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◇178 深夜集合、Let’sGo!

嫌です!

 今日もいつも通り暑い夏が続いていた。

 朝も七時台は、まだギリギリ涼しいけれど、ここから確実に熱くなる。

 エアコンのクーラーが利いた部屋から出られずにいると、そんな中、突然の電子音を私は聴く。


ピピピピピピピピピピ!


「ん?」


 私はVRドライブが鳴り始めたので気になった。

 丁度歯磨きをしている所だったけど、首を捻って振り返る。

 机の上に置かれたVRドライブ。普段は取り外しているけれど、誰かからメッセージが入ったらしい。


「誰からだろう?」


 私はVRドライブを手にする。

 正直当たりは何となく付いている。

 何せメッセージが送られてくるのは、公式の運営。

 それを除いたら、自分が実際にフレンド登録している相手からしか、メッセージは届かないことになっている。


「もしかして、蒼伊?」


 そう思ってVRドライブを起動する。

 予想通り、メッセージを送っていたのは蒼伊。

 “Night”と送り主が書かれており、如何やら一斉送信らしい。


「なんだろう? こんな時間に」


 Nightが朝早くからメッセージをくれるなんて珍しい。

 多分だけど、Nightは夜型。夜の方が強い。

 勝手なイメージを持ちながらも私はメッセージの中身を確認した。



Night:深夜、星見山に集合だ



「ザックリ!?」


 あまりにもザックリしていた。

 もはやメッセージでもなんでもない。

 完全に短文の伝言で、私は幻滅した。


「か、勝手だな」


 もはや一言しか感想が出て来なかった。

 だけどこのメッセージからは強い意思を感じる。

 無視していい物じゃない。それだけはハッキリと伝わる。


「なにか分かったってことかな?」


 明らかに意味があるのは確実。

 だけど如何して深夜なんだろう。

 一番のネックポイントに、私は唇を歪めた。


「深夜かー、嫌だなー」


 いつも私達が集まるのは大体午後。

 どれだけ遅くても最終的に深夜〇時は回らない。

 明日も学校があるからで、深夜を回ってまで遊ぶことは、ほとんどない。

 私とNight、フェルノの三人以外は。


「もしかして、またシャンベリ―みたいなこと?」


 シャンベリ―も寄る限定のエリア。

 だから今回もそのパターンを引き合いに出す。

 私は腕を組んで、歯ブラシを咥えた。


「うーん、よく分からないけど。行くしかないんだよね? この星見山とかなんとかに」


 正直その山の場所が分からなかった。

 だけど一応地図も簡易的に添付されている。

 本当にこの場所に何かあるらしい。私は不気味ながらも、行くことを決めた。

 だって行かないと可哀そうだから。




それから時間が経った。

 気が付けば時計の針は一番真上を過ぎている。

 深夜〇時を回り、私は欠伸をする。


「ふはぁー。よし、行こう」


 ようやく待ち合わせの時間になった。

 果たして、みんな集まっているのかな?


 何となくだけど、雷斬達は居ないと思う。

 多分だけど、居てもフェルノくらい。

 Nightは……居て欲しいけど、正直分からなかった。


「まさか私だけってことないよね?」


 そんな怖いことは合って欲しくない。

 むしろあって貰っては困るから、私はVRドライブを起動させ、待ち合わせ場所にログインした。




 私がやって来たのは山の麓。

 空を見上げると、真っ暗闇に覆われている。

 小さな白い点がチカチカ発光していて綺麗だった。


「確かここだよね、待ち合わせ場所」


 私は改めて確認する。Nightからのメッセージを再確認すると、やっぱりここで合ってる。

 つまり、今の所私しか居ない。

 まさか、このまま誰も来ないとか? そんな恐怖心に、身震いした。


 生暖かい風が吹き抜ける。

 私の全身を撫で回すと、うなじの辺りが気持ちが悪い。

 軽く体を揺らすと、不気味な感覚に襲われた。


「もしかして、なにかいるのかな?」

「シャンベリ―みたいに、幽霊が潜んでいる話か?」


 突然声が聞こえて来た。

 しかもこの口調、私は聴き馴染みがあった。


「Night!」

「アキラか、時間通りだな」


 振り返ると、立っていたのはオッドアイの少女。

 黒いマントが地面の上で引き摺られると、その背の低さを強調させる。

 確実にNightだって、私は確信した。


「時間通り来るよ。それより来ないとよかった。私、今日は来ないと思ってた……」

「私に限ってある訳がないだろ」


 確かにNightは時間通りな人だ。

 まるでコンピュータみたいに正確無比。

 だから来ないにしても連絡してくれる筈で、最低でもNighyだけは来ると思っていた。


「よかった。本当、一人かと思ったよ」

「私が誘っておいて、来ない訳がないだろ」

「それもそうなんだけどね……えっと」

「フェルノはどうした?」


 私は同じことを訊こうとしていた。

 もちろん厳密に同じじゃなくて、私は雷斬とベルのことを訊ねようとした。


「フェルノは、その……今日は来れないって」

「来れないだと?」

「うん。コレ、見て」


 私は現実の方で送られたメッセージを見せた。

 そこにはたったの一文でこう打ってある。



フェルノ:ごめんね~。明日からテニス部の合宿なんだ―。だから無理~



「だって」

「アイツ、今も本当にテニス部だったんだな」


 フェルノは中学総体で有名なテニス部員だた。

 Nightもそれは知っていたけれど、今もテニスをしているとは本気で思ってはいなかったらしい。

 だけど実際にメッセージが送ってきているから、信じることにした。


「そうか、フェルノもか」

「ってことは雷斬達も?」

「そうだな。午前中に連絡があったが、二人共事情がありそうだ」



雷斬:すみません。明日は家の事情がありまして、夜分遅くに参加することはできません。本当に申し訳ございません


ベル:悪いけどパスね。明日は午前中に部活があるのよ



「と、言う感じだな」

「そっか二人もか……」


 ここまで来なかったら何となく想像できていた。

 つまり今日は私とNightの二人だけ。

 四月の頃を思い出すと、私はNightに言った。


「それじゃあ頑張ろうね、Night」

「いや、私達が頑張れることは無いぞ」

「えっ?」


 私はテンションを上げた。

 せっかく二人でやるんだ。気を引き締めないといけない。

 そんな気がしたけれど、Nightは早々にぶち壊す。


「今日やるのは、登山だからな」

「……ん?」

「登山だからな」


 ちょっと待って、今初めて聞いたんだけど。

 私は何かの冗談かと思った。Nightの口から登山何て言葉、出る筈がなかった。

 だけど背後には暗がりに沈んだ山があって、Nightも否定しない。私は固まりながらも、マジだと認識することになった。

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