◇39 早速暴れたいらしい
ちょっとキャラ設定を濃い目にしました。
私とNightの前にやって来た少女。
彼女こそ、私の親友、加竜烈火で間違いない。
顔立ちも、身長も、筋肉量も変わらない。少し違うのは、髪色と目の色。真っ赤に染まっていて、本当に炎のようだ。
それだけじゃない部分もあった。
まずは髪型。少し結い方を変えている。
いつもはバッサリ肩ぐらいまで伸ばして放置しているのに、邪魔なのか、アドバイスを貰ったのか、ちゃんと結っている。
「烈火、いつもと雰囲気違うね。可愛さが出てるよ!」
「そっかなー? 私には分からないけど……じゃなくて、えっとアキラでいいんだよね?」「うん、アキラでいいよ」
「それじゃあアキラ。ここでの私はインフェルノ。じゃ長いから、フェルノって呼んでよ!」
インフェルノのフェルノ。
確かに烈火が思い付きそうなカッコいいネーミングだ。
それを受けて、私も烈火のことはフェルノって呼ぶことにした。
だけどその前に名前を呼んだのは、私じゃなくて、Nightだった。
「お前がフェルノか」
「えっと、そういう貴女は誰?」
「私はNightだ。コイツとパーティーを組んでいる」
「えっ、それじゃあ貴女がNight!? わーいわーい、アキラから聞いてたよ。変わり者だけど、強くて面白いプレイヤーがいるって」
「はっ、そんな話しをしてたのか?」
「後、怒ると可愛いって」
「お前な!?」
Nightは急に怒り始めた。
すると真っ先に私に手を挙げる。
爪を立て、私の顔を掴もうとするから、私も必死に抵抗した。
「ああ、ちょっと止めてよ。だから可愛いって言われるんだよ」
「うるさい、黙れ。お前のせいだろ」
「私のせいなの? 私悪くないでしょ!?」
「うーん、どっちもどっち?」
「「フェルノ」お前もな!」
完全にフェルノのペースに押されていた。
突然やって来た獄炎の炎に、烈火の如く飲まれてしまうと、私もNightもペースを乱される。
これがフェルノの持つ存在感。そこに居るだけで、周囲を明るく激しく混ぜ込ませるんだ。
「あはは、二人共面白ねー」
「「面白くない!」」
「ほら、息ピッタリ。ってことでさ、二人先輩でしょ? 私、CUに来たばっかりなんだけど、早速モンスターと戦いんだよねー。何処かいい場所ない?」
フェルノはこの状況を解っていて、完全に自分の世界を展開していた。
そこに私とNightが押し入るのは難しい。
だって、フェルノはもう次の話をしているからだ。
こうなった以上、話を戻してはくれないよね。
「あー、もう! モンスターと戦いたいなら、適当にスライムでも狩りに行けばいいだろ」
「スライム!? あの定番中の定番モンスター! RPGでお馴染みの雑魚モンスター……かと思わせておいて、実は他作品だと強めに設定されたあのスライムがいるの!?」
「な、なんだお前。テンション高いな」
「そんなの当たり前だよ。私、ミーハーだからねー」
それは褒められたことなのかな?
私にはよく分からないけど、私が戦ったスライムはそこまで強くなかった。
いくら攻撃して来てもノーダメージ。簡単に倒せて、スキルも手に入った。
……スキル? そう言えば、フェルノのスキルってなんだろう。
「ねぇフェルノ。フェルノのスキルってどんなの?」
「えっ、スキル?」
「うん。フェルノのスキルって戦える系? それならいいんだけど……どうしたの?」
私が質問をするも、フェルノはニヤニヤ笑みを浮かべる。
何だか気持ち悪い。何てこと、流石に言えない。
私が押し黙ると、烈火はピースサインを出した。
人差し指と中指を放したりくっつけたりしながら、テンションもパッションも高かった。
「大丈夫だよー。私のスキル、多分戦える系だから。っていうか、むしろそれしかできないかも?」
「戦闘系のスキルか。私達に足りていないものだな」
「ううっ……そうだね」
確かに私とNightの二人だと、戦闘にはあまりにも乏しい。
もし、本当にフェルノが戦闘に強いスキルだったら、かなり心強い。
だけど、フェルノは初心者。武器は私の短剣と同じで弱い筈だ。
「フェルノ、本当に大丈夫?」
「大丈夫って?」
「いくらフェルノが戦えても、肝心の武器が弱かったら……」
武器が弱かったら、肝心の戦闘に強いスキルでも大変だ。
私は、私自身も初心者の一人だけど、フェルノを更に心配する。
だって、私のスキルと違って万能性が無いかもしれない。
「うーん、多分この説明だと行けると思うけどなー」
「この説明? もしかしてスキルの詳細? 見てもいいかな」
「いいよー……あっ、やっぱり辞めとくね」
フェルノはメニューからステータスを開き、スキルの詳細を確認していた。
私は見せて貰えそうだったけど、何故かダメになった。
もしかしなくてもニヤニヤしている。
秘密にしておいて、いざ使う時にお披露目したいらしい。
「楽しみに待っててよ。私がカッコよくモンスターをやっつけるところ」
「大丈夫かな?」
「問題無いだろ」
「Night」
Nightは興味無さそうに言い合いを眺めていた。
コーヒーをストローで飲みながら、合間合間にボヤく。
如何してそんなことが言えるの? 私は気になったけど、Nightは一言で返した。
「アキラ、スキルの使い道は、使い手自身が決める」
「なに、そのキャラ?」
「本当のことだ。お前の【キメラハント】も私の【吸血鬼化】も【ライフ・オブ・メイク】も、凝り固まった思考回路で使っても面白くは無いだろ。それと同じという訳だ。まぁ、このゲームだと、武器なんて無くても戦える奴の方が大半だがな」
そう言い終えると、Nightはコーヒーを飲み干す。
振っても中身が出ないことを確認すると、近くのゴミ箱に捨てる。
ひとまず話はまとまった。私達はフェルノの望み通り、まずはモンスターと戦いに行く。
どんな活躍を見せるのかな? 不安もあるけど、それを拭える程私は楽しみだった。
少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。
下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)
ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。
また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。




