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◇9 VS甲冑蟲

下の奴と変えました。

名前は意味があります。

 私は当てもなくとにかく歩き続ける。

 何処までも続く獣道の一本道。

 私はスタスタと早歩きになりながら、気持ちの良い汗を流し、歩き続けてみる。


「そう言えばさっき手に入れたスキル、【半液状化】だっけ? どんなスキルなのかな……想像は付くけど」


 私は【半液状化】が多分こうなると分かっていた。

 けれど固有スキル:【キメラハント】を試してみたい。

そんな気持ちも強くなる中、森も奥の方までやって来ると、少し開けた場所に出た。


「ここなら休めそう」


 私は開けた場所の真ん中、そこに切り株があった。

 腰を落ち着かせようとしゃがみ込むと。ホッと一息を付く。

 それからステータスを確認してみよう。

 私はそう思うと、レベルアップした証拠が浮かび上がった。


「えっと、ステータスステータス……おっ!」



■アキラ

性別:女

種族:<ヒューマン>

LV:2

HP:110/110

MP:110/110


STR(筋力):17/15

INT(知力):17/15

VIT(生命力):17/15

AGI(敏捷性):17/15

DEX(器用さ):17/15

LUK(運):17/15


装備(武器)

武器スロット:〈初心者の短剣〉


装備(防具)

頭:

体:

腕:

足:

靴:

装飾品:


種族スキル:【適応力】

固有スキル:【キメラハント】+{【半液状化】},【ユニゾンハート】



「ちょっとだけ成長してる? でもバグったままだけど……」


 確かにステータスの値は増えていた。

 成長した証拠なのだろうが、実感が全く湧かない。

 私は首を捻ると、未だにバグったままなステータスに、私は疑問を抱く。


「もしかして仕様なのかな?」


 そう思い込むしか分かり切らない。

 腕を組んで考え込んでいると、不意に私は嫌な音を聞いた。

 ブーンと遠くから羽音が聞こえ、こちらに来ていると思い立ち上がる。


「な、なに!?」


 私は目を凝らした。

 目の前には木々が所狭しと生えている。

 その間を縫うように一つの羽音が聞こえて来ると、私は黒い影を見つけた。


「ん? あれは……む、虫!?」


 飛んできている黒い影。

 太陽の陽射しが微かに当たると、キラリと光って見える。

 その正体に私は驚くと転んでしまいそうになった。

 と言うのも、飛んでいるのはあまりにも虫。しかも全身に甲冑を纏ったような三十センチ程の大きさの虫だった。


「なに、あの緑色の……カメムシみたい……ひやっ!?」


 色合いは緑色。しかもキラキラ光っている。

 超高速で羽音を奏でると、とんでもない速度で突っ込んでくる。

 一体何を以って私に迫って来ているのか。

 そんなものはともかくとして、私は短剣を構える。


「く、来るっ……それっ!」


 虫の名前は甲冑蟲と言うらしい。

 とんでもない速度で突っ込んでくると、もう逃げることができない。

 私は短剣を手にして迎え撃つも、コツンと当てるだけで精一杯だった。


「あ、当たって……うひゃぁ!?」


 私は甲冑蟲にダメージを与えて喜ぶ。

 だけどそんなに喜べないことになった。

 急旋回した甲冑蟲は、私の背後を奪い取ると、問答無用で襲う。


「こ、このっ!」


 私も粗が痛くて振り返る。

 短剣を振りかざし、甲冑蟲を攻撃した。


 カツン!


