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◇192 黒鉄の巨兵の弱点

弱点があるの!?

「倒すって、どうするの?」

「まさか、適当言ってる訳じゃないでしょうね?」


 私とベルはNightを詰めた。

 この圧倒的に打開策が存在しない状況、そんな中で、「倒すぞ」何て言われても信じられない。

 そんな私達のマジ顔をチラ見すると、ニヤッとほくそ笑んだNightだった。


「当り前だ。根拠はある、弱点もハッキリした」

「弱点?」

「そんなものがあるのですか?」


 雷斬も食い付いた。

 垂らされていた美味しそうな餌に引っかかると、口の中に針が刺さる。

 釣られた魚の気分だった。


「もちろんだ。無いなら口にはしない」


 確かにNightの性格的にはそうだけど、一体どんな弱点があるのかな?

 興味津々な態度を取ると、Nightは指を指す。


「まず黒鉄の巨兵は動けない」

「動けない?」

「それは見て分かるわ。実際、一歩たりとも動いていないんだからね」


 ここまで黒鉄の巨兵は上半身しか動かしていない。

 正確には両腕だけ。

 それに何の意味があるのか、何で動かないのか、色々と腑に落ちなかったけれど、関係があるのは確定らしい。


「私も最初はそう思っていた。いや、スルーしていた。そんな筈が無いとな」

「なに言ってるの?」

「よく見てみろ、黒鉄の巨兵の足下」

「「「足下?」」」


 私達はNightの示した指の先を見た。

 注目するべきは、黒鉄の巨兵の足下。

 何かあるのかな? と思ったけれど、少しだけ凹んでいるように感じた。

 否、黒鉄の巨兵が沈んで行くのがユックリと伝わった。


「あれ、地面が沈んでる?」

「そうだ。黒鉄の巨兵は自身の重さにより、その場から動くことができない。つまりは、自重を支えきれないんだ」


 黒鉄の巨兵は一歩も動いていない。

 何故かと思ったら、まさかの地面が沈んでいた。

 Night曰く、自重が重すぎて動けない。地面に足が取られてしまっている状態らしい。


「だからアイツは動けない。それが一つ目の弱点だ」


 Nightの目は確かに弱点を見つけていた。

 目の前にあった弱点何だから、気が付かない方が普通じゃない。

 だけど如何してそんなものを? とか思うのは、多分野暮だと思う。


「一つ目ってことは、他にもあるのよね?」

「もちろんだ」


 Nightはベルの問い掛けに、堂々と返す。

 本当に一つだけじゃないって、一体何が弱点何だろう?


「あの赤い光。恐らくはセンサーライトだろうな」

「センサーライト?」

「ってことは、動くものを感知しているのね」


 赤い光の正体は、分かりやすくセンサーライト。

 動くものを追従する仕掛けが施されているに違いない。

 ベルはそう睨むが、Nightは否定する。


「いや、それは違うな」

「はぁっ? なに言ってるの。私があの光の外に出たから襲われたんでしょ? 動くものを感知している以外ないでしょ?」


 ベルの言いたいことは凄く理解できる。

 赤い光の範囲から少しでも外に出ればソレを感知して攻撃される。

 実際にベルがその身で体験したことだった。


「それなら、光の外に出れば、黒鉄の巨兵も攻撃できないだろ?」

「どういうことよ?」

「ベルの発想だと、光の外に出た相手を自動的に追って追撃するんだろ。それならなんだ? コイツの単眼()は節穴なのか?」


 Nightはベルの発想を真っ向から打ち崩す。

 確かによく分からないけど、ベルの推測だと、赤い光の外に出た相手を自動的に追撃する。そのためには視覚情報で認識していないといけない。外に出たってことは理解できても、目で追っていないんだ。攻撃しても当たる訳が無いし、ギリギリ躱せたからいいけど、それが通用しないことも分かってる。

 そうでないと、黒鉄の巨兵の単眼はただの飾りになっちゃう。ってことは……あれ?


「もしかして、動いているものに反応している訳じゃない?」

「まぁ、そう言うことだ」


 ベルトは全くの逆だった。

 動いているもの反応していないなら、一体何に反応しているの?

