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◇61 Eランクになったぞ!

新キャラ登場。

この先どう関わるのか、楽しみですね!

 スタットのギルド会館に戻って来た。

 私達は、ギルドに提出するための素材を用意する。

 正直、ここまで大変な道のりだった。

 なにせ、私以外の二人は完全にダウンしていた。


「あー、やーっと着いたー」

「はぁはぁはぁはぁ……ようやくか」


 フェルノとNightは、息を切らしていた。

 それもその筈、フェルノはスキルの反動。

 体力を可なり消耗していて、疲れ切っている。


 一方のNightは単純に体力は終わりに近い。

 顔色はやっぱり悪く、今日一日で、多分一週間分は歩いた。


 そう思わせてくれるには充分なほど、転移地が遠かった。

 メタクロの森からすぐに出も出ようとしたのに、探せど探せど見つからない。

 そのせいもあってか、三十分以上は格闘した。


「でもなんとか戻って来たよ。ほら、報告しに行こう!」


 私だけは頑張って元気な振りをする。

 フェルノとNightを引き連れ、受付にやって来た。

 目の前のプレイヤーが列を抜け、丁度、ミーNaさんの顔があった。


「あっ、皆さん、今戻られたのですね?」

「ミーNaさん、これでいいんですよね?」


 私はインベントリの中からアイテムを取り出す。

 今回の依頼、〔メタクロベアーの討伐〕は、もっと正確に言えば、〔鋼鉄の熊爪〕の納品だった。

 だから、ちゃんとドロップしてくれてよかった。

 胸を撫で下ろすと、私はアイテムを納品する。


「それでは、アイテムの提出をお願いできますか?」

「はい。これで大丈夫ですか?」


 私はインベントリの中から、鋼鉄の熊爪を取り出す。

 トレイの上に置くと、ミーNaさんは受け取った。


「それでは確認させていただきますね。うん、少し傷が入っていますが、大丈夫ですね」

「き、傷ですか?」

「はい。この辺りを見てください」


 ミーNaさんは鋼鉄の熊爪を見せてくれる。

 人差し指で指すのは、爪の部分。

 一ヵ所だけ、穴が開いている。それが傷になっているらしく、減額になってしまうらしい。


「こんな傷があったんだ……」

「ミスったな。モンスターを倒してドロップするアイテムには、確率が設定されている。その確率を少しでも上げるには、狙った部位を狙うのがベストだが、同時にそのモンスターから落ちる素材も、どのように攻撃したのか、どのようにダメージを与えたのかによって決まる」

