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◇79 閑話休題1

マジでなんでもない回です。

「ふんふふーん」


 烈火は珍しく机と向かい合っている。

 私はベッドに座り、茫然と見ていた。

 そう、烈火の部屋のパソコンで、私は流れる映像を観ていた。


『どうして、どうして学園都市が戦場になるんですか!』

『それが戦争というものだ』

『そんなの、大人達の勝手じゃないですか。どうして、どうして私達まで戦争に巻き込まれないといけないんです!』

『皮肉なものだよ。未来ある若者が、線上に駆り出されるというのは』

『だったら……えっ?』


 パソコンのディスプレイでは勇敢な少女が、軍服を着た大人達に抗議していた。

 なんだか重たい話で、私は観るのが辛くなる。

 深い内容が展開されると、急に場面転換し、症状の額に銃口が触れた。


「じゅ、銃!?」

「あははー、そりゃ出るでしょー」

「あ、当り前みたいに言ってる?」


 私は声を上げてしまった。

 しかし烈火はケラケラ笑うと、私に当然だと言い切る。


「烈火、このアニメ、結構深い系?」

「深い系。あっ、今回はロボットでないよ」

「えっ、ロボットアニメなのに!?」

「違うよ。よくあるでしょ? ロボットアニメの皮を被った、人間同士の対立を描く作品。アレだよ」

「れ、烈火が深いこと言ってる」


 確かにそういう作品はよくある。

 キャッチ―な世界観と見せかけておいて、実際にはかなり核心を付いた、政治的背景のドラマとかアニメとか。

 私はゴクリと息を飲み観ると、烈火が教えてくれた。


「いやぁー、面白いよね、イカロスシリーズ」

「そうなの?」

「そうだよ! 五十年以上続く名作だよ? えっと、今のでTVシリーズ・第二十作品目じゃないかな? 鋼翼戦記イカロス・ウイング。ちょっとSFファンタジー強めの学園ドラマなんて、滅多にやらなかったよ」

「えっと、最初が分からないんだけど、大丈夫な奴?」

「大丈夫大丈夫。そもそも、深い内容が分かる人は少ないから、私も分かってないし。っていうかー、私も分かってないからねー。あはは」


 全然ダメだった。いや、最初からそうだと思っていた。

 烈火はただロボットアニメだから観ているだけ。

 そんな気はしていたが、今更言いだせず、もちろん私にも深いことは分からない。


 ただ、こう。DNAを貫通するような強い感情が伝わる。

 グサリグサリと棟の奥を貫く感触。

 それに焦がされると、私は頭を抱える。


「もう、分からないよー」

「大丈夫だってー。ほら、カッコいいでしょー」


 そう言うと、私に烈火はプラモデルを見せてくれた。

 赤をベースに、黒とか緑とか。クリアなパーツも多く、しっかりと纏まっている。

 一体これはなに? そう思うも、すぐにピンと来る。


「もしかして、このアニメに出て来る奴?」

「そう。主人公のライバルだったんだけど、戦って和解して、今じゃ良い兄貴分になってくれたキャラの機体。名前はね、フォース・ザンパネル。どう、どうどう? カッコいいでしょー」


 烈火は嬉しそうに私に説明してくれる。

 とは言え、私が烈火に魅せられた話にはOPでしか出てきていない。

 そのせいか、あまり印象が無い。


「カッコいいけど、どうしてライバルキャラなの?」

「えっ? イカロスシリーズは、主人公が人気無いんだよ」

「ど、どうして?」

「メディアにいっぱい出て、他キャラの方がレアだから。プラモも主人公機は工場のラインで大量生産されるから、全国各地で定価割れしているんだよねー。ヤバいよ、ほら」


 烈火はスマホで調べてくれた。

 ネット通販のサイトを見ると、確かに低下の半分以下になっている。

 これが流通量。唖然とした私だけど、やっぱり主人公の機体が一番好きだ。


「私は好きだよ、主人公の」

「明輝は当り障りのないメジャーでバランス機が好きだからなー」

「もしかして、私少数派?」

「このアニメに関しては、マジで少数派―」

「そんな。カッコいいのに」


 まあ、好みは人それぞれだ。

 誰かの意見に従ったって、責任は取れないし、上手くも行かない。

 私はそんな人間社会の心理を解きつつ、烈火の作っているプラモを見た。


「そう言えば、このプラモ……」

「百四四の一って書いてある」


 確かに机の上に置いてある箱には、144分の1とパッケージに記載がある。

 つまり、これを後百四三個集めれば、本物と同じサイズになる?

 あまりプラモデルは使ったことが無い。

 私は首を捻るも、烈火は語る。


「とりあえず仮組と、鑢掛けが終わったんだよー。後は適当に洗って、塗装するだけ」

「すごっ、そこまでやるの?」

「趣味だからねー」

「……烈火がそんなに集中するなんて。珍しいね」


 私は知っている。

 烈火は飽きっぽい性格で、基本的に流れで適当だ。

 だからこんな繊細で単調とした作業を長時間掛けてできるなんて、エンタメって凄い。


「そうだ、明輝も作ろうよー」

「えっ、私も?」

「そうそう。一応キットは余ってるからさー。完成したら、ガチャガチャして遊ぼう」


 烈火は瞳を輝かせる。

 楽しそうで興奮気味でもある。

 しかし私は圧に負けない。逆に詰め寄られ、私は頬が震える。


「えっ、せっかく塗装するのに、ガチャガチャして遊ぶの?」

「うん、だって飾るより遊んだ方が楽しいでしょ!」

「えーっと、それは塗装する意味が……まあ、いっか」


 結局は烈火の自由だ。

 塗装して仮に剥がれたら、また塗装し直せばいい。

 おもちゃは飾っても遊んでも楽しい。それが一番面白い。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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