 私は考えてしまうと、Nightは実際に試してみる。


「実際……それっ」


 Nightはしゃがみ込んで、小さな石ころを拾う。

 ソレを軽く放り投げると、赤い光の外に飛ぶ。

 ベルの推測が正しければ、黒鉄の巨兵は反応する筈。

 だけど、実際は違っていた。


「……動かない?」

「そうだ。別に人間を認識している訳ではない。単に動いている物を襲う設定でもない。それなら一体なにに反応しているか、分かるか?」


 Nightが投げた石ころが地面に落ちた。

 黒鉄の巨兵は全くの無反応。本当に、動いているものに反応している訳じゃない。

 人間を含めた動きに反応している訳じゃないなら、一体何に? ポカンとする中、Nightは私達のことを試していた。上から目線で嫌だった。


「Night、そんなのいいから早く教えてよ」

「答えは熱だ」

「「熱?」」


 Nightはすぐに答えを教えてくれた。

 “熱”に過剰反応して、黒鉄の巨兵は襲って来る。

 Nightはそう分析すると、言葉と一緒に行動で示す。


「実際、熱源を感知している可能性はあった。なにせ、フェルノにだけは、ほとんどミスすることなく、反応していたからな」


 パン! と空気を切り裂く音。

 Nightは一発拳銃の引き金を引くと、弾丸は宙を駆る。


 赤い光の外側へと向かって飛んで行くと、小さな赤い光が飛ぶ。

 火花が上がっているのかな? ちょっとだけ綺麗に映った。

 だけどそれも一瞬のこと。豪速の拳が繰り出される。


 ギギギギギギギギギギギギギギギ!


 ギュン! と黒鉄の巨兵が拳を繰り出した。

 飛んでいた弾丸を適切に捉え、拳で叩き壊す。

 ペチャンコになってしまった弾丸が、薬莢と同じで地面に転がる。

 ソレを見た瞬間、私達は確信した。


(((あっ、本当だったんたんだ)のね)ですね)


 言葉を失ってしまった。本当にNightの言う通りになった。

 多分だけど、今の小さな火花。

 アレはわざと上げたもので、動くものを追っている訳じゃない。その証拠には充分だった。


「これが答えだ。分かったか、奴の追撃の原因。それは何処まで追従する熱源にある」


 荷分けには信じがたかった。あまりにもSFだった。

 実際にこの目で見せられると信じるしかない。

 私達が唾を飲む中、今の一瞬で一気に気温が上昇。地下が蒸し暑くなる。


「他にも、地下の温度が急上昇した理由。コレにも意味がある」

「そうなの?」

「当り前だ。黒鉄の巨兵の体。所々に空気口が開いているだろ。アレは熱を逃がすためのものだ。黒鉄の巨兵が動けば動く程、地下の温度は上昇する。それが蒸し暑さの原因だ」


 Nightは地下の温度が急に上がったことについても言及する。

 如何やら黒鉄の巨兵が動く度に、とてつもない熱を生み出しているらしい。

 エネルギーは熱ってこと? その熱を排出するために、空気口が開いているの?

 所々には露出したままの部分があるけど、全部熱を逃がして早く冷却するために必要なもので、ギアの噛み合いも全部計算されている。

 私たちを苦しめていた蒸し暑さの原因も分かると、より一層フェルノが襲われた理由もハッキリした。


「だからフェルノが……」

「そうだ。アイツは<ファイアドレイク>だからな」


 つまりは格好の獲物ってことだ。

 私達は震えると、お腹を押さえたフェルノの姿をチラ見。

 まだ少し辛そうで、あんな顔久しぶりに見る。相当堪えたのか、フェルノは弱っていた。


「だからフェルノは動かせない。余計に混乱を招くだけだからな」

「それじゃあどうするの?」

「そうよ。あの硬い装甲、壊せる訳ないでしょ?」


 黒鉄の巨兵の弱点が分かっても意味が無い。

 何せ装甲が硬すぎる。

 これじゃあ倒せる訳がないんだ。多分……ね。


「バカか。壊す必要は無い」

「「はっ?」」

「壊さないとは、どういうことでしょうか?」


 黒鉄の巨兵の防御力は健在だ。

 アレを突破しない限り、倒すことは不可能。

 HPも削れていない中、動かないことだけがせめてもの救いで、私達は如何にもできない。

 にもかかわらず、Nightの発想はより上を行く。


「別に真っ向から相手をする必要は無い。弱点が浮き彫りになっているんだ。利用しない手は無いだろ」


 Nightの顔色が怖かった。よからぬことを企んでいた。

 もしかして、黒鉄の巨兵の露出した部分を狙うのかな?

 何となく顔色で判断すると、案の定だと私は言われた。

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