃあヒント無しでこの謎を解かないといけない。

 そんなのやる前から結果は見えている。

 絶対に解ける訳が無い。なにせ何を解くとか、何をするとか、全く書いていない。

 ルールも分からないし、目的も分からない。何もしない訳にも行かず、謎だけが延々と膨らむ。


「とりあえず分かっていることは、天板に飲み仕掛けがあると言うことだ」

「天板って、これ?」

「そうだ。恐らく触れた瞬間に作動するんだろうが、この右上部の球体。コレを回転させ、左下部に何らかのアクションが起きれば成功だな」

「そんなアバウトなー」

「そうだな。とは言え、解けない謎では無いだろう」

「「解けない謎だよ!」」


 Nightがなんで自信あり気なのかは分からない。

 私もフェルノもNightを止めるように見つめる。

 しかしNightは早速なぞ解きを開始……はせず、頭の中で整える。


「とりあえず、この部分をこうして……」

「Night?」

「石柱の中を想像すると……」

「おーい」

「球体をどの角度、どの方向、どのくらいの強さで回転させれば……」

「Nightさーん、おーい」


 私達はNightのパーソナルスペースに声を掛ける。

 ひたすら言葉でノックするけれど、まるで反応が無い。

 目を瞑ったまま自分の世界に閉じこもると、私達は孤立した。


「ダメだー。全然声が届かないよー」

「うん。これじゃあ私達がなにもできない」

「うーん、とりあえず触ってみる?」

「それいいかも。よーし、まずは私からねー。行くぞー、それっ」


 暇になったから私達はぶっつけ本番で謎を解く。

 まずはフェルノの挑戦。私は隣で見ていると、球体に触れた瞬間タイマーが起動した。


「は、始まったよ!」

「こういうにはとにかく回転させて……か、軽い?」

「えっ、金庫とかって重みがあるんじゃないの?」

「全然重さも音も変わらない。分かんない、分かんないよー」


 フェルノは謎解きの坩堝に落ちた。

 全く謎を解くことができない。フェルノはあたふたしながら球体を回し続けると、タイマーが〇になってしまった。


「あーあ、終わっちゃったー」

「ダメだったね」

「うん。もう一回……は無理かー」

「そこは規定通りなんだ」


 球体をクルクル回転させてみた。けれど二回目の挑戦はできない。

 律義な設定、イカサマもバグもチートも使えない。


「私も挑戦してみていいかな?」

「どうぞー」

「それじゃあやってみるね。えーっと、この球体に触って」


 私は挑戦してみることにした。

 フェルノには避けて貰い、球体を触って動かしてみる。

 確かに軽くて重みが無い。クルクル回しても反応が無く、タイマーが進んでいく中で、ちょっと変わったことをしてみる。


「一回押してみて……あっ、押し込めた」

「嘘っ!? きっとそれが正解だよ」

「うーん、なにか導けそうだけど、この先が……あっ」

「終わっちゃったねー」


 私の挑戦は中途半端に終わってしまった。

 たった十秒で解ける気がしない。

 私はムッとしてしまうが、再挑戦はできないので、なんだか中途半端になる。


「はぁー。後はNightだけど……」

「よし、代われ」

「「Nightさん!」」


 ついにNightが動く。頭の中で謎解きが完結したのか、私達を押し退けて石柱の前に建つ。

 だけど本当に解けるのだろうか? 背中からは“任せて置け”オーラは出ている。

 ビシバシ私達を威圧するも、ヒントも無しにたったの十秒で解ける気がしない。


「本当に解けるのかな?」

「信じて見るしかないよ。Nightなら」

「解けたぞ」

「「早っ!?」」


 私とフェルノが喋っている間にNightは石柱の謎を解いていた。

 あまりにも早い。所謂あれだ、爆速って奴だ。

 私達は瞬きをする間もなく、一瞬のうちに謎を解いてしまったNightを絶句し、本当に解けたのか見てみる。


「本当に解けたの?」

「左下が光ってる!? どうやったのー」

「簡単な話だ。こんなもの、ヒント無しで解けるだろ」

「「いや、解けないけど」」


 私とフェルノは完全に引いていた。

 もはや人間技じゃない。完全にNightが異常だ。

 二歩くらい後退りとすると、Nightはまるで気にしていなかったのか、とりあえず解いた謎の解説もしない。


「それで、副賞はなんだ。ん?」


 台座の天面が突然光り出す。いや、光を放出し始める。

 光の柱を作り出すと、ポワポワと泡のような粒子が溢れる。

 その中には金色の鍵が浮かんでおり、Nightが手を伸ばすと、鍵が手の中に収まる。


「鍵、か?」

「これが副賞?」

「一体なんの鍵なのー?」

「さぁな。それに関してはなにも書いてない」


 まさかの謎の鍵を手に入れてしまった。

 Nightは鍵を手にしたものの、使い道が不明だ。

 私とフェルノは首を捻ると、Nightは溜息を付く。


「まあいいか」

「まあいいかって、そんな適当な」

「使い道もいずれ分かるだろ。それより今はメダル集めだ」

「まあ、それもそうだけど……」


 Nightは本来の目的に戻る。

 その点はあまりにも淡々としていて、判断がとても速い。

 私は絶句してしまうけど、それより絶句することになった。


「アキラ、お前が持っておけ」

「持っとけって。うわぁ、おっとっと……セーフ」

「アキラ、ナイスキャッチ」

「な、ナイスじゃないよ」


 Nightは鍵を放り投げる。私は滑る岩場で何とか鍵を落とさずに済むと、胸を撫で下ろす。

 何とか鍵を波に攫われずに私は万が一に備え、先にインベントリに放り込む。


「ちょっとNight。突然投げないでよ」

「私が持っていても意味が無いだろ。ギルマスのお前が持っておけ」

「そんな勝手な……」

「ほら、次行くぞ次」

「Night勝手だよ」


 Nightは目的意識が強かった。

 謎を解いた筈の張本人が鍵に興味が無い。もしかするともう気が付いているのかもしれない。

 その真偽は分からないけれど、とにかくメダル集めに戻る。


 私達もそんなNightを追いかけることにした。

 けれどメダルはなかなか見当たらず、結局四日目はこれでお終い。

 最終日に全て持ち越しになると、私達はラストスパートを決めた。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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