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【リメイク版】VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?  作者: 水定ゆう
6ー1:温泉の華が咲く

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◇231 水量に飲み込まれて

お、お、お、温泉がァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

「こ、こうなったら、一か八か!」


 私は手にしている爆弾を握りしめていた。

 正直、こんなもの使いたくはない。

 だけど使わないとマズそう。なんでそう思ったのかは分からないけれど、この機会を逃したら、結晶華が壊しきれない気がしたんだ。


「みんな、これ投げるよ!」


 私はフェルノと雷斬にも促し掛けた。

 私の奇行を見て、きっと止めてくれる筈。

 そう思ったのも矢先、二人は止めてくれない。


「分かりました!」

「いいよいいよ、やっちゃえー」

「どうして止めないの!?」


 二人もこの状況をマズいと思っていた。

 私達は熱々の極熱な温泉を浴びている。

 もう手段がないから、Nightの作ってくれた爆弾に頼ることになった。


「えっと、えっと……確かインベントリの中に、あ、あった!」


 私はインベントリの中からマッチを取り出した。

 これ使ってもいいのかな? そもそもこの状況で使えるのかな?

 正直びしょ濡れで使えないかもしれないけれど、とにかくやってみた。


 ボワッ!


 私は勢いよくマッチ棒を擦り付けた。

 すると摩擦で先端に火が点いてくれる。


「やった、付いた。導火線に付けて……えいっ!」


 私は爆弾の導火線に火を灯した。

 バチッ! と導火線に火が蠢き出した。

 ポイッと腕を振るい上げると、私は結晶華目掛けて放り投げる。


「これで上手く行けば……って、上手く行かないよね?」


 私は正直不安で一杯だった。

 上手く行く確率がもの凄く低い気がする。

 それでも頼ってしまうと、爆弾は結晶華に触れた瞬間……バン! となった。


 パキッ! ボー――――――――――――――ン!!!


 けたたましい轟音が鳴り響いた。

 私達は耳を塞いだけれど、それよりも先に大変なことになった。

 結晶華の表面が弾け飛んで、私達に襲い掛かる。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「な、なになに、なにこれー。あははー」

「これは……少々マズいですね」


 私達は身動きが取れなかった。

 温泉に足下を取られて、弾け飛んだ結晶華が肌を刺す。

 グサリグサリとガラス片のように飛び散ると、HPがこのタイミングで大きく削れた。


「痛い!」

「皆さん、できる限り結晶華から離れてください」

「離れるって言われても……」

「身動きが取れないよー」


 私達はみんな、温泉に足を取られていた。

 正直、水量に気圧されて流されてしまいそう。

 地面から足が離れている。このままじゃ、何処かに連れて行かれちゃうかもしれない。

 おまけに何も対応できない。絶対にミスったって分かった。


「ごめんね、みんな。こんなこと……」

「大丈夫ですよ、アキラさん」

「そうだよー。それよりさー」

「どうしよう、この状況で生き残るには」


 結晶華がドンドン崩れる。

 この調子なら、確実に結晶華は無くなって、源泉は復活する。

 それはいいんだけど、ドンドン地形が抉れている気がした。私達も、HPが削れて、熱さが火傷を通り越して、もう慣れ切ってしまいそうだった。


「みんな、スキルを使って!」


 私は普通のことを言った。

 原に底から声を上げると、フェルノと雷斬の視線が飛ぶ。


「「スキルー?」ですか?」

「うん。みんな、とりあえずこの状況をなんとかしよ!」


 私は自分が招いた癖に、処理が余りにも雑だった。

 もちろんそんなこと分かっている。非難轟々も知ってる。

 本当に。想像力が足りてなかった。

 私は自分を呪ったけれど、二人は優しかった。


「OK、じゃあそうしよーっと。【吸炎竜化】!」


 フェルノはニヤリと笑うと、早速種族スキルを発動。

 【吸炎竜化】を使うと、全身に竜の鎧を纏う。

 だけど今回は少し違う。背中から生えた翼をはためかせると、一気に空へと舞い上がった。


「えっ、フェルノが飛んでる!?」

「こっちはドラゴンだよー。飛べるよー」


 そんなの知らなかったんだけど。

 いや、フェルノが突っ込んでパンチするから、全然気にしてなかった。

 全然慣れていないみたいで、凄く不安な飛び方だけど、ちゃんと空に逃げていた。


「ず、ズルい」

「すみません、アキラさん。私も空に逃げますね」


 私はズルいと思った。だけど雷斬も申し訳なさそうにする。

 バチバチと全身に電気を纏うと、地面を蹴った。

 水流の圧力何て関係ない。雷斬は空へと突っ切った。


「えっ、雷斬も空に逃げちゃうの!?」


 雷斬は【雷鳴】を呼んだ。

 全身を雷に変えると、速やかに危機を脱する。

 圧倒的な破壊力で温泉の水圧を突き破り、速度を味方にしてもう見えない。


「それじゃあ、私だけ?」


 私には空を自由に飛ぶような、カッコいいスキルは持っていない。

 だけどこの状況、私は“無敵”になるスキルを持っている。

 今こそそれを使う時だ。


「【キメラハント】+【幽体化】」


 私は身体が全身飲み込まれる瞬間、スキルを発動した。

 究極の無敵能力、【幽体化】。

 体を幽霊にすることで、あらゆる物理攻撃を無効にできる。

 どれだけ熱くても、どれだけ勢いが強くても、この状態になったら、私は無敵。

 何も怖くない状態で、私は温泉の中に沈んでいた。


「あー、でも。この状態は……ねっ」


 確かにこの状態は無敵。

 あらゆる抵抗が存在しない完全な自由。

 そのせいかな? 私は温泉の中に沈む。そう、ドンドン沈む。


「息をする必要がないからいいんだけど、なんだろう……変な感覚」


 【幽体化】を使った影響。何処となく普通じゃない気がした。

 意識が薄れていくって言うよりも、切り離されていくのかな?

 あまりにも心地よ過ぎてフワフワしそうになる私の意識に、聞き馴染んだ声が聞こえた。


「アキラさん! 聞こえていますか!?」


 温泉の中で雷斬の声が聞こえた。

 一体なんだろうと思って水面から顔を出す。

 すると高台の上に、先に逃げていた烈火と雷斬の姿がある。


「アキラー、こっちは安全みたいだよー」

「アキラさん。姿は見えませんが生きていますよね。できればこちらに来ていただけますか?」


 二人が私のことを呼んでいた。

 確かに高台の上の方には温泉が到達してない。

 よかった、助かるかも。私は胸を撫で下ろすと、コクリと頷いた。


「うん、すぐ行くね」


 返事を返しても二人の耳には届かない。

 だって私の姿は見えていないし、声も聞こえない。

 これが【幽体化】のデメリットなんだよね。今の私は完全に幽霊で、無敵だけど誰からも認知されない。一人孤独に温泉の中を悠々と移動し、私は高台に向かった。

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