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◇33 VS鎧騎士2

いや、強過ぎ設定のせいで、倒した方がムズい。

 鎧騎士から距離を取ることに成功した私達。

 だけど逃げ腰の姿勢で勝てるビジョンが見えない。

 私もNightも表情を険しくすると、鎧騎士を睨み付ける。

 手には槍を持ち、悠然と立ち尽くしていた。


「Night、どうしよう」

「どうするもなにも、鎧騎士を倒すしかないだろ」

「その方法だよ。なにか良いアイデアは無いの?」

「そうだな。さっき説明した通り、バラせばいい。鎧を全て分解すれば、鎧騎士も自由に体を動かせなくなるだろう」


 確かにNightの言ってることは合ってる気がした。

 だって、体が繋がってないのに生きてる訳が無い。


 とは言え、肝心の鎧騎士をバラす方法が無い。

 槍の攻撃範囲。貫通性能。

 圧倒的に不利な状況だけど、Nightはワイヤーを手放さなかった。


「方法はあるんだがな……」


 Nightは方法を考え付いていた。

 だけど私には分からない。

 強いて言えば、ワイヤーを握って見つめている。

 もしかしなくても、ワイヤーを使った作戦だ。


「ワイヤーを使うってこと?」

「そうだ。このワイヤーを鎧の関節部に括り付けることができれば。私達の勝ちは確定する」

「そんな方法があるの!? それじゃあやってみようよ」

「お前は呑気だな。……分かった、やるぞ」


 私はNightの前に立つ。

 とりあえず私ができるのは、鎧騎士の注意を奪うこと。

 私自身に視線を釘付けにさせ、注意を引いてしまうんだ。


「【キメラハント】+【甲蟲】+【灰爪】!」


 私は今できる能力を全部使った。

 両腕を武装すると、鎧騎士に向かって走る。


「せーのっ!」


 鋭い灰色の爪を突き立てた。

 鎧騎士の胸プレートを攻撃しようとするが、流石に無駄。

 槍の攻撃範囲に阻まれると、爪と槍が互いにぶつかり合った。


 ガツン!


 私の爪に衝撃が走る。

 普通に痛い、衝撃が伝わって神経が痛む。


「くっ! このっ!?」


 再び地面を蹴り上げると、私は鎧騎士に向かって飛び掛かる。

 床を蹴り、今度は武装した腕で守りながら突撃だ。


 ギュン!


