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171/182

◇171 串刺しの罠

当初の予定だと、大岩が転がってくるネタでした。

でも止めました。

大岩だと色んな工程ステップを踏むのが面倒なので、分かりやすいネタを拝借。

 私達は開いた壁の奥へ向かった。

 眩い輝きは床から放たれている。

 そのせいか、天井を見ていれば目が痛くなくて済んだ。


「どこまで続いてるのかな?」

「さぁな」

「さぁなって、つまらないこと言わないでよ」


 Nightはあまり考えていなかった。

 否、思考を広げ過ぎていて、私達の会話が適当になる。


「実際、何処まで続いているのでしょうか?」

「そうよね。真っ直ぐな道過ぎない?」


 壁の奥にあったのはただの道。しかも一本道。

 おまけに最初は幅が広かったのに、ドンドン狭くなる。

 まるで誘われているようで、私達は警戒する。


「うん、仕掛けは無いみたいだな」

「こんな所にあっても困るわよ」

「そうだよね。でもさっきみたいな例があるから」


 実際、最初の部屋は意地悪だった。

 壁にスイッチが仕掛けてあるなんて、本当に何が待っているか分からない。

 もしかすると、私達はとんでもないダンジョンに来ているのでは? と今更ながら思う。


「とは言え、気になるものがあるな」

「気になるもの?」

「壁自体が古い粘土製のレンガを積んで建造されている。だが、レンガの配置に絶妙な隙間があるな。まるで規則性がない」


 Nightは太陽の古代遺跡を観察していた。

 その結果、少しだけ妙なことに気が付く。

 狭い通路を見つめ、何故かレンガ同士に絶妙なムラがあった。

 敢えて隙間が空けられているのか、規則性が取れていない。


「別に気にすることじゃないわよ」

「確かに、当時の名残だと思えば容易いな」


 あくまでも設定の話をしている。

 太陽の古代遺跡は相当昔に建造された。

 この世界の歴史だと、隠された建造物として、歴史の陰に隠れている。

 何となくそんな設定が浮かび上がった。


「だが、レンガの表面が気になるな」

「表面? ちょっとキラキラしてる?」

「コーティングされて、鏡面反射を出しているな」


 鏡面反射が何かは分からない。

 けれどコーティングされていて、鏡の様に光っている。

 キラキラ輝いていて、とても綺麗だった。


「とは言え、コレがなんの意味をなしているのかはもう少し情報が……」

「欲しいよね」

「そうだな。そのためにも、早くこの先に行く必要がある」


 Nightの推測には情報が必要。

 まだ充分じゃないせいか、満足のいく答えに辿り着けない。

 だからこの先を見据えようとする中、Nightは口を開く。


「あっ」

「うわぁ、どうしたのNight。急に止まらないでよ」


 何故かNightは視線が何かを見つけた。

 ピタリと立ち止まったせいで、私は鼻先をぶつけかけた。


「なにか見えて来たぞ」

「「見えて来たって?」ってー?」


 Nightは視線の先を凝視する。

 私とフェルノはNightの肩口から奥を覗く。

 一本道のせいで二人分しか先が見えないけど、流石に私も分かった。


「あっ、光が飽和してる?」

「そうだな。つまりこの先に広い空間がある訳だ」

「「広い空間って!?」ですか?」


 光が飽和、つまり拡散していた。

 光の発生源はあの水晶で、床に掘られた溝を走っている。

 つまり床から放たれる光が原因なら、部屋全体を明るくするのも床から。

 天井の方に光が広がっているから、間違いなくそれなりの空間があった。


「行くぞ。次の部屋だ」

「イェーイ。それじゃあ……」

「フェルノさん、走ると危ないですよ」

「分かってるってー」


 雷斬はフェルノを制止させた。

 ベルが代わりにフェルノの腕を掴む。

 ここで走られたら危ない。バッタンキューンになっちゃうから、ナイス判断。

 私達は一歩一歩、ゆっくり次の部屋に向かおうとした……が。


「よっと」

「よっとって?」

「それっ!(カチッ!)」


 Nightが不可解な動きをした。

 私はツッコミを入れたけど、フェルノが通った瞬間床が沈んだ。

 カチッと嫌な音が響くと、スイッチが作動するみたいに感じた。


「カチッ? うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 私はつい叫んでしまった。

 突然のことで気が動転する。

 それもその筈で、壁から突然鋭い棘が突き出してきた。


 グサッ! グサッ! グサッ!


 何本もの黒い鉄の棘が突き出す。

 狭い通路なので当然逃げ道もない。

 左右から均等に放たれると、私達は喰らって……いなかった。


「ふぅ。やはり隙間はこのためにあったのか」

「感心してる場合―?」


 Nightはしゃがんでいた。鉄の棘は壁から突き出ているけれど、床からは出ていない。

 元々小さいのもあるけれど、Nightに限っては最小の高さに位置取る。

 そのおかげで、棘を無事に回避した。


 一方のフェルノはスキルを発動。種族スキル、【吸炎竜化】で棘を全部受け止める。

 生身だと無理だったけど、竜の姿になったら全然違う。

 硬い鱗で受け止めると、平然とした顔をする。


「本当、よくやるわね」

「そうですね。躱すのが大変でした」


 ベルと雷斬はまた異次元だった。

 それもその筈、二人にしかできない技を披露する。


「ふぅ。小さな竜巻を作れてよかったわ」

 

まずベルは言葉通り、小さな竜巻を作っていた。

風圧を利用して、棘が飛び出さないようにしている。

そのおかげもあり、目の前には棘が出ているけれど、自分の周りだけは安全だった。


「そうですね。私も瞬時に下がることが叶い、助かりました」


 雷斬は電気を放っている。おまけにずっと後ろに下がっている。

 棘が出た瞬間、一気に体を後ろに飛ばした。

 棘の速度を超える速度で回避すると、一本も振れない位置まで戻っている。


「あはは、みんな凄いねー。ところでアキラー」

「プギュゥ」

「スライム可愛いねー」


 私は喋れなかった。だからずっと心の声だった。

 あくまで感想は誰にも伝わらない。

 何せ【キメラハント】+【半液状化】で無理矢理躱したんだ。


「アキラ、お前のソレが一番効率がいいだろ」

「プギュゥ(効率の話じゃないよ!)」

「なに言ってるのか分からないな。まあいいか」

「(よくないよ!)」


 全然よくない。本当はあまり使いたくなかった。

 【幽体化】でもよかったけれど、咄嗟だったからこっちを使った。

 こっちしか思いつかなかった私は、スライム状態で這う。


「とりあえず棘が消えるのを待つぞ」

「消えるのー?」

「誰かさんがスイッチを踏んだせいだからな。時間が経てば戻るだろ」


 Nightはフェルノに野次を飛ばす。

 こうなったのはフェルノのせい。

 それは百%真実で、疑い様がない。


「フェルノ、ちゃんと周りは見なさいよ」

「はーい。次は気を付けるよー」


 何だか物腰が軽い。絶対に解っていない親友に私は不満を抱く。

 だけど仕方が無い。あんなの気が付かなかった。

 ホッと撫でる胸もない中、私はスライムになって跳ねた。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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