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◇43 森の中の白いアイツ1

白いアイツの正体とは?

「アキラ、そっちに逃げたぞ」

「分かってるよ。【キメラハント】+【甲蟲】。それっ!」


 私はNightに指を指された。

 だけど私を指したんじゃない。

 私の視線の先を指していた。


「えいっ!」


 私はフカフカな地面を拳で叩き付ける。

 すると茶色の土が巻き上がる。

 目に入りそうだったけど、なんとか目を瞑ってガードすると、何も叩けていないことに気が付く。


「あ、あれ!? いない」


 もしかして外しちゃったのかな?

 いや、もしかしなくても外した。

 だってこんな場所だもん。私達よりも小さいモンスターの方が強いに決まってる。


今私達が居るのは森の中。

 もちろん、あの誰もいないスタットーンじゃない。

 ここはもう少しメジャーなダンジョンで、“スタレトーン”って言うらしい。


「スタレトーンって、誰が笑うんだろ?」

「あはは、そうだねー」

「……フェルノ、笑ってる?」

「さぁね? んで、こっちに来たんだよね?」


 私はフェルノと合流した。

 と言うよりも、私とフェルノの二人で挟み撃ち大作戦の最中だ。


 とは言えこの作戦には大欠陥が存在している。

 お互いがお互いの位置を把握していないこと。

 それになにより、追い込み役と捕獲役が決まっていないことだ。


 つまり、どっちかが見つけたら、どっちかがフォローに入る。

 現状、と言うか、現在進行形でそんな作戦が決行されていた。


「二人共いい加減にしろ。もう少しまともに動け」


 そんな中、Nightが罵声を浴びせにやって来た。

 森の中をもの凄く遅い速度、かつ、額から汗を流している。

 本当塗森の中が嫌そうで、全身をマントで包んで歩き辛そうだ。


「そういうNightもちゃんとやってよ」

「私はやっているだろ」

「えー、そうには見えないけど?」

「視点を変えろ。木の下、幹の部分になにかあるだろ」


 そう言うと、私達の視点を変えさせた。

 木の下? 幹になにかあるのかな?

 そう思うと、黒い線が何本も何本も張ってある。

 そう、Nightお得意のワイヤーだ。


「げっ、なにあれ!?」

「ワイヤーだよ。Nightはワイヤーをよく使うんだ」

「えー、それってファンタジーじゃなくない?」

「うるさいな。ツベコベ言うな。私はこうやって罠を張る。それで逃走経路を遮断するのが役目の筈だ」


 確かにNightの作戦は理に適っている。否、叶い過ぎている。

 逃げ道を塞ぐのは、常套手段だって私にも分かる。

 だけどあまりのも手際が良いのに遅い。

 一本一本のワイヤーには(くさび)が付いていて、それを後で回収しやすいように丁寧に張っているからだ。


「なぁー、Nightだって丁寧過ぎるでしょー?」

「丁寧に越したことは無い。しかも私はスピーディーだ」

「ムカッ! それじゃあ私達が適当みたいじゃないの?」

「実際そうだろ」

「えっ、私はちゃんとやってるんだけど……」


 フェルノは雑だ。丁寧じゃなくて、野性的かつ反射的な動きが得意。

 一方のNighyは理論に基づいたプロセスで動く。

 相いれない感じだけど、本当は上手く噛み合えば強いのに。

 私にはそう見えてしまったけど、今は喧嘩してる場合じゃない。

 いや、喧嘩にもなっていない言い合いは要らない。


「二人共、そんなことより早く追わないと。向こうは全然手負いじゃないんだよ!」

「「分かってる!!」」


 なんで私が突っかかれるんだろう。

 損な役回りしたくないのに。

 トホホな気分になると、近くの草むらがガサガサ揺れた。


「なにかいるぞ」

「なんだろー? ちょっと見て来る」

「あっ、フェルノ!? 待ってよ。もしも狙ってるモンスターだったら……」

「全然聞いてないな」


 フェルノは草むらに近付く。

 腰を落として草むらの中を凝視する。

 するとガサガサと揺れていたのに動かなくなる。

 絶対になにかいるのは確実で、フェルノはスキルを使って早速手を突っ込む。


「【吸炎竜化】。せーのっ、それっ!」


 フェルノは臆せず腕を突っ込んだ。

 すると鋭い白い爪が何か触れる。

 ムッとした表情になったから、私達にも伝わった。


「フェルノ、捕まえたの!?」

「うん。このまま引っ張り出すね。せーのっ、うわぁ!?」


 草むらの中から取り出そうとした。

 すると金色の角が鋭くて、フェルノの額を貫こうとする。

 な、なにが起きた!? 一瞬、フェルノがビビった。


「キュゥーキュゥー!」


 フェルノの手の中から暴れるモンスター。

 真っ白な体毛に、鋭い角。

 攻撃的な目をしているけど、全然出っ歯じゃない。

 だから一瞬なんだろうと思うけど、間違いなくそれは“ウサギ”だった。


「くっ、暴れるな。うわぁ、痛い!」


 フェルノが捕まえたのはアルミラージと言うモンスターだ。

 もちろん今回の狙いで、私達は散々追い掛けて来た。

 だけど逃げられたんじゃなくて、隠れていただけだと分かり、胸をソッと撫でた。


 だけどそんなことも言ってられない。

 アルミラージは怒りマークを浮かべると、後脚でフェルノの手を蹴る。


 するとフェルノは手を放してしまった。

 アルミラージもその拍子にも逃げ出すと、草むらを抜けて姿を消す。


「あっ、待った!」


 フェルノは手を伸ばした。

 だけどアルミラージが待ってくれる筈もない。

 そのままアルミラージの姿が消えてしまうと、私達は途方に暮れる。


「あーあ、行っちゃった」

「はぁ、油断しすぎだ」

「もー、せっかく捕まえたと思ったのにー!」


 私とNightの呆れ越え、フェルノの叫び声が森の中に上がる。

 誰もいないから良かった。

 こんな恥ずかしい姿を見せずに済んだので、一旦作戦会議の時間だ。


「どうするの、これ?」

「そうだな。アルミラージに逃げられてしまったからな」

「ごめーん。私のせいで」

「別に構わない。逃げられたからと言って、次逃がさなければいいだけだ」

「「Night」」


 意外にポジティブな反応だった。

 私は表情を変えると、Nightは嫌そうな顔をする。


「ムッ。なんだ、その顔は」

「別に、ただ可愛いなって思って」

「お前、一回死にたいか?」

「Night、そういうの辞めた方がいいよ? 全然面白くないから」


 私はNightを“可愛い”と褒め称えた。

 完全に煽りになっているけど、Nightは拳銃を突き付けない。

 「あはは」と笑うフェルノを横目に、なんだか空気が微妙に和む。


「それで、アルミラージはどうするの?」

「どうするもなにも、ただ闇雲に追っても意味が無い」


 それは身に沁みて分かっている。

だけど如何すればいいのかな?

私とフェルノが首を捻る中、Nightだけは先を見ていた。

きっとなにか考えがあるに違いない。私とフェルノはNightの作戦に耳を傾け、いざ決行することにした。

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