「あれ?」


 だけど全然攻撃が通らない。

 甲冑蟲の体はまるで甲冑でも纏っているみたいに硬い。

 そのせいで初心者の短剣が全く通らない。

 エナメル質も剥がせず、私のことを攻撃した。


「い、痛い!」


 HPを削られてしまった。

 レベルアップしていたおかげで110のライフが100に減る。

 装備を何も付けていないせいもあるけれど、それでも後十回喰らったら負けになる。


「こんな痛いの聞いてない!」


 だけど私にはそれより許せないことがあった。

 VRゲームとは言えど、あまりにも痛い。

 装備を付けていないせいだと考えたかったが、それを抜きにしても私は苛立つ。


「ううっ、喰らいたくない……それじゃあどうやって?」


 私はオドオドしてしまうが、それでも意識を切り替える。

 甲冑蟲は超高速で動くけど、私は瞬きをせずに睨め付ける。

 すると甲冑を着込んでいる部分は表面だけで、何だか翅の裏側や、下側は剥き出しになっていた。


「ってことは、一回攻撃を受け流すしかないけど……どうしたら……あっ!」


 その瞬間、私は試したいことが生まれた。

 頭の中に【キメラハント】で奪った? 【半液状化】を使ってみることにする。

 もしも想像通りなら……と思ったが、考えている暇もない。


「ここはイチかバチか……【キメラハント】+【半液状化】!」


 私が叫ぶと、スキルが応えてくれた。

 するとみるみるうちに私の体は変化する。


「うわぁ、凄い、体が軽く……!?」


 私の頭上を甲冑蟲が通過する。

 もの凄い速さで抜けて行くと、標的を見失って戸惑っている。

 けれどそれは私も同じだ。正直戸惑うというか、困惑していた。

 なんたたって、この状況は……


(しゃ、喋れない!? しかもなにも持てない、アイテムも取り出せない、ええっ、どうしよう……どうしよう、どうしよう!!)


 私はパニックになっていた。

 挙動不審な態度でプルプル震える青いゼリー質の塊=私は、甲冑蟲に攻撃ができない。

 せっかく攻撃を回避したは良いものの、これじゃあ何もできなかった。


(とりあえず逃げるしかないよね。う、動け!)


 私は必死に体に念じた。

 すると小刻みに揺れる愛らしいスライムボディの私は、体をピョコピョコ跳ねさせて移動する。

 今はとにかく甲冑蟲から離れる。それしかないと思ったのだが、甲冑蟲は翅を広げて、今度はスライム化している私目掛けて襲い掛かる。


(嘘でしょ、無差別なの!?)


 まさかまさかの無差別攻撃。

 動くものは皆敵で、私は甲冑蟲に追われる。

 正直この状態じゃ走れない。私は急ごうにも跳ねるしか能が無く、必死になって逃げた。

 だけどダメ、全然追い付かれた。


(やられる!)


 私は死を覚悟した。

 まだログアウトもしていないのに、こんな幕切れ無い。

 怖い思いをして目を瞑るも、その瞬間は訪れなかった。


 プルン!


(あれ?)


 甲冑蟲の攻撃は決まった。

 けれど私には掠り傷一つ分のダメージもない。

 むしろ攻撃は容易くいなし、スライム化した私は無傷だった。


(やられてない? むしろ痛くない? この姿、最強なの?)


 スライムは弱いと思っていた。だけどそれは大きな勘違いだった。

 実際、スライムが主人公の作品は小説や漫画、アニメにゲームと、商業・非商業作品でも多種多様。

 なんたって一番弱いんだ。使い勝手がいい。

 そうは思っていたけれど、私が手に入れた【半液状化】は攻撃できない、移動が襲い、アイテム全般使用不可な代わりに、物理攻撃ならいなすことができる。

 まさに最強の盾だった。


(つ、強い! 攻撃はできないけど、これなら……じゃあどうやって攻撃すれば)


 とは言え、逃げていても勝ち目はない。

 いなし続けても体は削られる。

 実際スライムボディの耐久値はかなりの貧弱で、そこら中に青いゼリー質が千切れて拡散している。


(これ、倒さないとダメな奴だよね? 考えて、私、考えて……そっか、考えるまでもないんだ)


 考えるために脳をフル回転させる。

 だけどそれも束の間。考える必要が無いことに気が付く。

 実際、甲冑蟲の弱点は露出している。

 見え見えの裏側。そこを叩けば倒せるはずだ。


 だったらこの姿は格好だ。

 スライムは小さい。キングサイズでもないので、私は丁度良すぎる。

 都合の良い展開に胸躍ると、私は甲冑蟲が再び頭上を通過する瞬間を待つ。


(さぁ、来て!)


 その願いが通じたのか、甲冑蟲は頭上を通過する。

 攻撃を喰らわせようとタイミングを計っているのだ。

 虫なりに計算しているな、と感心する中、私は頭上を通った瞬間、スキルを解除した。


「そりゃぁ!」


 スライムの姿から一瞬にして人間の姿に戻ると、短剣を突き付けた。

 ギラリと光る剣身が、甲冑蟲の露出した部分を切り裂く。

 すると体勢を崩し、飛行能力を欠くと、更に短剣を突き刺して、私は地面に張り付けた。

 必死だったとはいえ、気が付いた時、私は恐怖する。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 私の断末魔が響いていた。

 それと同時にアナウンスが鳴る。

 如何やらまたまたレベルアップしたようで、私は調子のよいスタートを切るのだった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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