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◇83 メダルハンター

最後の取って付けた感が不満です。

「「新イベント!?」」


 私もフェルノも急にNightに呼び出され、そんな話をされた。


「そうだ。どうやら公式運営が、新イベントを開催するらしい」


 Nightは自信無さげに答える。

 それでも堂々としており、私達に相手には、強気を見せて口にした。


「イベント、初めてだよね?」

「うんうん。私もアキラも始めてー。Nightは?」

「イベントにはそこまで興味が無かったからな。私はあまり参加していない。唯一参加したと言えば……」


 Nightはインベントリからアイテムを取り出す。

 装飾が細かいキーホルダー?

 私とフェルノはポカンとするが、Nightは淡々と答える。


「二回前に開催された、INT(知力)イベントで一位になった時の賞品だ」

「「一位!?」」

「まあ、INTを上げるような奴は、学者志望の奴ばかりだからな。濃い内容ばかりで正直退屈だった。しかも早押しばかりで、普段からゲームで鍛えている私に敵う者はいなかったな」

「「すごっ」」


 私もフェルノも言葉を失ってしまった。

 流石にNightがつまらない嘘をつく訳が無い。

 だからこれは本当のことであり、真実を淡々と口にするだけだった。


「まあ、そんな話はいい」

「そっちの方が気になるんだけど」

「新イベントの題名は、メダルハンター」

「「メダルハンター?」」


 私もフェルノも首を捻る。

 一体どんなイベントなのか、頭の中でポンポン考える。


「今回の新イベントは開催期間五日間、参加方法はソロ限定、内容はマップ内に散ったメダルを集め、総数及びメダルの質で優勝を争う、極めてシンプルな構造だ」


 確かに簡潔にまとめられた内容を聞くだけでも、スッと頭に入って来た。

 つまり、メダルをたくさん集めたら勝ち。

 だけど“ソロ”って部分が重要そうで、私はNightに訊ねた。


「Night、ソロってことは全員敵同士?」

「えー、流石に初っ端それはなー」

「バカか。それぐらい抜け道は公式から用意されている」

「「と言うと?」」


 Nightは私達の不安を速攻で解決する。

 公式のHPにアクセスし、イベント詳細をクリック。

 私とフェルノに見せると、そこにはこう書かれている。



——尚、パーティーでの参加も可能。その場合、メダルの譲渡が可能——



 注目の一文が記載されている。

 私は頭の中ですぐに理解してみせると、Nightの考えを当ててみた。


「そっか。私達それぞれで参加して、最後に一人に集めればいいんだね」

「ま、マジで!?」

「そう言うことだ。単純に、今回のイベントは人数不利が大きく出る。それに配慮したものになっているんだな……とは言え、五人までか」


 メダルは一度触れた時点でダメなのか、それともメダルの奪い合いはOKなのか。

 Nightはブツブツ唱えるも、私とフェルノには分からない。


 ここはNight一人に任せることにした。

 変に口出ししたら、キレられそうで怖いんだ。


「なんだか楽しそうなイベントだねー」

「うん。これなら私もできるかも」

「あはは、アキラはなんでもできちゃうでしょー」

「そんなこと無いよ。私にだってできないことはある……どうしたの、Night?」


 Nightは神妙な顔をしていた。

 深刻なことでもあるのか、表情がぎこちない。

 眉根を寄せ、凛々しい眉がくの字に折れると、私達の顔を見る。


「二人共、この一文はどう思う?」

「「一文?」」


 Nightは気になる項目にマーカーを付けていた。

 如何やら気になる部分があるらしい。

 Nightが私達に意見を訊ねるなんて珍しい。そう思いつつも顔を覗かせた。



——イベント限定マップを含むダンジョン内には、メダル以外の副賞が用意されています。探してみてください——



「……ん?」

「副賞……ってことは、他にもあるってこと?」

「そうだな。だが、実際になにがあるのか」


 一番の問題はそこだと思う。

 副賞とは言っても、実際に何があるのか分かっていない。

 少し怖いものの、逆に楽しみだった。


「お前達はなにがあると思う?」

「そんなこと言われても分からないよ」

「そうそう。考えるの面倒臭ーい!」

「思考放棄か……」

「フェルノらしいね」


