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【リメイク版】VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?  作者: 水定ゆう
1ー2:幽幻の居城の冒険

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◇28 正面突破でゾンビ攻略

分かってくれたら嬉しい。

 私とNightはシャンベリ盆地に居た。

 いよいよここからシャンベリーに向かう。

 だけど如何やって行くんだろう。私はNightの真似をすることにした。


「それでNight、どうやってシャンベリーに行くの?」

「シャンベリーに行くためには神隠しを利用するしかない」

「えっ、どういうこと?」


 Nightの言っている言葉の意味が解らなかった。

 だけどNightは途中まで真っ直ぐ森の奥目指して歩こうとする。

 しかしピタッと止まって踵を返した。


「お前もやれ」

「えっ、そんなのでいいの?」

「黙らされたと思うなら帰れ」


 そんなこと言われたらやるしかない。

 妙に高圧的な態度を取るNightに促され、私は同じことをする。

 

 まずはゆっくり森の奥へ歩く。

 それからピタッと止まって、帰る様に踵を返す。


「それで、この後はどうするの?」

「後は振り返るだけだ」

「振り返るだけ? それじゃあせーので振り返ろう」

「はっ、そんな真似事する訳……」

「いいから、行くよ。せーのっ!」

「あっ、おい!」


 私はNightと一緒に振り返った。

 すると何が起きたのか、視界の先には一昨日見たお城がある。

 幽幻の居城:シャンベリー。間違いなく、そこに存在していたのは隠しダンジョンだった。


「嘘でしょ!? 本当にシャンベリーに来ちゃった」

「隠しダンジョンはその名の通り隠しダンジョンだ。神隠し効果を使わなければ、普通は行くことができない。だから私はそれを使った。ここ、シャンベリーの開き方は、さっきやった通りだ」


 あまりにも単純だった。

 こんなの偶々でも当たりそうだ。

 だけどその偶々を引き当てることができるのかどうか。それこそが、隠しダンジョンに挑戦する条件だった。


「さぁ、行くぞ」

「うん、シャンベリーを攻略しないとね」


 そう言うと、私とNightは再びシャンベリーに向かった。

 何の気無しにまず目指すは大量のお墓の敷かれた墓地だ。

 眼下に丁度浮かんでいて、ここからが本番だった。


「さてと、やるか」


 そう言うと、Nightは腰に手を当てる。

 何か取り出すような仕草をすると、Nightの手の中に黒い筒が握られた。

 あれは一体。この間のものと違う? そう思って凝視すると、明らかに拳銃だった。


「拳銃!? やっぱり拳銃なの!?」

「そうだ。私は非力だからな。現代に通ずる殺戮兵器を使うしかないんだ」

「それにしてもやり方が……あっ、待ってよ!」


 Nightは返答もなにも無かった。

 私の言葉なんて完全スルーでお墓の方へと滑って下りた。

 まさかファンタジー風のゲームで拳銃なんて使うなんて。

 私はそんなの有りとか思ったけど、今更言ってられなかったので、Nightを追い掛けて坂を滑り落ちる。


「待ってよ、Night! 聖水を持っているの私なんだよ?」

「シッ、少し黙れ。生体反応や声で反応するんだ。ゾンビを無駄に刺激するな」


 なんでだろう。間違ったことは言われてないのに絶妙に傷付く。

 後、Nightの顔をジッと見ていると何だか可愛いものを見ている気がした。

 白い肌は人形のようで、抱き心地が良さそうだった。


「おい、その目はなんだ。私はその目を知っている。私のことを、“可愛い”とか思っている目だろ」

「正解。どうしてわかった……おっと!」

「チッ、外したか」


 Nightは素早く蹴りを入れた。

 だけど私には届かず、お腹に当たる前に身を捩って躱した。


「もう、危ないよ!」

「安心しろ、小競り合いくらいならHPは減らない」

「そう言うことじゃなくて……それで、Night。ここからどうするの?」


 些細な言い合いは、一旦置いておくことにした。

 私は墓地に入る前に、Nightに確認を取る。

 墓地に入れば、ゾンビに追われることになるけど、聖水を大量に買い込んだんだ。

 きっと何かいいアイデアがあるに違いない。


「やることはシンプルに行くぞ。シャンベリーの入口は一ヵ所しかない。目の前のこの通路だ」

「ってことは、他の道じゃダメってこと?」

「そう言うことだ。私も散々調べたが、シャンベリーに侵入できそうなポイントは、全て難度が高い。今の状態じゃ到底不可能なものばかりだ」


 一体どんな方法でシャンベリーに入ろうとしたんだろう。

 もしかして、ワイヤーを使って綱渡りとかじゃないよね?

