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【リメイク版】VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?  作者: 水定ゆう
6ー1:温泉の華が咲く

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220/231

◇220 依頼をされてしまった!?

これは依頼ではなく脅迫。

「あの、“YESにする能力”って、なんですか?」


 私はシンプルな質問をしちゃった。

 それでもクロユリさんは、同じくシンプルな返しをする。


「そのままの通りですよ。私の固有能力は、“全てを肯定”させる能力ですから」


 あまりにもアバウトで、私は理解できなかった。

 そのせいかな? 頭の上に、はてなが浮かんで仕方がない。


「肯定させる?」

「はい。私の固有能力は、【Say Yes(承諾しろ)】ですから」


 とてつもない強スキルのニオイがした。

 多分、これは確定だよね? 気が付かないとヤバいよね。

 それくらいの破壊力を前にして、無傷の私が怖がった。


「あの、その能力、怖くないですか?」

「ふふっ、そうですね」

「クロユリさん!」


 普通に危ないし、使い方次第だと怖いことになりそう。

 私は怖くなって身震いをすると、クロユリさんは分かってやっていた。

 それが一番危ない奴だ。私は慄いて身を引いた。


「すみません。すぐに解きますから」


 クロユリさんはパンと手を叩いた。

 私がやったのと同じ奴。

 だけど明らかに違うのは、空気が軽くなったことかも。


「あっ、はぁはぁはぁはぁ……な、なんだこの感覚は?」

「ううっ、頭が」

「痛いですね」

「うぇ~、痛いよ~」


 みんなの意識が戻って来た。

 だけど頭を押さえていて、気持ち悪そうにしている。

 苦しそうな表情が酷くて、私はみんなを心配した。


「みんな、大丈夫?」


 私は優しく丁寧に声を掛けた。

 するとNightが顔をグッと上げる。

 辛そうな顔をすると、「なにがあった?」と呟いた。


「みんな、よかったー」


 私はホッと一息をつく。

 もう意識を切り替える必要は無いよね。

 一安心すると、クロユリさんはチラッと私に視線を配った。


「あ、あの、なんですか?」

「いえ、なんでもありませんよ?」


 私の視界の外側だったけど、普通に気が付いた。

 クロユリさん、私のことをジッと見ていた。凄く不気味だ。言いたいことでもあるのかな?

 だけどね、何でかは分からないけど、視線が痛かったからかな?

私は首を捻るけど、そんな間もなく、Nightはクロユリさんを問い詰めた。


「おい、これはどういうつもりだ?」

「なんのことですか?」

「とほけるな。一度だけじゃない、二度も私達に幻覚を見せたな」


 Nightはもの凄くキレていた。

 そんなの当り前のことで、あまりにもやり方が酷い。

 私だって感情的になっちゃったけど、受けた側は怒り心頭だ。


「アキラさんには見せていませんよ?」

「それはコイツが普通じゃないからだ!」

「いやいや待って、私が一番普通だよ!」


 何でこうなるの? まるで私がおかしいみたいな言い方しないで。

 私は声を張り上げて怒ってしまうけど、誰も助けてくれない。

 みんな酷いなって私が思うと、突然クロユリさんは詳細を明かした。


「確かに一度目は皆さんに幻を見せてしまいました。申し訳ございませんでした」

「謝って済む話じゃないだろ。人体に影響が出たらどうするんだ!」


 当然のことだよね? やろ過ぎは禁物だもんね。

 特にプレイヤー相手は顕著に出てしまう。

 フィルターを貫通したら、きっととんでもないことになっちゃうと、私は首を縦に振る。


「その時は……その時ですよ」


 クロユリさんは不敵な笑いを浮かべていた。

 あまりにも不気味で気味が悪い。

 私達は鳥肌が立つけれど、Nightは退こうとしない。


「私達に影響が出れば、お前も相当なバッシングを喰らうことになるんだぞ」

「そうですね。ですが皆さんは無事に切り抜けてくださいましたよ」

「結果論を言うな」


 誰が言っているんだろう。私達はNightに白い目を向ける。

 Nightだって、時々ヤバめなことをする。

 それこそ無茶多めで、無茶ぶりをされる私達の身にもなって欲しいから、完全に賛同は出来ない。


「確かに、Nightさんの言う通り、結果論かもしれませんね」

「クロユリさん!?」


 まさかのNightの言い分を聞いちゃった。

 私は口を開けてしまうと、クロユリさんはそれで止まらない。


「ですが、これでハッキリしました」

「なにがよ」


 ベルは食い気味になって、クロユリを詰めた。

 腕を組むと、ムッとした表情を浮かべている。

 如何したんだろう。何だか凄く嫌な予感がする。


「あの、クロユリさん。私達に何か用事があるんですか?」

「アキラさんは、察しがいいですね」

「よ、よくないですよ……あはは」


 私は遠い目をした。

 嫌な予感がスパンと当たっちゃった。

 クロユリさんの口振りが、ソウラさんっぽかったから、何だか嫌な予感がする。


「もしかして、なにかやって欲しいことでもあるのー?」

「フェルノ、ダメ。そんなこと言っちゃちゃダメ!」


 私はフェルノの口を止めに入った。

 だけど間に合わなかったみたいで、クロユリさんは笑っている。

 口元に妖艶な雰囲気で手を当てると、ニヤリと私達のことを一瞥する。


「そうですね。私は皆さんにお願い……いいえ、依頼があります」


 やっぱりこうなった。

 最初からクロユリさんの目的は決まっていた。

 何かしらの依頼をお願いしたい。きっとそのために、わざわざ宿まで連れて来たんだ。


「断る。そんなもの、受ける気もない」

「Nightさん、その着物は」

「うっ!」


 Nightはキッパリ断ろうとする。

 だけど向こうの方が一枚上手だった。

 着物の音がある以上、そう簡単に無碍にできない。


「クソッ……一体なんの依頼だ」

「Night!?」


 まさかのNightの方が先に折れてしまうなんて。

 私は声を上げてしまうと、Nightは諦めている。


「仕方がないだろ」

「仕方がないって……あの、クロユリさん。私達、あまり無茶苦茶なことはできませんよ」

「分かっていますよ。実際、お願いしたい依頼は、至極単純なものですから」


 そう言って、実際面倒な依頼だったりもする。

 とは言え、私達にも恩がある。

 だから気を引き締めることに資すると、クロユリさんはポツリと呟いた。


「では、私から依頼をさせていただきます。源泉を見て来てくれませんか?」


 ・・・はい?

 正直理解ができなかった。今一体なんって切り出したんだろう。

 私達はポカンとしてしまうと、口は丸くなっていた。


「「「はっ?」」」


 もうそれしか言えない。それしか言葉が出て来ない。

 何せ普段の日常生活で絶対に訊くことの無い言葉だ。

 私達は頭の片隅を支配されると、困惑してしまい、言葉を失うのだった。


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