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◇70 初めてのPvP

PvPって燃えますよね。

私は対戦ゲーより、ちまちまソロしている方が好きです。

「それじゃあ、ルールはどうするんだ?」

「ルール?」

「お前、PvPのルールを知らないんだろ。お前に有利なルールで受けてやる」


 そんなこと言われても、私にはPvPが何なのかもわからない。

 有利なルールって言われても、なにが有利なのかもさっぱりだ。

 首を捻ってしまい、腕を組んでいると、急に聞き馴染みのある声が聞こえた。


「なにやってるんだ、アキラ!」

「そうだよ、アキラ。なーに、面白いことしてるのー?」


 私はすぐさま振り返った。

 そこに居たのは、インベントリに入りきらなかった荷物を抱えたNightと、キラキラとした瞳を向けるフェルノ。

 いつの間に集まっていたのかな?

 私はこんな面倒な状況に巻き込まれているので、きっと後で怒られると思った。


「それが、その……PvPを受けちゃって」

「PvPだと!? バカか、お前! そんなもの、すぐ取り消せ」

「いや、その……受けちゃって。今、ルールを決めてる所なんだけど」

「ルールだと? ちゃんと、自分に有利になるルールを設定したんだろうな? まさか、スタンダードじゃないよね? よな?」


 スタンダードも何も分からない。

 私はポカンとしてしまう中、リボルグさんは急かした。


「早くしてくれるか? 俺達も時間は無いぞ」

「それじゃあ、スタンダードでやります」

「「「スタンダード、だ~!?」」」


 Nightもリボルグさんも、周りの人達も声を荒げた。

 唯一、この空気に乗れていないのは、初心者の私とフェルノだけ。

 一体何がおかしいのかな? 困惑していると、リボルグさんは笑い出す。


「はっ、はははははっ! お前、面白いな。いいぜ、スタンダード・ルールで受けてやる。レベル・ステータスの差は存在しない。アイテムの使用は無し。どちらかのHP・MPが〇になった方が負けだ。もちろん、降参も有りだぜ?」

「降参はしないです」

「ふん、痛みの実数値は半分に設定してやる。それじゃあ、カウントダウンスタートだ」


 パチンとリボルグさんは指を鳴らした。

 すると頭上に60のカウントがスタートする。

 更に私とリボルグさんを取り囲むように、巨大な円形のバリアー・フィールドが発生し、完全に閉じ込められてしまった。


「な、なにこのバリア?」

「これがねぇと、危ないんだよ。運営の配慮だ、これで思う存分やり合えるだろ?」

「は、はい! それじゃあ、頑張ります」

「ふん、勝手にやってろ」


 60のカウントダウンが一つずつ減って行く。

 私は刻々とカウントが進むのを待っていると、緊張感が伝わる。

 なにせ初めてのPvPだ。モンスターとは勝手が違うと思い、全身が固まる。


「アキラ、緊張するなよ」

「Night……」


 私はNightに声を掛けられた。

 緊張している私を解そうとしてくれた。


「そうそう、アキラは強いんだからさー。気軽にやってみよー」

「気軽に。うん!」


 何だか少し体が解れる。

 緊張していたものが解けると、体が軽くなった気がした。

 ホッと胸を撫で下ろし、全身から立ち込めるエネルギーを受け、私は勇気を貰った。


「アキラ様」

「この声、モノクロちゃん?」


 私は周囲を見回した。

 けれどモノクロちゃんの姿は見当たらない。

 もしかして、たくさん観客がいるから、モノクロちゃんの姿が見えないのかも。

 そう思って、耳だけ澄ましていると、モノクロちゃんの声がする。


「アキラ様、頑張ってください」

「うん、ありがとう。できるだけ、頑張ってみるね」


 期待されているみたいだけど、私は期待して欲しくなかった。

 だって、私は一方的に勝てるとは思っていない。

 もちろん、勝ちたいとは思っている。

 だからこそ、このカウントが、全身を痙攣させる。


「五、四、三、二……一」

「行くぞ」


 カウントが0になると、アナウンスが鳴った。

開始の宣言がされると、いきなりリボルグさんは動き出す。

 一瞬で距離を詰めると、鋭い爪が私の視界を捉える。


「死んどけ」

「危ないっ!」


 私は体を反らして、何とか攻撃を回避した。

 するとリボルグさんは驚いた様子だ。

 この一発で仕留めに来たらしく、一撃を躱されたことで、かなり動揺していた。


「マジかよ。俺の攻撃を……」

「危なかった。強いですね、リボルグさん」

「ふん、お前も……なっ!」


 リボルグさんは右腕を下に降ろす。

 グルンと回しながら爪を尖らせると、私の服を爪で引っ掛ける。


「きゃっ!」


 当然私は悲鳴を上げた。

 けれどリボルグさんの攻撃は慣性を利用している。

 このままじゃ引き裂かれて、肌が露出する。

 そんなの恥ずかしい……私はなんとか抵抗する。


「止めてください!」

「な、なんだ。うわぁ!?」


 私はリボルグさんに服を引き裂かれる前に、一歩踏み込む。

 パンチに全体重を乗せると、リボルグさんの頬を殴る。

 ドスン! と痛烈な一発が入った……と思ったけど、リボルグさんは、顔を逸らしている。


「受け流さなかったら、ヤバかったな」

「私も危なかったです」


 とりあえず服の裾はパンツに入れた。

 これで恥ずかしいことにはならない。いや、もっと恥ずかしいのかな?

 私はとりあえず、肌が露出しないで済むと、リボルグさんを迎え撃つ。


「リボルグさん、本気で行きますね」

「ああ、来いよ。俺も本気でやってやる」

「分かりました。行きます、【キメラハント】!」


 私は先に動くことにした。

 先制を許してしまった以上、スキル戦では負けない。

 【キメラハント】で武装すると、力強く前に踏み出す。


「な、なんだ? それがお前の固有スキルか」

「はい。喰らってください、【甲蟲】!」


 【甲蟲】を使って腕を武装。

 籠手を纏うことで、パンチを叩き込みに行く。

 さっきよりも当たれば確実に痛い。

 私は鋭い目で訴えると、リボルグさんはニヤッと笑う。


「よく分かんねぇスキルだけどな、俺には通用しないぜ」

「えっ?」


 私が拳を振り抜いた瞬間、リボルグさんは目の前から見える。

 私は目を見開いてしまうが、周囲を見回す前に、蟀谷付近に拳が飛ぶ。


「痛い!」


 私は倒れ込んでしまいそうになる。

 左手を付き、蟀谷を押さえる。

 今のはなに? 私が瞬きをすると、目の前に変な人が居た。


「大したもんだぜ、今ので潰れねぇのはよ」

「もしかして、リボルグさん?」


 私は目を丸くする。

 なにせ目の前に居るのがリボルグさんなんて信じられない。

 そこに居たのは、全身が茶色い毛に覆われた狼男。

 鋭い爪を突き立てると、私のことを威圧して来て、ゴクリと喉を鳴らした。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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