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35/230

◇35 あー、奇襲されるんだー

このフラグは確実(・・)に回収しますよ。

 鎧騎士を倒した余韻を味わっていた私達。

 と言いたいけど、単純に疲れただけ。

 五分も座り込んでいて、私はNightにチラチラ視線を向ける。


「Night、それがNightの本当の武器?」

「ああ。だが見ての通りだ」

「〈十字架の剣(クロス・ブレード)〉だっけ? カッコいいよね」

「何処がだ。この剣を偶々手に入れたはいいが、重くて長いから使い勝手が悪い。私には性に合ってない」

「あはは、そうなんだ……」


 Nightの口からは愚痴しか出なかった。

 しかも自分のメインウェポンに対してだ。

 私は苦笑いを浮かべると、Nightは剣をインベントリに強制転送すると、身軽になったので立ち上がる。


「よし、もう少し探索を続けるぞ」

「ええっ!? ちょっと待ってよ。あんなに苦戦したんだよ?」


 正直、今日はもういい。

 と言うより、しばらくはもういい。

 私はステータスを確認して、レベルアップしたから満足したのに、Nightがまだ探索を続けようとするので、全力で止める。


「鎧騎士だけでこんなに苦戦したのに、まだ探索したいの?」

「したいわけじゃない。むしろここから外に出ればゾンビの群れに飛び込むことになるぞ」

「あっ……」


 確かにこのまま外に出たら、せっかくお墓に消えたゾンビ達が、また出てきちゃう。

 そんなことになったら、疲労した私達じゃ、逃げる間もない。

 回復ポーションもほとんど飲み干してしまって、私は苦汁を舐めた。


「それじゃあ探索する?」

「最低限、ここから一発で外に出る方法を探すのがいいな」

「そんな方法あるの?」

「一応あるにはある。とは言え、一番有名(メジャー)な転移用の転送場(ポータル)は隠しダンジョンにあるとは思えないが……」


 なんだろう。とても肝心なことを言っている気がした。

 だけどNightは気にせずに階段の方に向かってしまう。

 私も一人にされるのは困るので、Nightの背中を追った。


「待ってよ、Night!」


 私は罠が仕掛けられた階段の段差を上手く飛ばす。

 とりあえず胸を撫で下ろした私は、Nightの隣を歩いた。


「Nightはこのお城のことどう思う?」

「どうとは?」

「あの子が言ってたよね。怪物がいるって。さっき倒した鎧騎士って、怪物なのかな?」


 正直、私の認識の違いだけど、鎧騎士は怪物じゃない。

 怪物って、もっと具体的なモンスターだと思う。

 考えすぎなのかな? そう思ったけど、Nightは怖いことを言う。


「恐らくは、鎧騎士は一端に過ぎない」

「一端?」

「つまり、怪物と呼ばれたモンスターの余波だろうな。完全に、雑魚の部類だろ」

「えっ? あれで雑魚なの。それじゃあ怪物って、どれだけ強いんだろう?」


 正直、今の私達じゃ勝てる未来が見えない。

 だって、鎧騎士一人にあれだけ苦労したんだ。

 私は不安になるも、気にしちゃダメだ。

 ここは良い風に意識を切り替えると、私はNightに訊ねる。


「私達でこのお城を解放しようね」

「ふん、ここまで来たんだ。そのつもりだ」


 Nightは否定するかと思った。

 だけどさっきと同じで、Nightはやる気を見せてくれる。

 私は嬉しくなると、ついつい別のことを訊こうとした。

 

「そう言えばNightの固有スキルって凄いよね?」

「ん?」

「拳銃を作ったの、Nightの固有スキルだよね? どんな名前なの?」

「そんな物を訊いてどうする?」

「どうもしないけど?」

「なっ、はぁ!?」


 Nightは一度立ち止まり、私の顔を覗き込む。

 額に皺を寄せると、怪訝な表情を浮かべていた。

 なんだろう、もしかして私何かしちゃった?

 気を悪くしたのかと思ったけれど、Nightはそんなこと無いらしい。


 むしろ、Nightは頭を抱えてしまった。

 もしかしなくても、私が変なこと訊いちゃったからかな?

 悪いとは思ったけれど、Nightは淡々と呟いた。


「少しは興味を持て」

「興味は持ってるよ? だけど話したくないのかなって」

「そんなことはない。私の固有スキルは【ライフ・オブ・メイク】」

「ライフ・なに?」

「一時的にHPの最大値を消費することで、ファンタジー世界には存在しない、私の脳内に蓄積された情報を基に生み出すことができる。とは言え、作れるものには限りがあるがな」

「……凄い。怖いくらい凄い」


 私はNightの固有スキルを訊いてビックリした。

 私の【キメラハント】も大概だけど、Nightの固有スキルも普通じゃない。

 ゴクリと喉を鳴らすと、Nightって……


「Nightって、ファンタジー無視してるよね」

「お前な!」


 階段を上りながら、Nightは私に怒鳴り声を上げる。

 もしかして恥ずかしかったのかな?

 自分でも分っているせいか、耳まで真っ赤になると、ムキになってしまう。


「あはは、ごめんね」

「まあ私も分かっているが、私自身、ファンタジーよりもこっちの方が性に合ってる」

「やっぱりファンタジーじゃないよね?」

「だからそれは分かってい……はっ!?」


 ガッシャ―ン!


 その瞬間、Nightは私を押し退ける。

 肩から拳銃の銃口を突き出す。

 なにが起きたの? 私は振り返るも、視界が真っ暗闇に染まった。


 少なくとも分かるのは、丁度螺旋階段を上る中で、窓があった。

 その窓が何故か突き破られ、ガラス片が飛び散る。

 突き破って来た何かも腐臭を漂わせていて、私とNightに襲い掛かった。


 バン、バン!


「【キメラハント】+【甲蟲】……えっ!?」

「クソッ、こんな所で……」


 私もNightも善戦した、つもりだった。

 だけど全く間に合わない。

 私とNightの体は、窓を突き破って来た何かによって引き裂かれ、意識が途絶えて行くのを感じる。


 今の一瞬でHPを完全に〇にされた。

 頭から下への感覚が薄れて行く。

 もしかして、いや、もしかしなくても私とNightは……


「「ああ、負けちゃった」か」


 完全に油断していた。

 ここ、幽幻の居城:シャンベリーは怪物達の宝庫。

 隠しダンジョンなんだから、どんな罠が仕掛けられていてもおかしくないのに、油断して奇襲されてしまった。完全にミスだと悟った頃には、私達はシャンベリーから、ううん。ゲームの中から強制ログアウトさせられていて、結局負けて帰ることになってしまった。

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