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【リメイク版】VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?  作者: 水定ゆう
EX1ー1:真夏の今日はキャンプ日和

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208/231

◇208 怪談をしよう1

マジでちゃんとした怖い話です。

「これは私達と同じように、山にキャンプに来た男女四人の話」


 ——

 ——

 ——


 四人は同じ大学・同じ学部に通っていた。

 ある日、A次が夏休みにキャンプを使用と言いだした。

 三人は乗ると、その夏、とある山でキャンプをすることにした。


「おお、いい景色だな、おい!」

「そうだね~」


 A次は絶好の景色を満喫していた。

 それにB美も朗らかに返すと、C太郎が怪しい物を見つけた。


「おい、なんだよ、コレ」

「ん?」


 C太郎が立ち止まったので、A次とB美も気になる。

 腰を低くしたD子は、怪しい物を覗き込む。

 如何やら看板の様で、何か書かれている。


「えっと、コノ先……カ……ズ? なによ、これ」

「あれじゃねぇ、登山者用の注意書きじゃねぇ?」


 A次は少し調べていた。

 今四人が登っている山は、元々登山者の多い山だった。

 けれど登山中に行方不明になる事件が相次いだ。

 それ以来、入山を禁止されている、曰く付きの山だった。


「この山、今じゃ入山禁止なんだよ」

「入山禁止~?」

「入っちゃダメってことだよ。って、止めた方がいいだろ」


 C太郎は入山することを止めようとした。

 それもその筈、C太郎はとても真面目だ。

 A次達と違って速やかに退散しようとするが、それを許さない二人。


「なんだよ、C太郎。いい子ぶりやがって」

「そうよ、C太郎。四人で予定を合わせて来たのよ? ここで帰るなんて許されないわ」


 強引に引き留められたC太郎は仕方が無く残った。

 こうして四人は、本当は入山してはいけない山へと立ち入った。




「いや、それにしても静かな山だな」


 それから何事も無くキャンプを続けていた。

 途中で火起こしが上手く行かなくて焦ったり、毒キノコを間違えて採取して来るアクシデントはあった。

 それでも些細な事で、誰も怪我をせずに夜を迎え、四人はそれぞれ用意した二つのテントへと入っていた。


「なぁ、この山行方不明者が多いって言ってたよな?」

「ん? ああ、そうらしいぜ」

「アレって、おかしくないか?」


 C太郎はつい疑問に思った。

 何せこの山は一本道だ。

 途中でキャンプのために脇道に入った四人はまだしも、登山者が迷うような余地はない。


「アレなんじゃないのかな~?」

「アレ?」

「ほら、神隠し的な奴だよ~」


 B美は突飛なことを言った。

 毎日が不思議ちゃんなB美の話だ。

 話半分に聞いていた。


「なに言ってるのよ、B美」

「だって、神隠し意外に無いよね~。この山は元々人間さんが入るの禁止で~、山が怒ってるとか?」

「はぁ、山が怒るってなんだよ。変な話だな」

「そうよ、B美。ちょっと不思議ちゃんが過ぎるわよ」


 誰もまとめてB美の話を真剣に聞こうとはしない。

 もちろんC太郎も“そんな訳”と話半分だ。

 しかしそうと考えれば行方不明者が多いのも無理はない。

 だけど一体何故? 如何やって消えて……と考えてしまった。


 ガサガサガサガサガサガサガサガサ!


「ひやっ、な、なによ!?」

「急に外から変な音がしたぞ!?」


 突然テントの外から物音が聞こえた。

 ガサガサと草木を掻き分ける音だ。

 動物でも横切ったのか? クマ避けはシッカリした筈だ。

 四人はそう思う中、突然C太郎が呟く。


「まさか、神隠しに遭った人達?」

「はっ、なにバカなこと言ってんだよ!」

「そうだよな。そんな訳がないよな?」


 自分で言ったことをA次に問われ否定した。

 あり得ない。そんな非現実的なことは起きない。

 そう思い込みたいC太郎だったが、ドンドン音が重なり合い、何故か近くに聞こえた。


「お、おい、おかしいだろ。なんか音が近くないか?」

「そうよ。もしかして、クマ?」

「クマじゃないよ~。きっと、私達を迎えに来てくれたんじゃかな~?」


 突然変なことを言いだしたB美。

 流石にこの状況で不思議ちゃんキャラは要らない。

 D子はB美に対して怒鳴るように叱り付ける。


「ちょっとB美、止めてよね。変なこと言うの」

「変な事じゃないって~。私達、もう手遅れなんだけどね」

「手遅れ? なに言ってるんだよ、お前頭おかしいんじゃねぇのか?」


 三人はB美のことを心配した。

 寧ろ貶してしまうと、それだけおかしなことを言っていた。


「ううん、頭はおかしくないよ~だって、ほら~」


 それでもB美は態度を変えない。

 改める所か、ニタリ顔を浮かべる。


 B美がそう言った瞬間。

 テントがガサガサと揺れ始めた。


「う、うわぁ、なんだ!」

「この感じ、風じゃないよね? 誰かが揺らしてる?」

「ちょっとC太郎も変なこと言わないで。B美、これどうしたら……B、美?」


 突然のことに三人は慌てふためく。

 きっとB美の仕業だと高を括る。

 決めた付けたD子はB美を睨み付けると、言葉を失った。


「おい、どうしたD子」

「なにかあったの?」

「そんな、嘘よ、貴女B美じゃない、一体貴女誰……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 D子は突然絶叫を上げた。

