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◇173 隠された扉

リメイク前の方が扉の設定は面白かった。でも、全部止めました。地味ーな、感じでなんだかな~。

「どうしたの、二人共」


 私は改めて二人に訊ねる。

 すると雷斬とベルは壁を指さす。

 この先に何かあるのだろうか? 私は耳を壁に当てた。


「この奥? うーん」


 意識を集中して研ぎ澄ます。

 冷たい壁の感触が私の頬に伝う。

 瞼をスッと閉じると、コンコン壁を叩いた。


「あっ、確かに音が抜けてる?」


 音がなかなか戻って来ない。つまりこの先は空洞だ。

 普通に狭い空間だったら音はすぐに戻って来る。けれど今はそれがない。

 ましてやしっかりと奥があるのなら、音が反響することさえあり得ない。

 密度がしっかり存在しているから当然のこと。つまりそれらが一切ないのは、この先に空間が広がっているからだ。


「なるほどな。つまり二つの扉とは、この壁のことだった訳だ」

「壁が扉? さっきみたいなこと?」

「そう言うことだな。と言うことは、なにか仕掛けが……」


 Nightは壁を触ってみる。仕掛けが無いか確認作業だ。

 手のひらをピタリと添わせると、そのままゆっくりスライド。

 歩く歩幅に合わせて確かめると、違和感を感じたらしい。


「ん? ここ押せそうだな」


 壁の真ん中辺りで立ち尽くした。

 指でなぞると、違和感の先が柔らかい。

 壁自体は質感は変わっていないものの、明らかに軽い部分があったのだ。

 所謂スイッチ奴だとは思うけど、Nightは試しに押し込む。


「それっ」


 Nightは壁の真ん中付近を指で押す。

 すると壁の一部が指で押した分凹んだ。

 如何してだろう? と考えている私は、凹んだ部分がそのまま抜けてしまうのを見た。


「あれ、穴になった?」

「そうみたいだな。鍵穴の様な仕組みはないか」


 何故か壁の真ん中に穴が開いた。

 けれどそこまで大きくはない。

 直径五センチ程度で、壁を開けるような仕組みは施されていなかった。


「もしかしてハズレなの?」

「なーんだ、つまんないのーだ」


 ベルとフェルノは表情を顰めた。

 ガッカリして肩を落とすベルとつまらなそうに頭の上で腕を組むフェルノ。

 そんな二人を尻目に、Nightは穴の奥を覗き込んだ。


「いや、単にハズレと断言するのは早そうだぞ」

「「えっ?」」

「ってことはNight、なにかあったの?」


 Nightは意味深なことを言った。

 間違いなくこの先に何かあるようで、私は改めて訊ねた。


「そうだな。穴の奥を見てみろ」

「穴の奥?」


 Nightに促されたので、私は穴の奥を見てみる。

 姿勢を低くし目を凝らすと、壁の奥には空間が広がっていた。


「やっぱり空間がある!?」

「そこも重要だが、それ以上のものがあるだろ」

「それ以上のもの? もしかして、鏡!?」

「もしかしなくてもソレだ」


 穴の奥から見えたのは狭い空間。

 その中央にはやはり台座が設置されている。

 その上には鏡が置かれていて、キラキラ光り輝く。

 光源のようなものは無さそうだけど、不思議だなって感じた。


「本当ですね。ですがどうして反射しているのでしょうか?」

「恐らく吹き抜けになっているんだろう。天窓かなにかが設置されていて、そこから明かりを取り込んでいるんだ」

「なるほど。って、それが分かってどうするの?」


 雷斬も穴の奥を覗き込んだ。

 当然の疑問で、何故か鏡が光っている。

 光源は何もない。だけどNightの考えは賢い(スマート)だった。


 ここからだと見えないけど、部屋の中には天窓が設置されているかも。

 そこから自然光を取り込んでいる可能性がある。

 そのおかげで部屋の中が明るいみたいだけど、だからなにって話だ。


「分かってどうするだと? 単純だ。あの鏡には意味がある。第二の謎を解き明かすための名」

「そうなの?」

「それ以外に必要か? 確かにミスリードの可能性も無くはないが、ヒントに対して道具が揃っていなさすぎるだろ」


 確かにヒントはたくさんあった。

 だけど道具が何も足りていない。

 あの鏡一枚で如何にかできるとは思えないので、きっとあの鏡も使う必要があるんだ。

 だったらどのみちここに居ても意味が無い。何とかして、この壁の奥に行かないとダメだ。


「とりあえず、壁を取り除く必要があるな」

「そうだね。でも、何処かにスイッチみたいなのは……」

「無かったな」


 壁の奥に行くことを決めた。だけど壁を取り外す術がない。

 壁にスイッチは埋め込まれていなかった。

 つまり、何か別の手段を使うしかないんだ。


「それじゃあ私がやってみるねー」

「フェルノ? お前、どうする気だ」


 そんな中、フェルノが突然手を挙げた。

 何か閃いたみたいだけど、私は嫌な予感がする。

 顔を見れば分かる。絶対にろくでもないことだ。


「決まってるよー。それっ!」


 その予想は当たってしまった。

 だって、私はフェルノの親友だもん。

 突然スキルを発動すると、全身を赤い竜の姿に武装する。

【吸炎竜化】を発動させると、全身から炎を放出する。


