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180/231

◇180 VSシャドーウルフ

影のオオカミ……ヤバそう。

「アレ、なに?」


 私とNightの目の前。

 突然現れたのは黒い影だった。

 何かのモンスターみたいだけど、よく分からない。


「モンスター、だよね?」

「そうだな。しかし、こちらを観察しているか」


 モンスターは進行方向で立ち止まっている。

 まるで私達がこの先に行くのを拒むように。

 何となくそんな気がしてしまうと、試されている感覚があった。


「どうするの? 倒す?」

「それしかないだろ」

「そっか……それじゃあ、【キメラハント】+【甲蟲】」


 私はスキルを発動した。

 【キメラハント】で武装すると、地面を蹴り出す。

 目の前の黒い影に向かって攻撃を放つと、拳を叩き込んだ。


「それっ!」


 私の拳は叩き込んだ。すると影の中をスッと消える。

 目を見開くと、「えっ?」とアホみたいな声を出した。

 今、何が起きたの? 私は不思議になる。


「今、私の攻撃……」

「すり抜けたのか?」

「すり抜けた? ええっ!?」


 私の攻撃はモンスターの体を素通りする。

 完全に芯を掴むことができなかった。

 自分の武装した拳を交互に見比べると、分からない渦に飲まれる。


「こ、このっ!」


 私は諦めないで攻撃を再開した。

 Nightもランタンを構え、辺りを照らしている。

 目の前のコレは絶対にモンスター。私とNightが見ている幻じゃない。


「はぁっ!」


 渾身の右ストレートを叩き込んだ。

 流石にこれなら効いた筈。

 そう思ったけど、やっぱり芯を捉えていない。完全にすり抜けた。


「ぜ、全然効いてない?」


 私はたくさん攻撃した。

 だけどその全てが空振りに終わった。

 確実に触れた筈なのに、絶対に拳は当たった筈なのに、全部効いてない。


「どうして? どうして攻撃してるのに」

「ふむ」


 私はプチパニック状態になっていた。

 頭を抱えてしまうと、Nightは考える仕草を取る。

 何か分かったのかな。だけど何も言ってくれない。


「しかも攻撃して来ない? なんで」


 モンスターに攻撃をしても効かない。

 だけどモンスターも自分に物理攻撃が効かないって分かっているせいか、まるで動こうとしない。だけど攻撃を仕掛けてくることが無くて、完全に膠着状態だった。


「どうして? ねぇ、Night!」

「アキラ、ソイツはシャドーウルフだ」

「ほぇ?」


 私はいつも通りNight博士に頼った。

 すると頭の中に格納したコンピュータが作動。

 検索の結果、モンスターの名前を明らかにする。


「シャドーウルフって、なに?」

「名前の通りだ。陰に潜むオオカミのモンスターだ」


 Nightが教えてくれたのは、モンスターの名前。

 その名もシャドーウルフ。影の中に潜む、オオカミのモンスター。

 普通にカッコいい名前で、私は惚れ惚れした。


「名前、カッコいいね」

「ガルッ!」

「うわぁ、吠えた!?」


 ここまで何もアクションを起こさなかったのに、突然吠えた。

 ビックリしてしまうと、私は倒れそうになった。

 その拍子だ。シャドーウルフは前脚を出す。


 ペタッ!


 シャドーウルフの前脚が触れる。

 私の攻撃はすり抜けるのに、シャドーウルフ本人の体は触れられた。

 どんな理屈かは分からないけど、私の腹にプニッとした感触が残る。


「あっ、柔らかい」

「ワフッ!」


 私はシャドーウルフの前脚を撫でた。

 普通に柔らかい。

 シャドーウルフも嫌そうじゃなくて、私は首を捻った。


「ねぇ、シャドーウルフ。貴方はどうしてここにいるの?」

「ワフッ!」

「うーん、分からない……」


 私はシャドーウルフに話し掛けた。

 だけどシャドーウルフは答えてくれない。

 もちろん分かってた。だって、相手はモンスター。人間の言葉なんて喋れない。


「それじゃあこの先って、行ってもいい?」

「ガルルッ!」

「うわぁ、怒った?」


 突然シャドーウルフは怒り始めた。

 牙を剥き出しにするけど、全然見えない。

 私は「どぉどぉ」と唸り声を上げて、シャドーウルフをあしらった。


「ペットの機嫌を取る飼い主か」

「あはは、そんな感じだね」


 私はペットを飼ったことは無い。

 だけどそんな感じがしてしまった。

 でもNightの口から出るなんて、もしかして犬とか猫とか飼ってるのかな?


「そう言えば貴方、私達に敵意はないの?」

「ワフッ?」

「敵意無いってこと……ん?」


 シャドーウルフに攻撃する意思はなかった。

 私はシャドーウルフの頭を撫でる。

 本島に犬みたいで、「ワフゥ」と喜んだ。


「うわぁ、可愛い。なんだろう、凄くいい!」

「ワフゥ……」

「あはは、喜んでくれて嬉しいよ」


 私は笑顔になった。なんだか今日一日これでいいかもしれない。

 私はそんな気持ちになってしまうと、頭の仲がポワポワする。

 シャドーウルフの姿無き体に触れることができると、黒い影が濃く伸びた。


「うーん」


 Nightはそんな私の戯れをジッと見ていた。

 頭を掻き、溜息を今にも吐きそう。

 何でだろう? もしかして、私何かしちゃったかな?


「どうしたの、Night?」

「なんでもない。ただアキラ、お前大丈夫か?」

「大丈夫って、なにがぁ?」

「いや……飲まれるってことか?」


 Nightは何か危惧していた。

 私は頭の中が気持ちよくてポワポワする。

 そのせいか、Nightのことが見えなくなりそうだ。


「流石にこのままだと埒が明かないか」

「Night?」

「アキラ、そろそろ行くぞ。シャドーウルフ、悪いな」


 このままシャドーウルフとじゃれ合っていてもダメらしい。

 私はもう少しお話ししたり、遊んだりしたい。

 だけどそんなことをしている暇は無くて、Nightは何かする。


「な、なにしたの、Night?」

「単純だ。光りを当てた」

「光?」


 Nightは光を当てたらしい。

 もちろん直接的な光じゃなくて、光り。

 でもそんなの当てて、シャドーウルフが居なくなるなんて、変な話だ。


「シャドーウルフの弱点は光だ。だったら光を当ててしまえばいい。そうすれば、影は光を嫌がる。そのまま逃げていくだけだ」

「それじゃあさっきのは……」

「単に驚いて逃げただけだな。嫌われたかもしれないが……」


 Nightはシャドーウルフの弱点を知っていた。

 その正体は光。シャドーウルフは影だから、本体が無い。

 強烈な光を浴びせれば、自然と活動域を失って逃げてしまうらしい。


 だけど何だか可愛そうな気がした。

 Nightも同情すると、「悪いことをした」と口ずさむ。

 そんなNightの横顔を見ると、私は否定していた。


「……そんなこと無いと思うけど」

「なんだ、また勘か?」

「う、うん」


 私は確証を持っては何も言えなかった。

 だって、私はモンスターと会話をするスキルを持ってない。

 いつかそんなスキルが手に入ったら面白いかもしれない。

 そんな願望を抱くと、もう少しお話ししたかったと思ってしまった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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