 槍が突き出されると、私は【甲蟲】で守る。

 硬く強化された籠手に当たると、槍の軌道が変わる。

 槍の先端が避けると、爪と槍が互いの顔を擦った。


「ううっ……あっつ!?」


 とは言え私の方がダメージが大きい。

 おまけに擦れたせいで頬が擦り剝けちゃった。

 痛い、熱い。私は涙目を浮かべるも、鎧騎士の動きは大分分かって来た。

 完全に私に注意を奪われると、Nightの存在が透明になった。


「Night、そろそろダメかな?」


 私は宙に向かって声を上げた。

 しかし肝心のNightの声はしない。

 おまけに返事も合図も無く、私は振り替える間もない激戦なので、ちょっとだけ不安だった。


「まさか、勝手に帰っちゃった?」


 いや、そんなことはしない筈だ。

 だって入って来た扉は閉っている。

 少しでも開けば気が付くなら、一切開く気配もないので、誰も出て行っていない。

 つまり、Nightはまだ潜伏中って訳だ。


「早くしてね。私もそこまで長くは持たないから」


 いつまでもこんな痺れる戦いはできない。

 私の方が消耗していて、徐々に機敏さが欠けて行く。

 疲労が蓄積されると、研ぎ澄まされた神経も擦り減っていくんだ。


「それっ、それっそれっ!」


 鋭い灰色の爪で私は果敢に攻め立てた。

 連続で突き攻撃を繰り出す。

 カツンカツンと軽い音を立てると、鎧騎士は首を捻る。

 完全に私舐められてる。いや、舐め腐られてる。


「もう! 私だって真剣なんだよ。もっとちゃんとやってよ」


 ついつい本音を叫んでしまった。

 だけどそれが鎧騎士を逆撫でしてしまう。

 グッと前に踏み込むと、槍を突き出し私のことを襲った。


「は、速い!?」


 突然目の前に槍が飛んできた。

 こんなの目で追えない。つまり避けられない。

 そう悟った瞬間、ここは防御に振ることにした。


「【キメラハント】+【半液状化】」


 私は全身をスライムにする。

 間一髪の所、繰り出された槍をギュルンと掠め取る。

 すると攻撃の直撃は外れると、私は命拾いした。


 ホッと一安心。私は手は無いけど胸に手を当てる。

 だけどこの状況はマズい。

 ここで奥の手を使っちゃったから、私が取れる手段が無くなる。


「ううっ……」


 声も出せないから体を震わせて音を出す。

 どうしよう、どうしよっか。今の私になにができる?

 少なくとも【キメラハント】を使うしかない。

 そう思った私は、最悪の事態に気が付いた。


「あ、あううっ!?」


 私は【半液状化】を解いて、いつのも組み合わせを試そうとした。

 だけど頭の中で警告が出る。

 何故だろう。ここでこんなシステムみたいなことってある?

 困惑した私だけど、一度スライム状態を維持することにし、何が警告なのか調べた。

 すると嫌なことに気が付いてしまった。


「くるきゅ!?」


 スキルのクールタイム。

 ゲームにはお馴染みの仕様が私を邪魔する。


 つまり如何いうことか。

 今【半液状化】を解いたら、私はクールタイムでスキルが使えなくなる。

 それもその筈、私の持っているスキルは今四つだけ。

 【キメラハント】に獲得されたスキルの内、現状三つも使っていて、そのうち二つはダメージに直結できる。けれどクールタイムで使えなかったら同じだ。


「ぷぎゅぅ」


 どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう……。

 一度使ったスキルの再使用まで、まだ少し掛かる。

 少し嬉しいのは、【甲蟲】も【灰爪】もクールタイムが同じこと。


 だけど如何すればいいの?

 そんな時間待ってられない。

 スライムになったとはいえ、鎧騎士は槍を何度も突き出して襲ってくる。


「ぎゅぅ!?」


 私は滑るように、跳ねるように、床を移動した。

 槍攻撃をギリギリで躱すと、上手く乗り越えて行く。

 だけどこんなの続けられる余裕は無い。

 頭の中でプチなパニックが侵略すると、私は鎧騎士を睨み付けた。


「ぎゅぎゅぎゅぅ!」


 悔しい。逃げるしかできないなんて悔しい。

 早くなんとかしてよ、Night!

 私は唇を噛もうとしたが、噛む唇も無く、私は槍攻撃をなんとか躱し続けるが、鎧騎士もバカじゃない。


 ギュンギュンギューン!!


 鎧騎士は考える素振りを見せると、突きを変えて来た。

 床を叩き付ける様に槍を繰り出す。

 円形を作りながら私のことを追い詰めると、丁度真ん中に寄せられていた。

 逃げ道を最初から潰されていて、私は死を覚悟する。


 ああ、負けたな。

 そう思った瞬間、何処からともなく声がする。


「上出来だ、アキラ」

「ぎゅぅ?」


 ふと顔を上げると、鎧騎士の体を黒い紐が取り巻いていた。

 関節部をグルグル巻きにして動きを封じる。

 槍の動きを制限すると、私は避けられた。


「ど、どうなってるの?」


 人間状態に戻った私は、鎧騎士の背後に立つNightを見る。

 その手には拳銃じゃない武器がある。

 完全に剣のようだけど、何処かで見たことある十字架状の剣を辛そうに構えるNightの姿があった。

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