 私はあり得ない想像をしたが、もしも当たっていたら怖いから言わない。

 代わりにどんな作戦なのか、具体的に訊ねた。


「それでNight、具体的にはなにするの?」

「その前に聖水を貸せ」

「えっ、聖水? 一つでいいよね?」

「一旦な。さてと……ここからは時間との勝負だぞ」


 なんだか空気が変わった。ピリッとした刺激的な空気になる。

 私は喉を流れる唾が重くなる。

 全身が身震いしたけれど、Nightに聖水の入った瓶を一つ手渡すと、「よし」と首を縦に振った。


「耳を塞いでおけ。私が瓶を撃ったら(・・・・・・)、全力で走れ」

「えっ、それってどういう?」

「行くぞ!」


 Nightは墓地の中に一歩足を踏み入れる。

 すると墓石がガタガタと動き始め、地面の中から腕が突き出た。

 完全に腐っている。腐臭が漂い始め、更に空気が一変。

 ゾンビ達が蠢くと、地面の中から現れた。


「うわぁ!?」


 私は叫んでしまった。

 するとゾンビ達が勢いよく飛び出すと、私とNightを見た。

 その瞬間、Nightは拳銃を構えると、放り投げた聖水の入った瓶を撃つ。

 衝撃と一緒に薬莢が飛び出ると、聖水の入った瓶が割れ、中から聖水が霧状になって吹き飛んだ。


「「「ゾンガァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」」」


 ゾンビ達に聖水が降り注がれる。

 すると全身が溶けだして苦しむと、断末魔を上げて体をくねらせる。

 身動きが取れていない。もしかしなくても、確実に効いていた。


「き、効いてる?」

「効いているに決まっているだろ。よし、走るぞ」

「えっ、まさか……」


 私は嫌―な想像が働いた。

 この作戦、もしかしなくても超原始的だ。

 罠を張るとか、巧みに陽動でもない。単純に、走って正面突破作戦だった。


「待って待って、Night! これ作戦?」

「作戦だ。……チープだがな」

「自分でも分ってるよね? って、またゾンビが!」


 私はNightの真横を走っていた。

 そんな状態で口喧嘩をするも、目の前にはゾンビの姿がある。

 今の音と衝撃でゾンビが出てきちゃったのかな?

 嫌だな、困ったな。私はそう思うも、Nightは再び指示を出す。


「聖水を投げろ!」

「あっ、これの繰り返しなの?」

「繰り返しだ。早くやれ」

「もう、なんとかなって!」


 私は聖水の入った瓶を投げた。

 同時にNightが拳銃で撃つと、再び聖水が吹き飛ぶ。

 ゾンビ達に聖水の霧シャワーが浴びせ掛けられると、苦しんで動きが鈍った。


「よし、走るぞ!」

「やっぱりこれの繰り返しなんだね……って、Night!?」


 さっきまで並走していた筈のNightの動きが悪い。

 背中が丸まって足が震えている。

 もしかしなくても体力の限界だ。


「はぁはぁはぁはぁ……大丈夫だ。私は、走れ……」

「ないでしょ! ほら、掴まって」


 私は贈れていたNightの手を掴む。

 細くて白い腕を掴むと、かなり温かい。

 もしかしなくても血圧が上がっているようで、私は無理やりにでも引き寄せると、Nightと連れて全速力で走った。


「はぁはぁはぁはぁ……アキラ、お前、速いな……」

「ちょっとは鍛えてるからね。ほら、もう少しだよ!」


 目の前にはシャンベリーの城があった。

 丁度門も設置されている。

 あそこまで入ればきっとなんとかなる筈と思い、私はNightを連れ、最後の力を振り絞った。


「ゾンガァ!」

「うわぁ、もう邪魔だよ!」


 そんな私達を足止めしようと、ゾンビが現れる。

 脅かして来たけれど、怒った私は軽い力で殴ってしまった。

 するとゾンビの形が崩れ、地面に伏せてしまった。


「あれ? どうして、スキルも使ってないのに?」

「聖水が少し掛かっていたんだ」

「聖水が? 本当だ、手が濡れてる」


 霧のシャワーになった聖水が私達に降り注いでくれていた。

 おかげでゾンビに少し触れられたくらいじゃ負けない。

 これは良い調子だ。私はにこやかに微笑みと、Nightと一緒に門に飛び込む。


「見えた、せーのっ!」

「うわぁぁぁぁぁぁ」


 私はNightを抱えて受け身を採りながら門を潜った。

 頭からダイブすると、ゾンビの大群から何とか抜け出す。

 ちょっと痛い。だけど無事なのは変わらない。


「なんとか着いたよ!」

「バカ、まだゾンビの群れでいるんだ。急いで隠れろ」

「う、うん」


 私とNightはなんとか助かったので安心すると、Nightに急かされた。

たしかんまだゾンビ達は居る。

 バレたらマズい。私達は体を窄め、門の柱の裏に背中を預けるのだった。

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