 私もフェルノも考えることを辞めた。

 なにせ、考えても分からないからだ。


「まあとにかく、私は参加するが、お前達はどうする?」

「えっ、今更聞くのー?」

「勿論参加するよ。だって面白そうだもーん」


 フェルノに“参加しない”選択肢は無かった。

 すぐに参加表明をすると、今度は私に視線が移る。


「お前は?」

「わ、私は……」


 少しだけ考え込んでしまう。

 なにせ初めてのイベントで、私はワクワクしている。

 だけど上手くできるか分からない。胸に手を当てると、フェルノは肩を掴んだ。


「アキラー、考えなくていいんだよー。全力で、楽しんでみよー!」

「全力で楽しむ……か。うん、それじゃあ私もやってみようかな」

「決まりだな。イベントは三日後だ。それまでの間に準備をするぞ」

「「三日後!?」」


 あまりにも早い急展開。

 一体どれだけこのイベントを寝かせていたのだろうか?

 私もフェルノも開いた口が閉じない中、Nightだけは淡々と作業を続けた。




 そこには暗闇が広がっていました。

 私達はいつも通り、今集まれるメンバーで集まると、目の前に表示された資料を見ます。


「なるほどな。んじゃ、D=イエローに司会は任せた」

「私!? なんで私なのよ」

「お前が一番適任だからだろ?」

「嫌よ、面倒臭い。C=レッドがやればいいでしょ!」

「アタシに務まると思ってんのかよ! 流石にイエローもバカじゃないだろ?」

「あー、またそうやって。もう、モノクロもなにか言ったら?」


 何故か私に振られてしまいました。

 全く姉さん達には困ったものです。

 とは言え、末っ子の私が口を出せる訳ではないので、ここは当り障りなく。


「イエローが適任だと思います」

「ほらな!」

「ちょっと、モノクロ。どうして私が適任なのよ!」

「どうしてと言われても、イエローやオレンジはとても愉快で私達の中で、誰よりもパッションがあります。故に、人目を惹き、盛り上げることに定評があるので。……イエロー?」


 何故かイエローは顔を真っ赤にしていました。

 隣では頭の上で手を組むレッドの姿があります。

 何故でしょうか? 今だけは、イエローの方がレッドっぽいです。


「ナイスだ、モノクロ。流石は私達の妹」

「? 私はイエローだから適任だとばかり」

「ちょっと止めて。それ以上言わないで、恥ずかしい」


 イエローは顔が真っ赤になる。

 本当に恥ずかしいのか、一体何が恥ずかしいのか。

 私には分かりませんでした。


「あー、もう。仕方ないわね、じゃあやってあげるわよ」

「流石。バイオレットに次ぐ、リーダー格」

「それは余計よ。それにバイオレットはクールキャラでしょ?」

「まあいいじゃんかよ。んじゃ、後は頼んだぜ。アタシは、オレンジの所に行ってくるわ」


 そう言い残すと、レッドは消えてしまいました。

 一瞬にして瞬間移動すると、私達の前から消えます。

 追跡もできますが、流石に野暮です。「はっ」と溜息を付くと、イエローが私の腕を掴みます。


「ってことで、手伝ってよね、モノクロ」

「……分かりました、イエロー」

「本当、貴女は良くできた妹ね」

「私は、私の役目を果たしているだけです。それと、楽しんでほしいと思う人もいるので、だから頑張ります」


 私は自分の思ったことを口にする。

 しかしイエローはそれがおかしかったのか、それとも意外だったのか、目を見開いた。


「どうしましたか?」

「モノクロがそんなこと言うなんて……もしかして、応援したいプレイヤーでも見つかった?」

「……はい」

「ええっ、どんな子なのよ。私にも教えて」

「い、イエロー、ちょっと、止めて……うわぁ!」


 私はイエローに絡まれてしまいました。

 もちろん嫌では無いのですが、面倒です。

 急にイエローの落ち込んでいた気持ちが回復したので、きっと大丈夫だと悟り、イベント運営をゲーム内から手伝うことに注力しました。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


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また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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