 その瞬間、A次とC太郎のテントにも異変が起きる。

 ただ揺れるだけじゃない。幾つもの手形が押し付けらえた。


 バンバンバンバンバンバンバンバン!!!


 けたたましい程なり響く。

 今にもテントを突き破ってしまいそう。

 A次とC太郎は動くこともままならない。


「どうなってるんだよ、一体なにが起きているんだよ!」

「分からない。分からないけど、D子、D子、返事をして」


 A次は取り乱し、C太郎はD子に声を掛けた。

 しかしC太郎の声が聞こえていないのか、気絶でもしているようで、D子の反応が無い。


「クソ、こんな所にいてたまるか。おい、テントを開けるぞ!」

「ダメだよ。そんなことをした、戻れない気がする」

「うるせぇ、いいから開けるぞ!」


 A次は恐怖のあまり、テントの入口を開けようとする。

 しかしC太郎は嫌な予感を感じてしまい、A次を止めた。

 しかしA次はC太郎の制止を振り切ると、テントの入口を開けた。


 ギュゥゥゥゥゥン!


 ファスナーを開いたA次。

 すると音が鳴り止み、手形も消えていた。


「お、おい、誰もいないぞ?」

「う、うん。今のは一体……」


 二人はテントの外を見た。

 そこは何事も無い、平穏が広がっている。

 焚火はとっくに消えていた。静寂な夜がそこにある。


「こ、こんなとこ、とっとと出ようぜ」

「う、うん。でもその前にB美とD子を……」


 A次とC太郎は得体のしれない恐怖を感じた。

 急いでこの山を下りよう。

 そう思ってテントを跳び出そうとするが、C太郎が固まってしまう。


「お、おい、どうしたんだよ、C太郎。なに顔を青白くして」

「A次、A次、A次……」

「はっ、なんだよ。俺の名前を呼んでもなにも……」


 C太郎が顔が青白くなっていた。

 まさしく顔面蒼白で、A次はその顔を見ている。

 一体背後に何があるのか、それとも何か居るのか、恐怖が悍ましく包む。


 ドクンと心臓の鼓動が胸を叩く。

 それを皮切りに、テントの外から見えない何かがヌルッと出て来る。

 A次の背中を細い指が引っ掻いた。


「ねぇ、連れてって」


 A次とC太郎は女性の声を聞いた。

 けれどただの女性の声じゃない。

 男性の声・獣の鳴き声、全てが混ざったような声が背中を撫でると、二人は恐怖で動けなくなる。


 それからしばらくの月日が経った。

 大学の夏休みが終わっても、四人は講義に出ていない。

 家族も心配し、警察に連絡したけれど、今でも見つかっていない。

 行方不明になってしまった。まるで山に飲み込まれてしまったみたいに。


——

 ——

 ——


「あれから数年。今も見つかっていない。四人は何処に行ってしまったのかな? きっと今もその山で……お終い」


 祭はとても良い語り口調で話し終えた。

 それを聞いていた私達は各々の感想を口にする。


「怖いよ、祭」

「でも面白かったー」

「よく知ってるね、祭。もしかして、ネットで見つけた?」


 普通に怖かった。

 だけどネットの掲示板に書かれていそうな話しでもある。

 きっと嘘なんだろうなと割り切ると、祭は真顔になる。


「伯父さんから聞いた」

「伯父さんって、怪談師の?」

「うん」


 祭の伯父さんプロの怪談師。

 偶に会う時に幾つもネタになる話を聞いていた。

 普通に面白かったし、語り口調も祭に合っていた。

 私は褒めるんだけど、由里乃は首を捻って、野暮なことを言う。


「それじゃあ嘘ってこと?」

「さぁ」

「さぁって……」


 由里乃は祭のことを問い詰めた。

 そんなにマジにならなくてもいいし、祭も乗らなくていい。

 私はそう思ってしまうと、祭は上手く締める。

 そんな言葉を口にした。


「怪談は怪談。それ以上でも以下でもない」


 祭はまるで信じていない。

 あくまでも怪談は怪談だと割り切る。

 寧ろ嘲笑してしまうと、普通に怖くてなって肝が冷えちゃった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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