表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

174/183

◇174 光線の行方

天窓ってどうなんですかね? 雨漏りの危険性リスクや錆びたり、腐ったりしていいんですかね? 難しいですよね。知りませんけど……(古い知識)

「とりあえず開いたな」

「開いたなって、納得いかないんだけど」


 私は正直な感想を吐露した。

 けれどNightはあっさりしていた。


「開いたんだ。構わないだろ」

「構わないって、落ちてきたりしないよね?」


 一番怖いのはそこだった。

 この壁がシャッターだとして、突然落ちてきたら間違いなく死ぬ。

 トラウマ必死で、二度とこのゲームを遊べない。ましてやシャッター恐怖症もあり得る。


「ふむ。問題は無さそうだぞ」


 Nightはコンコンとシャッターを叩いた。

 一応引っ込んではいるけれど、まだ固定されているとは信じられない。

 それを身を持って証明すると、シャッターは落ちて来ないことになった。


「本当? だね。よかった」

「安心するのはまだ早いぞ」

「えっ?」


 そう言うと、Nightは目の前の部屋を観察。

 Zを描いて視線を右往左往させる。

 何か怪しい所はないか、確認してみるも、一応は大丈夫そうだ。


「罠の類は……ないか」

「それじゃあ早く入りましょう。って、他になんにもないじゃない」


 意気揚々とベルは部屋に入った。

 そこには確かに目ぼしいものは何もない。

 台座に固定された鏡。何故か高さが若干違う気はするけれど、それ以外には本当に何も無かった。


「鏡だけですか?」

「なーんだ、つまんないの」

「……そうとは限らないだろ」


 肩を落として落胆する私達。

 何か大きなヒントが隠されていると思ったけど、そんなことは全く無い。

 私達がしょんぼりすると、Nightは違った。視線が上にある。


「天井をよく見てみろ」

「「「天井???」」」


 Nightに誘導されて、私達は天井を見た。

 そこには透明なガラス板が張ってある。

 何故か湾曲しているとんでも構造だけど、私達は驚いてしまった。


「ま、窓!?」

「そうだな。これが所謂天窓って奴だ」


 これが天窓、初めて見た。

 私達は戸惑ってしまうと、この意味が分からない。

 わざわざ天窓を用意する意味って一体。それって太陽の古代遺跡の設定的に遭ってるのか分からない。


「どうしてこんなものが?」

「恐らく光源だ」

「恐らくって……Nightが言ってた奴?」

「そうだな。まさかここまで当たっているとはな……」


 Nightの思った通りに進んでいた。

 予想通り、天窓が設置されている。

 しかも天窓が設置された理由は確実に光源。

 そこまで当ててしまうと、Nightは台座に近付いた。


「天窓がわざわざ設置されている。つまりは、この天窓を使えってことだ」

「光源を取り込むってこと?」

「正解だ。こんな風にな」


 台座に近付くと、Nightは鏡の角度を変えた。

 天窓の奥には光がある。太陽が出ている証拠だ。

 試しに使ってみると、鏡の角度を適度に変え、湾曲したガラス窓を貫光して、鏡に跳ね返る。


 ピッカー――――ン!


「ま、眩しい……」

「や、焼ける。痛いいー」

「つまりこういうことだ」


 鏡に跳ね返った光が眩しい。

 一本の線になり、私達を襲う。

 今にも焼け焦げてしまいそうな熱にうなされると、部屋の隅っこに逃げた。


「なるほどね。つまりこの光源を上手くあの鏡に当てればいい訳ね」

「そう言うことだ」


 ベルは中央の広い部屋に設置された鏡、それから隣の部屋に設置されていた鏡を交互に見る。

 片方から得た光源を使って、もう片方の部屋に届ける。

 鏡を上手く利用すれば、全然不可能じゃない。Nightの中でも、その計画は変わらない。


 だけど私は気になって仕方が無い。

 確かにNightやベルの考えは合っていると思うけど、それだけだと足りない気がする。

 何せ、せっかく太陽から光源を貰ったらお題に添ってない。

 今回は〔太陽の試練〕じゃなくて、〔星の試練〕なんだ。明らかに意味あり気で、私はジッと光の線を睨んだ。


「あれ?」

「どうした、アキラ」

「今一瞬だけ光が途切れて……ええっ!?」


 私はジッと観察していた。光の方向を見つめていた。

 すると隣の部屋まで光が届かないことに気が付く。

 もちろん完全に届かない訳じゃないし、寧ろ届いてはいるけれど、隣の部屋に届いた瞬間、何かが遮断する。光が急に途切れると、Nightとベルも顔色を変えた。表情が曇っている。


「光が途切れたわね」

「そうだな。もう少し角度を変えてみるか」


 Nightは台座の位置と鏡の角度を変えた。その度に光が集まる。

 もの凄い熱が一気に解き放たれて、隣の部屋へ。けれど何度やってもダメ。

 光は線になって走るけど、隣の中央部屋に届く前に途切れた。


「ダメね。向こうの部屋に届く前に途切れるわ」

「うーん、やはり鏡に直接当てるしかないのか?」

「そうっぽいわよ。概念的な感じだからかしら?」

「可能性はあるな。さて、どうるすか」


 Nightとベルは難しそうな話をしていた。

 だけど私は今の光を直接鏡に届けられる方法を知らない。

 そのせいか、早速行き詰ってしまう。


「どうしよう、Night」

「どうしようもなにもないだろ。方法を探すだけだ」

「方法?」

「ああ、そうだ。とは言え、周りを見ただけでは、直接的な答えは無さそうだぞ」


 周囲を見回してみるけれど、直接的な答えは無い。

 そのせいか、何から手を付けるべきか、分からなくなってしまう。

 迷ってしまう私達に、Nightはポツリ呟く。


「となれば、コイツを解くしかないみたいだな」

「「コイツ?」」


 Nightは振り返った。私とフェルノも振り返る。

 壁があるだけで、特に変な物はない。

 もちろん、完全に無い訳じゃない。だけど、気になる訳じゃなかった。


「ちょっと、一体なにを解くのよ」

「コイツだ」

「コイツって……はぁ?」


 ベルは唇を歪めた。

 ポカンとしてしまうと、確かにポカンとしちゃう。

 私達の視線の先には壁。だけど汚れている。


「もしかすると、この黒いシミでしょうか?」

「そうだな。明らかに不自然だ」

「不自然って……偶々じゃないの?」

「どうだろうな。少なくとも私は、コイツを怪しいと睨んでいる」


 雷斬はNightと同じ視野で見た。

 確かに壁には明らかに多い黒いシミ。

 ただのカビだと言ったらそれまでだけど、Nightは怪しいらしい。


「そ、そっか……」

「なんだ、私をアホだと思ったのか?」

「う、うん……」

「お前な、私がそんなアホな真似する訳ないだろ」


 今の所アホっぽい。Nightが壊れちゃったのかな?

 確かにここまで大変だった。

 全部Nightに頼りっぱなしだったことを反省する。


「ごめんね、Night」

「いや、いい。……まあ、確信は無いんだがな」


 確信が無いんだ。それじゃあ本当に何?

 私達はもはやヒントを失って、何をしたらいいのか分からなくなると、鏡と台座に格闘するしかなかった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