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◇57 VSメタクロベアー1

ここから四話戦うよ~。

 戦う前にビビってしまう。

 だけどここまで来たんだ。

 負ける気なんて更々無く、私は、強い精神力を持つ。


「みんな、できることなら助けよう。いいよね?」

「お前、お人好しだな。とは言え、恩を売るのはありだな」

「賛成。気持ち良く戦った方が、後味も美味しいもんねー」

「後伯父が美味しいとは思えないが、少なくとも気分はいいだろうな」


 私の意見が通ったらしい。

 とは言え、こんな攻撃力を持っている、凶暴なモンスターを相手に勝てるのかな。

 なんだか不安になるけれど、意識を切り替えることで、そんな不安も捨てた。


「よしっ、そうと決まったら、人を捜して……」


 私は言葉が詰まった。

 Nightとフェルノも異変に気が付く。

 ガサガサと草木が揺れている。

 何だか嫌な予感がすると、近くの藪が動いた。


「な、なんだ!?」

「誰かいるのかな?」


 私は警戒しながら、短剣をニヒル。

 Nightは拳銃(回転式拳銃)を取り出すと、引き金をいつでも引けるよう、構えを取った。


「うーん、どれどれー」

「あっ、フェルノ!?」

「全く、無鉄砲だな」


 フェルノは警戒せずに薮に近付く。

 顔を覗かせると、私とNightは代わりに軽快。

 いつでも戦えるように備えると、薮の中から飛び出るのは、人間の頭だった。


「ううっ……誰か」

「この人、プレイヤーだよ。おーい、大丈夫?」


 薮の中から出て来たのは女性プレイヤー。

 顔中に擦り傷が入っている。

 全身がボロボロで、戦えるような状態じゃない。

 ギリギリ生きているのが奇跡だった。


「ううっ、あんなの、無理よ」

「無理ってなに? もしかして、クマに襲われたの?」


 私も声を掛ける。

 すると女性は、薄っすらと目を開けた。

 きっと霞んで見える筈で、私の腕を掴んだ。


「お願い、私の仲間が、まだ……」

「仲間がなに? もしかして、メタクロベアーと戦ってるの!」

「あんなの、まともに戦っても……うっ」


 か細い遺言を残して消えた。

 体が粒子になると、デス・ペナルティを背負って消滅。

 強制的にログアウトすると、メタクロベアーの恐ろしさが身に染みる。


「流石に強いな、メタクロベアー」

「Night、本当にこれ、Fランクの依頼なの?」


 ここまで強いモンスターが、Fランクでいい訳が無い。

 私の疑問は当然のことで、Nightも言葉を選ぶ。


「確かに、メタクロベアーは、本来EランクよりのギリFランクモンスターだ。とは言え、ここまでの強敵となると話しが変わる。もしかすると、凶暴性が増した強化個体かもしれないな」

「「強化個体?」」

「ああ、通常の個体よりも特異的に強い個体だ。そうともなれば。Eランク所か、Dランクはあるかもしれない」


 Nightの見解は聞きたくも無かった。

 けれど聞いてしまった以上、もう後には引けない。

 私達は緊張感が漂うが、同時に近くで悲鳴が上がる。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 鋭い断末魔だった。

 私達は視線と耳を奪われると、急いで向かう。

 薮を掻き分け、木々の合間を縫って行くと、案の定、そこには居た。


「がっ!」


 男性が木に叩き付けられている。

 少し小柄で、頬には傷が入っている。

 手にしている剣はポロリと落ち、犬の耳と尻尾が消えてしまう。

 強制的に種族スキルが解除されてしまったようで、まさに虫の息だった。


「あっ、大丈夫ですか!?」


 私は駆け寄ろうとする。

 しかしNightが腕を掴んで離さない。

 完全に制止させようとすると、私は動けなくなった。


「Night、なに?」

「行くな、お前まで死ぬぞ」


  Nightの行動は誰が見ても正しかった。

 このまま私が突っ込めば、完全に巻き込まれ事故で犬死に。

 と言うのも、目の前には明らかにヤバそうなモンスターが居る。

 鋭く黒い爪を持ち、真っ赤に染まった赤い瞳を散らす、その姿は完全に暴走状態のクマだった。


「グマァ」


 メタクロベアーは、男性に向かって近付く。

 もはや立ち上がることはできない。

 苦汁を舐めさせられ、最後の抵抗を見せようとするも、メタクロベアーの鋭い爪が、男性に向かって注がれた。


「来るなら来い、俺は、俺はまだ!」

「グマァ!」


 剣で防御しつつ、威嚇しようとする。

 しかし剣すら折られ、完全に弾かれてしまう。

 もはや抵抗の余地は無く、メタクロベアーに攻撃が、男性にヒットした。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 大絶叫を上げて、男性のHPが〇になる。

 ピクリとも動かなくなると、体が粒子になる。

 強制ログアウト。本日二度目で、しかも目の前で見てしまった。

 私達はやるせない気持ちになると、言葉も出ず、ただ悲しかった。


「酷い……」

「惨いねー」

「仕方が無い。これが戦いだ」


 私達は三者三葉の反応を見せる。

 けれどそれしかできなかった。

 なにせ、本人はもう、この世界に居ない。

 代わりにメタクロベアーだけが誇らしげで、全身を使って、勝ちを表現する。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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