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◇32 VS鎧騎士1

鎧騎士編は合計3話です。

 私とNightは鎧騎士と対峙した。

 その瞬間、全身を殺気が包み込む。

 一瞬にして飲まれる。それを受け止めると、私は短剣を胸のプレートに叩き付け、距離を取る。


「Night、下がろう」

「はっ!? なにバカなことを言って」

「いいから。一旦距離を取ろう」


 私の直感が促している。これはこのまま戦ったら負ける相手だと。

 そう悟った瞬間、私はNightを連れて後方に下がる。

 そのおかげかパンチを躱すことができ、即死の代わりに鎧騎士に槍を取られてしまった。


「ふぅ、なんとか助かったね」

「バカか! 敵がみすみす手放した武器を取り返させてどうする」

「ううっ、それは言わないでよ。私だって頑張ったんだよ?」

「そうだとしてもだ。槍を取られた以上、攻撃範囲はあいつに分があるんだぞ」


 Nightは私の頑張りを否定しなかった。それはなんだか嬉しい。

 だけど槍を取り返されちゃったのは多分マズい。

 武器の攻撃範囲が圧倒的に違う。

 私達は窮地に立たされると、次第に鎧騎士に追い詰められていた。


 ガチャン、ガチャン、ギュン!


「「うおっ!?」」


 鎧騎士は数歩近付くと、私達を纏めて槍の餌食にしようとする。

 繰り出した槍が私とNightの丁度間を縫う。

 鋭い一撃。瞬きしている暇もなく、やられるとしか思えなかった。


 バン!


「えっ?」

「この程度で諦めるな」


 空の薬莢が飛び、Nightの声が響く。

 いつの間にか取り出していた拳銃の引き金を引くと、弾が射出される。

 火花が散り、鎧騎士の胸プレートにカツンぶつかった。

 私のことを励ましてくれるも、鎧騎士にはまともなダメージは与えられていない。


「全然効いてない?」

「やっぱりか。鎧騎士の鎧に幾ら攻撃をしても、まともなダメージソースにはならないと」

「厄介な相手過ぎない?」

「そうだな。とは言え、時間は稼げた。少し距離を取るぞ」


 Nightのおかげで確かに時間は稼げた。

 鎧騎士の動きが一瞬止まると、胸プレートを擦っている。

 人間味があるけど、中身は空っぽ。

 勝てる要素が一つずつ減って行くと、私はNightにはできない戦い方を提案する。


「Night、もしかして倒せないのかな?」

「そんな訳が無いだろ。少なくとも、鎧を全てバラせば倒せる」

「バラすってことは、近接戦ってこと? Nightは戦えるの?」

「得意ではないがな。お前はどうだ?」

「私は、一応できるよ。だから、ちょっとやってみるね」


 そう言うと、私はピタリと立ち止まる。

 Nightはせっかく距離を取ったにもかかわらず、バカみたいに止まった私に目を見開く。

 手を伸ばして引き戻そうとする。だけどそんなことできなかった。


 ギュィーン!


 槍が私のことを狙って突き出される。

 当たれば確実に死んじゃう。

 恐怖心が助長されるけど、私は振り返り様に槍を抑え込んだ。


「【キメラハント】+【甲蟲】!」


 ガシッ!


 私は槍の棒部分を受け止めた。

 両腕でガッシリ抑え込むと、鎧騎士の攻撃が止まる。

 それだけじゃない。足も止まっていて、鎧騎士は声も無く困惑する。


「お、抑え込んだ!?」

「ううっ、槍は抑え込んだけど……うわぁ!」


 鎧騎士は槍を受け止められて考える素振りをする。

 だけど閃いた様子で軽く槍を持ち上げた。

 これってマズい。その瞬間、私の足が地面から離れると、簡単に宙に浮く。

 そうだよね。分かってた。私、体重そんなに重くないから、投げ飛ばされちゃうんだよね。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「なにやってるんだよ!」


 Night投げられた私を見兼ねて叫んだ。

 そんなことより助けて欲しい。

 私はそう思ったけど、そんなこと言ってる場合じゃなかった。


 ギュン!


 鎧騎士は槍を突き出す。

 天井に届いてしまうそうな勢いで、私は恐怖する。

 こんなの防御できない。確実に貫かれると思った。


「こ、このっ!」


 それでも最後に足搔いてみようとした。

 【甲蟲】で武装した腕を前に構え、×印を作る。

 果たしてこれで防御になるのかな? そう思ったけど、視界の端に捉えたNightはインベントリから何か取り出す。


「そんなので止められると思うな! これでも掴まれ!」


 そう言うと、Nightは何か投げてくれる。

 黒い紐のようなもので、私は一生懸命掴む。

 すると胸部分の防御が透けて、槍の先が捉えていた。


 ギュン!


 素早く鎧騎士は打ち込んだ。

 槍の先端が私の武装した腕に当たる。

 カツン! と鈍い音を立てると、私は目を閉じるが、同時に引っ張られた。


「せーのっ!」

「……お、遅い」


 私の腕に巻き付いていた紐は、黒いワイヤーだった。

 この間のものよりも太くて長い。

 それをウインチを使わずにNightが人力で引き寄せると、私はフラフラしながら床が近付く。


「ちょ、ま、待って!?」

「悪いな。私は非力なんだ」

「ひ、非力にも程があるよ!」


 私はワイヤーをなんとか引き千切ると受け身に全力になった。

 このまま落ちたら全身打撲だ。

 そんなことになったら痛いし、動けない。

 そう悟ると、受け身に超が付く程全力で、私は軽い身のこなしで受け身を取った。


 ドスン!


「ううっ、なんとかなったけど……」


 なんとかなったけど、普通にミスした。

 私は肩を脱臼しかけるも、そんな私にNightは励ましも掛けない。

 寧ろ急かす素振りを見せると、左腕を引っ張った。


「一度体勢を立て直す。攻撃の範囲から抜けるぞ」

「あっ、ちょっと待ってよ!」


 私は何とか立ち上がると、急いで鎧騎士から離れる。

 まだ勝ち手段ができていない。

 私とNightは空気で追い詰められると、厳しい状況になっていた。

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