「つまり、ワイヤー作戦の弊害?」

「私の作戦は完璧だった。無茶はしたが、二人なら充分できた筈だ!」

「えー、結構頑張ったのに、叱られるのー?」

「私は完璧にこなした。それだけだ」


 こんな公衆の面前で喧嘩しないで欲しい。

 私はなんとか二人の間に入り、喧嘩を諫める。

 とは言っても、喧嘩をするような体力も無い。

 二人は適当にやり取りをすると、すぐに如何でもよくなった。


「それじゃあミーNaさん、これって……」

「いえ、大丈夫ですよ。この程度でしたら、依頼主の方にもギルド側から、補填をさせていただきますので。実際、品質・耐久性、どちらも十二分ですから」


 ミーNaさん、上手く話しを纏めてくれた。

 如何やら私達の頑張りはそっくりそのまま適ったらしい。

 よかったと何度も胸を撫で下ろすと、呼吸が整ってくれた。


「それでは後で不備などが無いか確認させていただきますね」

「お願いします」

「それと、〈《継ぎ接ぎの絆》〉の皆さん。先に報酬をお渡ししておきますね。こちらが今回の報酬になります」


 そう言うと、ミーNaさんは袋を手渡してくれた。

 ズッシリしていて重たい。

 中身は何かと思ったら、如何やらコインがたくさん入っている。きっとお金だ。


「うわぁ、こんなに!」

「報酬の内、五パーセントは、ギルド側が利息としていただきます。残りはどうぞお受け取りください」

「ありがとうございます」


 私は報酬を受け取った。

 とは言え、この報酬は何だか受け度り辛い。

 なにせ相手が相手だ。またソウラさんに睨まれなければいいのにと思いつつ、ミーNaさんはもう一つ教えてくれた。


「今回の依頼、少々Fランクとしては難易度が高かったかもしれませんね」

「あっ、そうだぞ! 相手は凶暴化していた強化個体だった」

「そうだよー。おかげで酷い目に遭ったんだよー」


 Nightとフェルノは吹っ切れた。

 ミーNaさんに文句を言いだして、私は戸惑う。

 けれどそれを聞いたミーNaさんは驚くと、申し訳なさそうな顔になった。


「そうだったんですか!? 申し訳ございませんでした」

「ミーNaさんが謝ることじゃないですよ。それにこうして無事なんですから」

「それはそうですが……本当に無事でなによりでした」


 確かに無事で何よりだ。

 私達は今のレベルでよく勝てたと思う。

 それだけの強敵を打ち負かしたことで、ミーNaさんは凄いことを教えてくれた。


「〈《継ぎ接ぎの絆》〉の皆さんは、これでFランクからEランクに昇格しましたね。おめてどうございます」

「「「えっ!?」」」


 私達は声を上げた。

 まさかたった一日で、ランクが上がるなんて思ってもみなかった。

 私達は互いに視線を配り合うと、ミーNaさんに訊ねる。


「ランクが上がってもいいんですか?」

「はい、問題ありませんよ」

「えっと、それじゃあ……」


 この後如何したらいいのかな?

 まさか一日にしてランクが上がるとは思わなかった。

 流石に声が出なくなると、とにかく喜んではみた。


「みんなやったね」

「うんうん、なーんか、実感ないけどねー」

「そうだな。とは言え、これで目標はクリアだ」


 私達は知らなかった。

 あの強化個体のメタクロベアーが、相当のランクであること。

 それを倒したことを、ミーNaさんは会話から読み解くと、そのまま私達をランクアップさせてくれたのだった。




「ん、おや?」


 ギルド会館にやって来た女性が一人。

 真っ黒な髪に、深い青の瞳。

 凛々しい顔立ちは、同性でも目を奪われてしまう。


 何となく私にはそう映った。

 彼女の名前は知らないが、如何やらギルド会館に用があったらしい。

 依頼を受理しに来たのか、受注しに来たのか、どちらにせよ目的を持つ顔だ。


「アレは……」


 そんな中、女性の目は一点に留まる。

 受付カウンターから離れ、互いに喜び合っている少女達の姿。

 アキラ達〈《継ぎ接ぎの絆》〉の姿を見ると、つい聞き耳を立ててしまった。


「これでよかったんだよね?」

「当り前だ。無事に依頼も達成した。ギルドランクも上がったからな」

「どっちみちー。OKってことでしょー。万々歳―!」


 女性にとっては何の縁も所縁もない。

 けれどギルド会館でかなり目立っているせいか、自然と視線を奪われる。

 とは言え話すこともあまりない。女性は一瞬目を伏せると、アキラ達と交差した。


「青春だね。仲間同士で喜び合う光景。おめでとうと讃えておくよ」


 とは言え喜んでいる少女達は眩しい。青春を満喫している。

 女性は凛とした態度を崩すことは無いが、軽く拍手を送った。

 きっと大変な依頼を達成したのだろう。「おめでとう」の気持ちを贈る。


「さてと、ボクも依頼の確認をしないとね」

「あっ、けみーさん」

「ん? やぁ、ミーNa。どうしたのかな? なにかあった?」


 女性の名前はけみーと言った。

 受付カウンターに向かうと、アキラ達の対応を終えたミーNaに声を掛けられる。

 如何やら知り合いのようで、お互いにフランクなやり取りをする。


「けみーさん。丁度今、〈《Deep Sky》〉のソウラさんの依頼が達成されましたよ」

「丁度今? ……偶然かな?」


 けみーの目的は依頼の確認だった。

 現在進行形か否か、その進捗を聞くだけでよかった。

 面倒な依頼になっているため、誰も引き受けてはいないだろうと高を括っていたのだが、まさか依頼が達成されるなんて思わなかった。しかも丁度今だ。けみーは姿勢を崩す。


「ちなみに一体誰が?」

「けみーさんの視界の中にあります」

「僕の視界? ……まさか、彼女達が?」

「はい!」


 けみーは誰が依頼を達成したのか気になった。

 本来口にするべきではないのだが、ミーNaは嬉しくてヒントを出す。


 視界の中と言われ、けみーは周囲を見回す。

 クルンと振り返ってみると、“丁度今”が引っかかった。

 その言葉を検索に掛けると、一組だけヒットする。

 そう、今しがたギルドを立ち去ろうとするアキラ達だ。


「けみーさん?」

「なるほど、そうかい。彼女達が……面白いね」


 けみーは笑みを浮かべていた。

 一体何が面白いのか、ミーNaは分からない。

 もちろん私にも分からず、人間にしか伝わらない、もしくはけみーにしか理解できない高次元の思考を、私のデータとして蓄積する訳にはいかなかった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


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また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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