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【リメイク版】VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?  作者: 水定ゆう
6ー1:温泉の華が咲く

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230/232

◇230 温泉が噴き出たぞ!

アキラさん、絶対に使ってはいけない奥の手に出る。

「アイツら、本当に上手く行くのか?」


 少女=Nightは悩んでいました。

 情けない格好ではあるけれど、ベルに背負われた状態で考え込みます。


「さぁ、上手く行かなかったら、そのまま逃げて来るでしょ」


 ベルはというと、アッサリしていました。

 実際、上手く行かなければ逃げてしまえばいい。

 誰も責めない。それは周知の事実です。


「それもそうだな」

「そうよ。それよりNight、本当体力の“たの字”くらいは鍛えた方がいいわよ」


 Nightはベルの言い分に納得を示しました。

 けれどその後に、追い打ちを放たれてしまいます。

 その瞬間、グサリと胸を射抜かれると、ついムカついてしまいました。


「大きなお世話だ」


 とは言え、何も言い返せないからこそ、口が尖ってしまったようです。

 実際、体力が無いのは事実のようです。そのせいか、ベルにずっと背負われていました。


「大きなお世話じゃないわ。本当に世話を焼いてるのよ」

「うるさい。黙れ」

「いいえ、黙らないわよ。だって本当のことだからね」


 尖った言葉がナイフのように切り裂きます。

 どちらも一歩も譲らない。なんとも滑稽な人間の姿です。

 私はそんな二人の口喧嘩を見守りつつも、一つの情報として記録しました。




「あれ、倒れない?」


 私達は苦戦していた。

 ウインチのパワーが足りないのかな? そもそも現実的に無理なのかな?

 どちらにしても、結晶華が倒れる気配の一つも見えない。


「なんでだろう? 全然倒れないね」

「うーん、もっと引っ張ってみる?」


 全然倒れる気配がない。ここは仕方がないからもう少し強く引っ張る。

 ウインチだけじゃなくて、フェルノも参戦する。

 その瞬間、嫌な音が聞こえた。


 ピキッ!


 今、変な音したよね? ピキッって言ったよね?

 私は自分の耳を疑いそうになるけれど、そんなこと思う暇もない。

 フェルノはウインチと力を合わせ、無理やりワイヤーを引っ張った。


「ダメですフェルノさん。止まってください!」

「えっ?」


 雷斬は咄嗟に叫んだ。

 やっぱりあの音は嘘じゃなかったんだ。

 私は凄く嫌な予感がした。だけどもう遅かった。


「な、なに?」


 フェルノが止まった瞬間。ワイヤーがスッと緩んだ。

 加わっていた力が抜けてしまうと、ワイヤーが外れそうになる。

 それを皮切りに、結晶華の一部が砕けた。


 バーン!


 表面の炭酸カルシウムが弾け飛ぶ。

 湯の花が飛び散ると、中から温かいお湯が噴き出た。

 私達に襲い掛かると、空気に触れて冷めていない。


「あ、熱い!」

「これは、温泉でしょうか?」

「えっ、それじゃあ私達成功したのー。やったー」


 火傷するくらい熱かった。

 だけど無事に温泉が出たのはいいことで、これで源泉も元通り。

 私達のやったことは無駄じゃなかった。これでNight達をぎゃふんと言わせられる……そんなことを言っている暇、流石に無かった。


 プシュ――――――――――――――!!!


 勢いよく結晶華の中から温泉が噴き出る。

 その度に鈍い嫌な音が聞こえていた。

 私は怖くなると、一歩ずつ後退りをする。


「ね、ねぇ、コレってヤバいよね?」


 流石にヤバさが伝わってしまった。

 何だか手遅れになりそうなので、ちょっとずつだけど離れておく。

 すると雷斬もまさかのフェルノでさえ、少し慄いていた。


「そ、そうですね」

「あ、あはは、ははは、逃げよっかー」


 私達はジリジリと後退した。

 そう決めた瞬間だった。

 結晶華の表面が完全に弾け飛び、大量の温泉が私達を襲った。


 バッサァ―――――――――――――――ン!!!


「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」


 大量の温泉が凄まじい水圧の勢いを伴って押し寄せる。

 私達は逃げることもできない。一気に押し寄せた温泉の波が、私達を襲う。

 足を簡単に取られると、気が付けば周囲の地形が変化していく。


「な、なに、これ!?」

「凄まじい水圧ですね」

「身動きが取れないよー」


 気が付けば源泉の中だけでは留まっていない。

 ましてや私達の立っている辺りまで温泉が流れている。

 普通に熱い。火傷しそうな暗いって言うより、マジで火傷する。


「あ、熱い! 熱い熱い熱い熱い、熱いよー!」


 私は足をバタバタさせた。

 あまりの熱さに痛みが伴う。

 だけど逃げようにも足がもつれた。水圧に飲み込まれると、膝丈まで温泉が溢れる。


「ど、どうして? どうして温泉が逃げないの?」


 ここは別に密閉空間でもない。

 部屋の中でもないのに、温泉が全然逃げてくれない。

 一体どれだけの量の温泉が、結晶華の中に閉じ込められていたんだろう。

 私はふと考えるけれど、そんなこと言っていられなかった。


「皆さん、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないよー」

「ううっ、こんなことになるなら、なにもしない方がよかったのかな?」


 今更行っても遅い。結局これは私が悪い。

 私が招いたことなんだから仕方がなくて、ムッと表情が硬くなる。

 それと同時に、ふと頭の中に何故か最低な想像が浮かんだ。


「もしかして、このまま水に押し潰される?」


 つまり洗濯機ってこと?

 私は自分が洗濯物の気分になった。

 だけどそんなに甘くない。全身が熱くて痛いし、おまけにいつまでも水面に顔を出すなんて無理。私は頭の中がグルグル回転すると、意識が切り替わり始めた。


「このまま結晶華を倒してしまった方がいいのでしょうか?」

「いいよー、もう関係ないよー」

「ですが、それで万が一、より一層被害が拡大してしまえば……」

「そんなの気にしてる場合かなー?」


 雷斬もフェルノも試行を巡らせる。

 だけど何が正しいのかなんて分からない。

 ここは如何したらいいの? 自問自答すると、パニックになる。


「ううっ、こんな時なにか……あっ!」


 私は意識を切り替えた。

 するとパッと閃いた。

 だけど絶対に使いたくない。


「なにかあるのー?」

「できることがあるんですか、アキラさん?」


 フェルノと雷斬も期待している。

 流石にこの水量とこの波。

 全身が痛すぎてもう辛い。


「えっと、その……コレ、使ってみる?」


 私はNightから爆弾を渡されていた。

 まさか本当に使う時が来るなんて。

 いやいや、まだ早いよね? でも、使うしかない……気がする。


「えっ、ど、どうしよう、やってみるしかないのかな?」


 人間追い詰められたら何でもする。

 今がその時かもしれない。

 絶対に使い方違う。正しくない使い方。だけどやるしかないって気持ちになると、私は覚悟を決めていた……のかも?

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