「な、なんで変身したの?」

「この壁の奥に行くんでしょ? だったら壊すのが一番早いよ」

「こ、壊す!?」


 やっぱりろくでもなかった。

 武装したフェルノは肩をグルグル回している。

 本気で目の前の壁を破壊する気満々で、今にも拳を叩き付けようとしていた。


「そうだよ。壊すのが一番早いでしょー」

「ま、待ってよ、フェルノ。そんなことしたら!」


 私は必死に止めようとした。

 だけどフェルノは聞いてくれそうにない。

 物は試しとばかりに、拳を叩き込んだ。


「一回くらいいいでしょー。それっ、ドーン!」


 フェルノの渾身の一撃を壁に叩き込んだ。

 ズドーン! と言う嫌な音に、天井からは埃が舞う。

 もしかして本当に壊しちゃうの? 私は慄くが、フェルノは呆気に取られる。


「フェルノ?」

「嘘だー。結構力入れたんだよー」


 今の一撃はフェルノにとっても強烈なものだった。

 それなりに力を加え、本気で壁を破壊する気だった。


 けれど実際には壁はビクともしていない。

 ましてや傷一つは言っていない状態で、とんでもない耐久値を誇っている。


 流石にこれには納得が行かないのか、フェルノは次を放とうとする。

 拳を構え、腰を落として足を下げると、連続パンチをお見舞いしようとした。


「こうなったらもう一回……」

「待ちなさい、フェルノ」

「ベル? なんで止めるのさー」


 それを止めたのはベルだった。

 腕を掴み、動けないようにする。

 フェルノはムッとした表情を浮かべたけれど、ベルは一旦引き留める。


「フェルノ、そんなことしたって無駄よ。全然壊せてないじゃない」

「むぅー。これからだよー」

「これからって、その前に天井が落ちてきたらどうするの? 私達、みんなお終いよ」


 ベルの言うことには一理も二理もあった。

 フェルノが拳を叩き込み過ぎて、先に天井が落ちるかのせいもある。

 そんなことになったら一巻の終わり。

 よく止めてくれたと胸を撫でると、フェルノは逆に言い返した。


「それじゃあベルならどうするのさー」

「私? 私なら……」


 ベルは小さな穴を見つめる。

 何か考えがあるみたいで、試しにスキルを使ってみた。


「【風招き】


 小さな穴の中に風を送り込んだ。

 もしかして、直接風の力を使って鏡を動かす気なのかな?

 そんな芸当出来たら凄い。そう思ったけど、やっぱり難しそうだ。


「ダメね」

「ほらー。やったりダメじゃんかー」

「でも壁を壊すよりはマシでしょ!」

「いざとなったら壊すよねー」


 フェルノとベルは口論になってしまった。

 口喧嘩が勃発すると、私は耳を塞ぎたくなる。

 その間に割って入り、雷斬は仲裁を試みた。


「フェルノさん、ベル、少し落ち着きましょう。なにか方法がある筈ですから」


 けれどお互いに口喧嘩を続けている。

 雷斬も困った顔を浮かべていた。

 私の方をチラッと見ると、正直困った。


「どうしよう……」


 このままだと本当に埒が明かない。

 もしかしたら、フェルノがまた挑戦するかもしれない。

 それは時間の問題で、私はNightに助け舟を求める。

 視線を配ってみると、何故かNightは床を見ていた。


「ん? なんだコレは」

「どうしたの、Night?」


 Nightが気になるものを見つけたらしい。

 壁の下の方をジッと見ている。

 私も目で追い掛けると、取っての様な窪みがあった。


「凹んでるね。それがどうかしたの?」

「アキラ、持ち上げてみろ」

「ええっ!? そんなの無理だよ」


 バカみたいな話をされた。そんなの絶対に無理だ。

 私は拒否したけれど、Nightは腕を掴んだ。


「いいからやってみろ」

「やってみろって……分かったよ」


 Nightに強く言われてしまった。

 断る訳にもいかないし、ここは恥ずかしいけどやってみよう。


「みんな、少しだけ避けて」


 そう思い、一旦みんなには避けて貰った。

 するとフェルノは興味を示して、私に訊ねる。

 困るよ。だって私も分からないのに。


「ん? アキラ、なにするのー」

「ちょっとね。持ち上げられるかな?」


 正直な話、壁が持ち上がる訳がないと思った。

 だけど物は試し。バカみたいなことを本気でやってみる。


「せーのっ! ありゃぁ?」


 軽く持ち上げてみた。すると壁が一気に持ち上がる。

 少し重かったけれど、上に少し持ち上げると、後は自動的に巻き上げられ、気が付くと壁はスルスルと天井の中に引っ込んだ。


「あ、開いた!?」

「どういうことですか、これではまるで……」

「なんで壁がシャッターになってるの!?」


 これだと完全にシャッターだ。

 私達は驚いて固まってしまった。

 けれどNightだけは平然としていて、「うん」と唸る。


「なるほど。ガレージのシャッターと同じ構造か」

「感心しないでよ!」


 如何して壁がシャッターになっているのか分からなかった。

 けれどNightはそれ以上説明してくれる気配がない。

 私達は完全に思考を置いて行かれると、謎に持ち上がった壁にげんなりした。

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