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【リメイク版】VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?  作者: 水定ゆう
2ー3:ユニゾンハートは止まらない

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◇73 ゴーレムとヘドロ

短いけど、凄くまとまってます。

 PvP二戦目が始まった。

 スタンバイからスタートの合図が早い。


「そう言えば、二人の名前は?」

「小生はヘドロ少佐でゲス。それでこっちがゴレイム」

「んがっ!」

「ヘドロさんとゴレイムさん。それじゃあ、お願いします」


 私は丁寧に頭を下げる。

 再びカウントが過ぎると、真っ先に私が動く。


「行きます! 【キメラハント】+【灰爪】」


 足は全く強化できていない。

 だから動き自体は遅いけど、私は真っ向から突っ込む。

 だって、それしか戦う術がない。


「突っ込んできたでゲスな」

「HPが半分なら、早期決着がいいですから!」


 私だってバカじゃない。ちゃんと考えて動く。

 人数差を覆すには、まずは一人倒すしかない。

 そのためには、少し無理しないとダメだった。


「それっ!」

「ゴレイム、来たでゲスよ」

「んがっ! 【ゴーレム】」


 まずはヘドロさんからだ。

 私は灰色の爪を突き付けると、ゴレイムさんが間に入る。

 私の攻撃を代わりに受けてくれるらしく、それなら手間が省ける。

 とは思いつつ、ゴレイムさんの腕はヘンテコだった。


「えっ、なにこの腕?」


 飛び出してきたのは、分厚い岩石の腕だった。

 岩でできているのか、とんでもなく硬い。

 しかも分厚くて、私の爪の方が折れてしまいそうだった。


「い、痛い!」


 目から涙がたくさん出る。

 先端の方がペッキリ折れてしまいそう。

 痛みが全身を駆け抜けると、反射的に手を握る。


「い、痛い……」

「んがっ、ごめん」

「ゲースゲスゲスゲス。ゴレイムの防御力を舐めたらダメでゲスよ」


 ゴレイムさんの種族スキル。それは圧倒的防御力を実現する代わりに、敏捷性を捨てたスキル、【ゴーレム】だった。

 そのせいか、私の攻撃は全然通用しない。爪をふぅふぅしながら私は真っ赤になった目で睨むと、ゴレイムさんは申し訳なさそうにする。


「ごめん」

「仕方が無いでゲスよ。それよりゴレイム、やってやるでゲス」

「ん、ごめん」


 ゴレイムさんは私に詰める。距離を奪うと、私は逃げるしかない。

 だけど後ろに下がれない。下がり過ぎても、結局詰められる。

 ここは左右を使うしかない。そう思ってゴレイムさんに飛び掛かると、剛腕を振り上げる。


「今度は負けません! はぁぁぁぁぁっ」

「飛んでけ」


 ゴレイムさんが腕を振り上げた。

 もちろん動き自体は遅いけど、当たったらお終い。

 私は体を捻り、なんとか避けると、顔に向かって飛び膝蹴りをした。


「ぐはっ!」

「い、たい!」


 ゴレイムさんも意表を突かれて仰け反る。

 もちろん私も反射的にダメージを受ける。

 膝を思いっきりぶつけたせいで、せっかく攻撃を躱したのに負傷した。


「凄い! 流石アキラ。さっきと違って、動きがハッキリしてる」

「そうだな。とは言え、アキラの方が不利なのは明らかだ」


 フェルノとNightの声援が聞こえた。

 確かに、圧倒的に私が不利なのは変わらない。

 せっかくゴレイムさんにダメージを与えても、私の方が反動が大きい。


「このままじゃ、私の方が先に倒れちゃう。それなら!」


 ここは成長率を見せるしかない。

 ゴレイムさんに一気に距離を詰める。

 リボルグさんを翻弄した時のようで、ゴレイムさんも初見で反応はできない。


「んがっ!?」

「そこっ」


 私はゴレイムさんの懐に飛び込む。

 ゴーレムの凹凸した体を利用し足を掛け、分厚い肩に体を預ける。

 首に腕を回し、ゴレイムさんの意識を刈り取る。これが私の考えた作戦だ。


「せーのっ!」

「がっ、あっ、く、るしい……」


 ゴレイムさんの頭を持ちながら、首を腕で締め上げる。

 たとえゲームの中とはいえ、この世界では呼吸がある。

 息が吸えなければ流石に死ぬ。私の予想は確かで、HPがゴッソリ削れると、そのまま後ろに体重を掛けながら、倒してしまおうとするが、ヘドロさんが飛び出していた。


「ゴレイム、タイミングを合わせるでゲスよ!」

「んがっ!」

「そこでゲス」


 ヘドロさんは針のように長い剣で、私のことを刺そうとする。

 このままじゃ刺される。避けないとダメだ。

 私は咄嗟にゴレイムさんから飛び降りると、今度はゴレイムさんが動く。


「んがっ! お返し」

「えっ、ちょっと!? うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 ゴレイムさんの腕が私の体を持ち上げた。

 お腹を叩き上げられると、HPが削れると共に、吐き気を催す。

 口から吐瀉物が飛ぶと、意識を失いかけ、宙を舞った。


「「アキラ!?」」

「「「お嬢ちゃん!」」」


 心配の声援が飛んだ。

 だけど私の頭には正直入って来ない。

 鼓膜がイカれたのか、音が良く聞こえない。

 正直時間の感覚が壊れると、私は逆さまに落ちる。


(このままじゃ、本当にヤバい。こうなったら、【半液状化】で……あれ?)


 私は【半液状化】を使おうとする。

 だけど眼下に広がる黒い液体に、私は視線を惹かれる。


「なに、あれ? 臭っ!」

「ゲースゲスゲスゲス。これが小生の種族スキルでゲスよ」


 黒い液体を出しているのはヘドロさんだ。

 中央に巨大な塊が存在すると、そこから大量の臭う液体をドロドロと出す。

 私は戦意を削られると、スキルを使うよりも先に受け身を取った。


「スキル使ったら、飲み込まれちゃう……うわぁ!」


 私の体が黒い液体に飲み込まれる。

 気持ち悪い。まるでヘドロのようで、臭いし身動きが取れない。

 全然水深も深く無い筈なのに、私は足をバタバタさせると、溺れてしまいそうだった。


「うっ、く、苦しい……」

「ゲースゲスゲスゲスゲス。小生のヘドロに飲み込まれて、窒息するでゲス」

「あっ、ヤバい……ぐへっ」


 ヘドロの海に飲み込まれる。

 私は身動きが全く取れず、体がベトベトして重たくなると、そのまま意識を飲み込まれた。

 体がピクリともしない。HPは残っているのに、先に意識がダウンすると、真っ暗な世界が広がっていた。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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