表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/227

◇59 VSメタクロベアー3

超超超無理ゲーな作戦。

 ベチャッ!


 メタクロベアーの両腕が、私のことを挟んだ。

 潰そうとしたものの、その腕は何も掴めていない。


「グマァ?」


 メタクロベアーの両腕は、青色のベタベタした粘液に包まれていた。

 一体これはなに?

 そう思っているに違いなく、私は意識の外側に外れた。


(危なかったー)


 私は間一髪の所で、【キメラハント】+【半液状化】を使った。

 おかげで即死を回避した私。

 ホッと胸を撫で下ろしたいけど、手も無いし、そんなことしている暇もない。


(どうしよう。フェルノは大ダメージ喰らって動けないし、Nightはなにしているかわからないし、私はどうしたら……)


 そんなことで悩んでしまった。

 するとメタクロベアーは、足下に転がる、青いスライムが気になる。

 きっとこの森には居ないんだ。

 私は視線に気が付いた瞬間、スキルとか関係無しに、ヤバい予感がした。


「グマァ!」

「やっぱりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 私は急いでスキルを解除。

 メタクロベア―から距離を取る。


 鋭いメタルクローの爪が振りかかる。

 またしても、間一髪の所で攻撃を回避すると、私はメタクロベアーから遠ざかる。


「あ、危なかった……」


 私は冷汗をたくさん掻いた。

 自分の汗だけで、服の中がスース―する。

 目の前に居るメタクロベアーも、爪を研ぎ澄ませ、私のことを赤い瞳で睨み付ける。

 もう逃げられない。ジリジリと気配だけで追い詰められる。


「グマァ」

「ど、どうしよう……」


 私は【キメラハント】+【甲蟲】で武装する。

 能力を解放し、メタクロベアーに迎え撃つ。

 だけど足が竦む。どうしたら勝てるのかな、私はそればかり考える。


「こうなったら、突撃して……」

「そんなバカな真似するな。死にに行くつもりか!」


 そんな時、背後から声が聞こえた。

 隠れて何かしていたNightが、顔を覗かせ、早速罵倒する。


「Night!」

「いいか、メタクロベアーは。鋼鉄の爪だけが突出している。攻撃特化の相手なら、それを封じればいいんだ」

「封じるってどうやって?」


 そんな簡単に言わないで欲しい。

 私はムッとした表情をするけれど、Nightはニヤッと笑みを浮かべる。


「コレを使え」


 Nightはそう言うと、いつものワイヤーを手渡した。

 私は受け取ると、なんだか違和感がある。

 このワイヤー、いつもより太くて長い?

 不思議な感覚になると、Nightは続ける。


「Night、コレっていつものワイヤーだよね?」

「そう思うか?」

「……思わないけど。どうやって使うの?」

「単純だ。そのワイヤーで、メタクロベアーの腕を封じろ。攻撃を封殺すれば、ソイツはただの的だ!」


 Nightは突飛なことを言った。

 もっと頭の良い作戦かと思ったけれど、実際は単純。

 私はポカンとして真顔になると、Nightは続ける。


「安心しろ。私も援護はする」


 Nightは拳銃を二丁取り出す。

 回転式と、自動式。メタクロベアーを睨みつつ、引き金に指を掛ける。


「お前は、フェルノにそのワイヤーを渡せ。それで私が動きを止めるから、その隙に倒せ!」

「そんな無茶苦茶な。簡単には行かないよ!」

「当り前だ。だからこそ……」


 Nightが言葉を噤んだ。

 すると背後に気配を感じ、振り返ると、メタクロベアーがすぐそこに居る。

 悠長に話をしている間に向かって来ていて、鋭い爪を煌めかせ、私を切り裂こうとする。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「だからこそ、面白いんだよねー」


 私は絶叫した。

 だけどその間際に、影が抜ける。

 瞬きをした一瞬のうち、姿は炎に燃えていて、逞しく、そして果敢に攻めた。


「フェルノ!」

「アキラ、ワイヤー借りるよー」


 さっきまで倒れていたフェルノだが、回復して戻って来た。

 口元からは緑色の青汁っぽい液体が垂れている。

 苦いのか、表情は眉間に皺が寄っていた。

 効き目抜群な回復ポーションを飲んだおかげで、失ったHPも、完全回復とは行かないながらも、ある程度それこそ七割は戻って来ていた。


「フェルノ、大丈夫なの!?」

「うーん、まだ腕は痛いけど、なんとか動けるよー」

「なんとかって……」


 フェルノは痩せ我慢していた。

 腕が痙攣していて、ピクピクしている。

 それでも【吸炎竜化】で武装した体からは、炎が噴き出ると、フェルノは拳を合わせた。


「んだから、トドメはアキラに任せるねー。私は、このワイヤーで動きを止める」

「できるの? まあ、フェルノならできそうだけど」

「ふふん。ありがとー。んでも、まだ体が痛いから、少し動きは鈍いかも」


 私は目を見開く。

 フェルノの運動神経はピカイチ。

 だけどまともに動かなかったら意味が無い。私は不安がよぎる中、フェルノは何故か楽しそうで、笑みを浮かべている。

 目の奥には闘志が宿り、燃え滾っていた。


「フェルノ?」

「ごめん、アキラ。ちょっと試したいスキルがあって、乱暴になるけど、付いて来れる?」


 フェルノの問いは本気だ。私は気圧されそうになる。

 けれどそんな暇は残ってない。

 メタクロベアーは、フェルノの威圧感に一瞬負けると、動きを止めてくれるけど、それも今だけだ。


「うん、任せて」

「それじゃあ行くよ、私の固有スキル、【烈火心動】!」


 フェルノが固有スキルを対に解放。

 その瞬間、全身から熱が込み上げる。

 メラメラと燃える炎がフェルノの精神を加速させると、振り抜いた拳は、もはや見えない程だった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